
筆者は4月からモーニングページを試しています。『ずっとやりたかったことを、やりなさい』(ジュリア・キャメロン著 サンマーク出版)で有名な、毎朝3ページ書くというアレです。
正直に言うと、YouTubeで岡田斗司夫氏が「おもしろい」と語っていたのを目にして「ほーん、じゃ試しにやってみるか」と、なんとなく始めたものでした。それが3カ月経ったいまもちゃんと続いていて、正直、大変に面白い。
何が面白いのか。そして、どんな効果があったのか。3カ月やってみて感じたことを、体験として共有したいと思います。
- モーニングページの「効果」を語るのが野暮な理由
- A4・3ページに心が折れかけた、モーニングページ事始め
- 書けなくなってから出てくる、「前意識の言葉」の正体
- 見返さなくても、行動には変化が起きていた
- 科学的に言うと? DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)との関係
- モーニングページはどんな人に向いている?
モーニングページの「効果」を語るのが野暮な理由
しかし、まず最初に言っておきたいのは「モーニングページにはこういう効果があるよ!」なんて語ること自体が非常に野暮だということです。
やって感じること、やった後の感覚、成果、そういったものは人それぞれでいい。しいて言えば「アーティストになる」ということなのかもしれませんが、ジュリア・キャメロン自身、モーニングページを「向こう側に行くため」にやるものだと曖昧な表現で語っています。あまり明示的に効果を語ってしまうと、そこにアジャストしてしまう人が出てくるからでしょう。モーニングページとは、そういうものではないのではないかと思います。
こういう効果があるからやる、という目的的な発想そのものを手放すこと。それがモーニングページの趣旨なんじゃないか。そんな気がします。
だから、今回ここで書き記すのはほんの一例であり、正しい答えでもなんでもありません。あなたにはあなたのモーニングページがある。そういうものではないでしょうか。
好きなように、やりやすいようにやりましょう。
A4・3ページに心が折れかけた、モーニングページ事始め

さて、筆者がやっているモーニングページですが、A4のルーズリーフを使用し、現在では1ページ、30分で書いています。新版では「3ページほど」と書かれていますが、かつては「A4」とサイズ指定があったようです。
岡田斗司夫は「A4ってデカい」「3ページ埋めるなんて途方に暮れる」と語っていましたが、確かにそのとおり。筆者は最初、A4・3ページ埋めていたときは、2時間かかりました。2時間です。朝の貴重な時間を2時間もモーニングページに割り振るのは現実的でないというか、正気の沙汰とは言えません。何よりもA4・3ページは、本当に苦行でした。
ネットを漁ると、「3ページなんて書けない、書くことがない」「3ページびっしり書くなんて尋常じゃない」という文言も出てきます。確かに、3ページびっしりと書いた初期のノートを見ると、ちょっと狂気を感じますね。
しかし、それでも1カ月ほど続けてわかったのは
みたいな感覚です。
書けない。書くことがない。ペンが進まない……そうなってから、それでも何かを書こうとして出てくる言葉。それが本来モーニングページで書くべき言葉だったんじゃないか、と。
ジュリア・キャメロンは、日中の活動で使っている論理的で常識的な脳を「論理脳」と呼び、誰もが持っているアーティストの素養が作用するのは「アーティスト脳」によるものだと書いています。そして、アーティスト脳は、論理脳が前に出ているときにはうまく働かない、というのです。
つまり、何も書けなくなるところまで到達するための3ページという分量なのだ、と。その先のアーティスト脳の領域に行くために、わざと論理脳を疲労させるのだと気づきました。

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書けなくなってから出てくる、「前意識の言葉」の正体
この「何も書けなくなってから書く言葉」の出方を丁寧に辿ってみると、言葉になる前の意識、思考のタネ、ちょっとした反応。そういったもののように感じました。しいて言えば「前意識」みたいなものなのかもしれません。ここからはこれを、あえて「前意識の言葉」と呼ぶことにしましょう。
そして、その前意識の言葉を意識的に書くには、いくつかコツがあるように思います(あくまでも筆者の場合です)。これができれば、論理脳を疲れさせるプロセスは不要かもしれません。
- まず、朝イチでやること。なんなら顔を洗う前でいい。身支度もしない。ベッドから下りて、そのまま流れるように書く。
- スマホは絶対に見ない。
- いわばぼんやりしている状態で、論理的な文章や構造化された情報を処理しない。文章は考えない。脳の状態それ自体に焦点を合わせて、そこに浮かぶ言葉を書く。脳と手がつながっている。そんなイメージです。
やってみると、最初は単語ばかりが出てきます。
「すずめ、声、鳴き声、朝、早い、眠いな」
そこからだんだん短文になり、なんとなく意味のある文章になっていきますが、ここで要注意です。
- 接続詞や接ぎ穂はいらない
「だから」「そう言えば」「しかし」。そういった接ぎ穂や接続詞は、文章を構造化し、論理的な文章への転化を促してしまいます。そういうのは要らない。モーニングページに必要なのは言葉や文を垂れ流すこと(「脳の排水」)であり、論理的な文章ではないからです。
これがうまくハマると、前意識の言葉がペンの先で文章になっていく、なんとも奇妙な感覚に陥ります。シュルレアリスムの自動書記ってこんな感じだったんかなーとか、禅の境地ってこんな感じなんだろうかとか、とにかく、普通では味わえない思考体験を味わうことができます。もちろん、毎日必ずこの境地に達することができるわけではありませんが、それはそれ。
A4・1ページ、30分を目安に書くようになったのは、このやり方にたどり着いてからでした。朝の貴重な時間でも、30分ならなんとか許容範囲です。

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見返さなくても、行動には変化が起きていた
モーニングページは「8週間は見返すな」が鉄則のようです。3カ月経った今なら、過去のものを見直しても良いのかもしれませんが、基本的に見返したりはしていません。STUDY HACKER的には、「ノートは後で使うために書くのだ」が鉄則ですが、モーニングページに関しては、その限りではないのかもしれません。
それでも、行動にいろいろ変化が生じてきています。別にアーティストになりたいと思っていたわけではありませんが、
・木工作品を作り始めた
・小説を書くためのノートを購入し、ショート・ショートを書き始めた
誰かに見せることを考えているわけではありませんが、なんかやらずにはおれなくなってしまった。というのが正直なところです。だから、これはとても楽しいです。
といっても毎日制作に励んでいるわけではなくて、できて週に2、3回程度、1回15~30分程度の微々たるものですが。でもいいかなーと思える。人生がほんのちょっとだけですが、彩りを増した。そんな気持ちになりました。
モーニングページから生まれる「何か」が、生活を確かに変えてくれました。
科学的に言うと? DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)との関係
と、ここまで「効果を語るのは野暮」なんて言っておきながら、STUDY HACKER的には、やっぱりちょっとくらいエビデンスも欲しいところです。なので、野暮を承知で、ほんの少しだけ付け加えます。
心理学が示す「筆記開示」の効果
たとえば、頭の中にあるモヤモヤや感情を紙に書き出す「筆記開示」という手法は、心理学の分野で以前から研究されており、ストレスの軽減や気持ちの整理につながる可能性が指摘されています。やってみると「ジャーナリング」にも近いように感じます。
ひらめきを生む脳の「デフォルト・モード・ネットワーク」
ぼーっとしている状態や単純作業をしているときほど、脳の中で「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれる回路が働きやすく、アイデアがふと浮かんでくる、いわゆるひらめきが起きやすいとも言われています。頭の中の「やること」や「気になること」を書き出す行為そのものが、頭の負荷を軽くする効果を持つという研究もあるようです。
筆者の「論理脳を疲れさせてからアーティスト脳が働き出す」という感覚は、こういった研究と、まったくの無関係というわけでもなさそうです。とはいえ、これはあくまで「そういう説明の仕方もできますよ」という話であって、モーニングページの魅力を脳科学だけで片付けてしまうのは、ちょっと味気ない気もします。

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モーニングページはどんな人に向いている?
「人それぞれでいい」と言いながら、こんなことを書くのは極めて野暮であることは承知で、行動変容を促すSTUDY HACKERとして、さらに付記します。筆者の個人的な経験に基づくならば、次のような人に向いていると言えるかもしれません。
何かしたいけど、何をしていいか分からない人
「自分を変えたい」「何かに挑戦したい」と漠然と思いながらも、何をしたいのかよく分からない。そういうことは、ままあります。「モーニングページはアーティスト脳に与える栄養のようなものだ」とジュリア・キャメロンが述べているように、モーニングページを続けていると、「何かをしたい」という気持ちが芽生え、育っていきます。そして「何をしたいのか」も、だんだん形をとっていきます(筆者の木工や小説のように)。
自分が何を大切にしているのか、自分の心の内を知りたい人
上記にも通じることですが、モーニングページを続けていると、自分が本当のところで何をどう考えているのかがクリアになっていきます。嘘偽りのない、自分の感情や本心が浮き彫りになるとも言えるのかもしれません。筆者の場合、昔のことを思い出すことを通して、自分が何のために、現在のような仕事や生活をしているのかを改めて認識させられたりしています。
まとめます。モーニングページには、人それぞれに意味や成果があるものだと思います。やり方も書き方も量も人それぞれ。ただし、「続けること」。これだけは絶対です。
また、モーニングページで1日30分書くというだけで、(1)手書きで文字を書くのが楽しくなった、(2)手書きで文字を書くのがむちゃくちゃ速くなった、というメリットがあったことも書き添えておきます。(1)は、ブレインダンプやジャーナリングなど、手書きのメソッドへのハードルを下げるでしょうし、個人的には日記やメモの整理の能率が非常に高くなりました。これも余録です。(2)は、取材で取るメモが捗るようになりました。ちょっとしたことですが、これもモーニングページさまさまです。
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モーニングページは、誰かに言われてやるものでもないし、「こんなに役立ちますよ」というものでもないのではないでしょうか。単純に楽しい。楽しいからやる。それで良いものかなーと思います。記事のネタになればと思って始めたモーニングページですが、多分、筆者は当分続けると思います。

よくある質問(FAQ)
Q. モーニングページは1日どれくらいの時間がかかりますか?
Q. モーニングページには何を書けばいいですか?
Q. モーニングページは書いた後、見返してもいいですか?
*1 ジュリア・キャメロン |新版 ずっとやりたかったことを、やりなさい。
STUDY HACKER 編集部
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