
「会社から資格を取るように言われているけれど、なんとなく腰が重くて動き出せない」「将来のために勉強したい気持ちはあるのに、なぜか手が進まない」
このように、やる気の波にお悩みではありませんか?
やりたいのにできないことが続くと自分を責めてしまいがちかもしれません。ですが、大切なのは、いまの自分がどの状態にいるかを知ること。
状態がわかれば、選ぶべき一手も見えてきます。まずは4つの質問に答えて、いまの段階を確かめてみましょう。
4つの質問でわかる、いまの「やる気の段階」
いま取り組むべき勉強を目の前にして……
Q1. 正直、勉強する意味すら感じない、気が乗らない?
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Q2. 「怒られるから」「締め切りが近いから」なら動けそう?
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Q3. 「将来のため」「スキルアップのため」だと思えば動ける?
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Q4. そもそも勉強そのものが好きで、興味があるから自然と手が動く?
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上から順に読んで、最初に「当てはまる」と感じた質問が、いまのあなたの段階です。段階が分かったら、それぞれのアクションを見ていきましょう。
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段階別・今日からできる1つのアクション
段階1 仕方なく勉強している
アクション
勉強する場所を1か所に固定する
机に向かう意味を感じられないときは、行動そのものではなく「場所」を変えることから始めましょう。
具体的には、勉強する場所を家のなかで1か所だけに固定します。ダイニングテーブルでも、部屋の隅の小さなデスクでもかまいません。家から出て、カフェを活用するのもありでしょう。
行動のきっかけとなる場面をあらかじめ決めておく「if-then」ルール(もし〇〇したら、△△する)は、習慣形成を後押しすると考えられています。
東京慈恵会医科大学の島崎崇史氏によれば、こうした行動計画を立てることで、意図と行動のギャップが解消されやすくなるのだそう。*1
「ここに座ったら勉強する」という結びつきをつくるのも、この考え方の応用と言えます。
段階2 期限が迫らないと動けない
アクション
終わらせる時刻を先に決める
期限が迫るまで動き出せないのなら、それを逆手にとって、自分で期限を決めてしまいましょう。
具体的には、「今日は20時までにこの章を終わらせる」というように、始める時刻ではなく終わらせる時刻を先に決めます。
エグゼクティブコーチの名郷根修氏によれば、開始時間だけを決めても人は思ったほど動けず、行動が起きやすいのは「いつまでに終わらせるか」という終了時間、つまり締め切りを決めたときなのだとか。*2
締め切りが明確になると、脳は「負担が限定されている」と判断し、曖昧さからくる不安がやわらいで、着手のハードルが下がるのだそうです。*2
段階3 自分のためにやっている
アクション
「使える瞬間」を先に1回体験する
将来のためだと分かっていても腰が重いときは、その勉強が「使える瞬間」を先に1回だけ体験してみましょう。
英語の勉強なら、覚えたフレーズを使って英語ユーザーのSNSにコメントしてみる。資格の勉強なら、過去問を1問だけ解いてみる。
参考書を最初から読み進めるより先に、こうした「使ってみる」体験を挟むことで、これから学ぶ内容と自分の目的がつながりやすくなります。
学習意欲に関する「ARCSモデル」では、学習者が自分の目的や価値とのつながりを感じられる〈関連性〉の要素が、意欲を左右する側面のひとつとされています。*3
使い道を先に体験しておくことは、この関連性を早い段階で感じ取るための工夫です。
段階4 好きでやっている
アクション
誰かに教えるつもりで勉強する
すでに机に向かえているこの段階では、その勉強を「あとで誰かに教えるつもり」で進めてみましょう。
「この章を後輩に説明するなら、どう噛み砕くか」「友人に話すなら、どの例を使うか」。そんな場面を思い浮かべながら、テキストを読み進めてみてください。
ワシントン大学セントルイス校のネストイコ氏らの実験では、大学生を「あとで人に教えるのを前提に学ぶグループ」「あとでテストを受けるのを前提に学ぶグループ」「特に前提をもたないグループ」に分けて文章を学習させたところ、「人に教える前提」のグループが、自由記述・短答式テストの両方で最もよい成績を収めました。*4
実際に教えなくても、あとで人に教えるつもりで学ぶという意識そのものが、理解の整理につながると考えられます。
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なぜ、段階によって効く一手が違うのか
じつは、勉強のやる気が出ない原因はひとつではありません。
ひとことで「やる気」と言っても、そこには量の波だけでなく、「なんのために机に向かうのか」という質の違いもあります。
心理学の「自己決定理論」では、やる気は、外発的なものから内発的なものまで、段階的に移り変わっていくものとしてとらえます。*5
たとえば、「上司に言われたから仕方なく机に向かう」という状態と、「将来のために必要だから机に向かう」という状態、そして「純粋に楽しいから机に向かう」という状態は、同じ「机に向かう」という行動でも、動機づけの質はまったく違うのです。

そして、いまどの段階にいるかによって、効きやすい後押しも変わってきます。
「仕方なくやっている」段階では、まず行動のきっかけとなる環境を整えるのが有効です。逆に「好きでやっている」段階の人には、締め切りのような外的な後押しは、あまり響かないと考えられます。
自律性(自分で選んでいる感覚)、有能感(できるようになっている実感)、関係性(誰かとつながっている感覚)。この3つが満たされるほど、外側からの動機づけは、内側からの動機づけへと近づいていくと言われています。
この「内発的な動機づけ」についてより詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
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やる気が出ない自分を責める必要はありません。やる気に波があるのは、誰にとっても自然なことです。
いまの状態に合った小さな一手さえ見つかれば、行動は思っているより軽く始められます。次にテキストを開けずにいると感じたら、まずは4つの質問から始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. この診断はどうやって使えばいいですか?
Q. 診断結果は毎回同じですか?
Q. やる気が全く出ない日はどうすればいいですか?
Q. 今日はできても、明日も続けられるか不安です。どうすればいいですか?
*1: 日本心理学会「心理学ワールド」104号|習慣形成の健康心理学
*2: PHPオンライン|なぜ「10時からやる」と決めると失敗するのか? 先延ばし癖に効く締め切り設定
*3: 鈴木克明(熊本大学)『放送利用からの授業デザイナー入門』|第5章 授業の魅力を高める作戦〜ARCSモデルに学ぶ(1)〜
*4: PRESIDENT Online|10分間散歩した後、誰かに教えるつもりで、手書きでノートにまとめると、絶対に忘れない
*5: 『日本の人事部』|自己決定理論とは|意味、三つの欲求、事例を解説
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。