
「なぜ見知らぬ他人の家に泊まれるのか?」「なぜヤクルト1000は、腸の会社が睡眠で爆発的に売れたのか?」「なぜエルメスは、買えないことで世界一売れるブランドになれたのか?」
これらの問いにも、じつは共通の構造があります——「顧客が動く理由を、正しく設計しているかどうか」。
この連載【新人さんのためのマーケティング講座 Season5】では、信頼の設計・習慣化の仕掛け・文脈の書き換えという3つの軸を軸に、国内外の多彩な事例を全20回で読み解きます。
顧客は「いい商品だから買う」のではありません。「信じられるから」「続けてしまうから」「自分向けの話だと感じるから」動くのです。その設計を知ることが、売れ続ける仕組みをつくる第一歩です。
・Season4を読み終えて「もっと多様な事例で考えたい」と感じている人
・「なぜあの商品は売れ続けるのか」を構造として理解したい人
・信頼・習慣・希少性といったキーワードをビジネスで使えるようになりたい人
・後発・異業種からの逆転事例から学びたい人
・デジタル×リアルが交差する現代の顧客設計を知りたい人
・見知らぬ他者への「信頼コスト」をどう下げるか
・習慣化・ゲーミフィケーション・可変報酬で継続行動を引き出す設計
・既存商品の「文脈を変えるだけ」で市場を取り直すリフレーミング戦略
・ブランドの「余白」と希少性が生み出す熱狂のメカニズム
・後発・素人・異業種から市場を崩した逆転の設計思想
- 【第1章】信頼をゼロから設計する——「知らない」を「使いたい」に変える
- 【第2章】需要をゼロから生み出す——「まだ欲しいと思っていない顧客」へのアプローチ
- 【第3章】やめられない仕組みを設計する——習慣化とゲーミフィケーション
- 【第4章】文脈を書き換える——リフレーミングで新しい「勝てる土俵」をつくる
- 【第5章】「余白」と「希少性」を設計する——あえて語らず、あえて絞る
- 【第6章】後発・素人・異業種からの逆転——「不利」を武器にする発想
- 【第7章】プラットフォームと新しい市場設計——「場」を作った者が勝つ
【第1章】信頼をゼロから設計する——「知らない」を「使いたい」に変える
顧客がサービスを使わない最大の理由は、機能の不足ではなく「不安」です。この章では、信頼コストを下げることで新しい市場そのものを生み出した設計思想を学びます。
vol.1:他人の家をホテルにするという「非常識」の壁を、Airbnbはどう壊したのか

▶ vol.1:他人の家をホテルにするという「非常識」の壁を、Airbnbはどう壊したのか
「知らない人の家に泊まる」——この本能的な拒絶感を、Airbnbはプロフィール・レビュー・保険・写真家派遣という多層の信頼設計で乗り越えました。
この記事では、「信頼のレイヤー」を積み上げることで心理的摩擦を段階的に除去していく設計と、プラットフォームビジネスにおける信頼インフラの作り方を解説します。
vol.2:なぜファミマの靴下は「緊急の代用品」ポジションを抜け出せたのか

▶ vol.2:なぜファミマの靴下は「緊急の代用品」ポジションを抜け出せたのか
「コンビニの服は仕方なく買うもの」——この固定観念を、品質への投資とブランディングの刷新でファミマは書き換えました。
この記事では、「代用品」という低信頼ポジションから「選ばれる商品」へとシフトするためのブランド再設計と、チャネルが持つイメージとの戦い方を解説します。
vol.12:なぜセブンのPBは、「安さ」を捨てた途端に売れるようになったのか

▶ vol.12:なぜセブンのPBは、「安さ」を捨てた途端に売れるようになったのか
「プライベートブランド=安かろう悪かろう」という常識を、セブンプレミアムは品質への振り切りで覆しました。
この記事では、「安さ」をブランドの軸から外すことで生まれる信頼感の変化と、価格ではなく品質でポジションを取ることの長期的な優位性を解説します。
【第2章】需要をゼロから生み出す——「まだ欲しいと思っていない顧客」へのアプローチ
「比較検討している顧客」だけを狙っても、市場は広がりません。この章では、まだ需要を自覚していない人々に「気づき」を届けることで市場そのものを創造した事例を学びます。
vol.3:検索すらしない「遠い顧客」に、TikTokはどう情報を届けているのか

▶ vol.3:検索すらしない「遠い顧客」に、TikTokはどう情報を届けているのか
検索は「すでに欲しいと思っている人」しか動かしません。TikTokのアルゴリズムは、まだ欲しいとすら思っていない人の前に商品を届けます。
この記事では、「潜在需要の顕在化」というマーケティングの難題をアルゴリズムが解く仕組みと、ディスカバリー型プラットフォームが従来の広告と根本的に異なる理由を解説します。
vol.5:きのこ・たけのこの「争い」は、なぜ人を楽しく戦わせることができたのか

▶ vol.5:きのこ・たけのこの「争い」は、なぜ人を楽しく戦わせることができたのか
「どっちが好きか」を選ばせるだけで、消費者は自ら拡散してくれる——きのこの山・たけのこの里の党争キャンペーンはその典型です。
この記事では、「陣営化」が生み出すアイデンティティへの訴求と口コミ拡散のメカニズムと、コンテンツを消費させるのではなく「参加させる」マーケティングの設計思想を解説します。
vol.6:腸のヤクルトから、睡眠のヤクルトへ。老舗企業のブランドが再び輝いた鮮やかなリフレーミング

▶ vol.6:腸のヤクルトから、睡眠のヤクルトへ。老舗企業のブランドが再び輝いた鮮やかなリフレーミング
長年「腸内環境の商品」として認識されていたヤクルトが、「睡眠改善飲料」として突如話題の中心に躍り出ました。商品は変わっていない。変わったのは「文脈」です。
この記事では、既存のエビデンスを別の需要に接続することで新市場を開く「文脈のピボット」と、SNS時代の口コミがリフレーミングを加速させるメカニズムを解説します。
【第3章】やめられない仕組みを設計する——習慣化とゲーミフィケーション
一度使ってもらっても、続けてもらえなければビジネスになりません。この章では、人間の行動心理を活用して「続けてしまう」「また来てしまう」設計を生み出した事例を学びます。
vol.4:マックはなぜハッピーセットにあんなにも力を入れるのか

▶ vol.4:マックはなぜハッピーセットにあんなにも力を入れるのか
ハッピーセットは「子ども向けの商品」ではありません。それは、マクドナルドにとっての「生涯顧客を獲得するための最重要投資」です。
この記事では、LTV(顧客生涯価値)の視点から見たハッピーセットの戦略的意味と、子どもの頃に形成されたブランド体験が大人になっても購買行動を左右し続けるメカニズムを解説します。
vol.7:Pokémon Sleepが2,000万人の夜を変えた、普通じゃないゲーミフィケーション

▶ vol.7:Pokémon Sleepが2,000万人の夜を変えた、普通じゃないゲーミフィケーション
「ゲームをやめて寝ろ」という常識に対して、「寝ることがゲームになる」という発想の転換。この逆転こそが2,000万人のユーザーを獲得した核心です。
この記事では、「行動そのものを報酬ループの一部にする」という習慣設計の究極形と、強力なIPがゲーミフィケーションに掛け算されるときの爆発力を解説します。
vol.10:なぜバンダイは、「子どもの玩具」を4年で3倍の1,200億円市場に育てられたのか

▶ vol.10:なぜバンダイは、「子どもの玩具」を4年で3倍の1,200億円市場に育てられたのか
「何が出るかわからない」——この予測不可能性こそが、ガシャポンを子どもだけでなく大人を熱狂させる機械に変えた設計の核心です。
この記事では、可変報酬スケジュールが行動の継続に与える影響と、ランダム性を「ストレス」ではなく「快感」に変換するプロダクト設計の具体的な方法を解説します。
vol.13:なぜドン・キホーテは、「どこに何があるかわからない店」で36年増収増益を続けられるのか

▶ vol.13:なぜドン・キホーテは、「どこに何があるかわからない店」で36年増収増益を続けられるのか
「探しにくい」「ごちゃごちゃしている」——これらは通常、小売の欠点です。しかしドン・キホーテにとっては、それが顧客を引き付け続ける最大の武器になっています。
この記事では、「圧縮陳列」と「カオス設計」が生み出す「宝探し」という感情体験と、非効率に見える設計が実は来店頻度と購買単価を高める理由を解説します。
【第4章】文脈を書き換える——リフレーミングで新しい「勝てる土俵」をつくる
商品も技術も変えていない。しかし「誰向けの、どんな文脈の商品か」を変えるだけで、市場は劇的に変わります。この章では、文脈の書き換えによって既存の強みを新しい市場に接続した事例を学びます。
vol.8:なぜサントリーの45年赤字事業は、カテゴリーの「ちょっとずらし」で黒字化できたのか

▶ vol.8:なぜサントリーの45年赤字事業は、カテゴリーの「ちょっとずらし」で黒字化できたのか
「ビールの代替品」から「自分へのご褒美」へ——プレミアムモルツが黒字化したのは、品質の改善ではなく消費シーンの再定義によるものでした。
この記事では、「何と競合するか」の再設定がどれほど劇的に商品の見え方を変えるかと、プレミアム化の本質が「機能」ではなく「感情的文脈」にある理由を解説します。
vol.15:なぜジェラート ピケは、「部屋着」を1万円で売れる贅沢品に変えられたのか

▶ vol.15:なぜジェラート ピケは、「部屋着」を1万円で売れる贅沢品に変えられたのか
「部屋着に1万円は払えない」——この常識に対し、「自分を甘やかす贅沢」という文脈で設計されたジェラート ピケは、まったく別の価格感を作り出しました。
この記事では、「自己投資」「ご褒美」という感情ラベルが価格感度を変える仕組みと、競合との比較軸をずらすことで価格競争から降りるブランド設計を解説します。
vol.14:なぜ40代は、最新ゲームより「30年前のドラクエ」に熱狂するのか

▶ vol.14:なぜ40代は、最新ゲームより「30年前のドラクエ」に熱狂するのか
最新技術を使わなくても、過去の体験の「再訪」という文脈で設計された商品は、圧倒的な感情的価値を持ちます。ドラクエリメイクはその象徴です。
この記事では、「ノスタルジア」をブランド資産として活用する戦略と、過去の体験に基づく強固な感情的結びつきを商業的に活かす設計思想を解説します。
【第5章】「余白」と「希少性」を設計する——あえて語らず、あえて絞る
強いブランドは、機能を詰め込まず、誰にでも売ろうとしません。この章では、「余白」と「希少性」を意図的に設計することで生まれる熱狂と忠誠心の構造を学びます。
vol.9:なぜキティは「仕事を選ばない」のに、ブランドが毀損されないのか

▶ vol.9:なぜキティは「仕事を選ばない」のに、ブランドが毀損されないのか
ハローキティは文具にもコラボラーメンにもなる。それでもブランド価値が保たれるのは、「口がない」「感情を持たない」という余白設計があるからです。
この記事では、「感情の余白」を持つキャラクター設計がなぜあらゆるコンテキストへの適応を可能にするかと、ブランドのコアをどこに置くかという本質的な問いを解説します。
vol.20:なぜエルメスは、「買えない」ことで世界一売れるブランドになれたのか

▶ vol.20:なぜエルメスは、「買えない」ことで世界一売れるブランドになれたのか(最終回)
「バーキンが欲しければ、まず別の商品で購買履歴を積め」——この非常識なルールが、エルメスを世界最高のブランドにしている設計の核心です。
この記事では、「入手困難性」が欲望を増幅させる希少性の心理学と、意図的に需要と供給のギャップを維持することがブランドの長期的な価値を守る理由を解説します。Season5全体を貫く「顧客を動かす設計」の本質がこの最終回に結実します。
【第6章】後発・素人・異業種からの逆転——「不利」を武器にする発想
業界経験もなく、認知度もなく、販売網もない——それでも市場を取れる設計があります。この章では、後発・異業種・素人という「弱者の条件」を強みに変えた逆転の思考法を学びます。
vol.11:なぜ酒類の素人だったコカ・コーラが、サントリーやキリンの牙城を崩せたのか

▶ vol.11:なぜ酒類の素人だったコカ・コーラが、サントリーやキリンの牙城を崩せたのか
業界の常識を知らないからこそ、既存プレイヤーが見えていない戦い方ができることがあります。コカ・コーラのレモンドウはその好例です。
この記事では、後発参入者が「無知の強み」を活かして既存勢力を崩す競争戦略と、既存市場の論理に縛られないことで見えてくる勝ちパターンを解説します。
vol.17:センスより、データ——SHEINが証明した「在庫ゼロ」への最短ルート

▶ vol.17:センスより、データ——SHEINが証明した「在庫ゼロ」への最短ルート
ファッション業界の常識は「デザイナーのセンス」でした。SHEINはそれをデータで代替し、需要を予測してから作るという製造の逆転を実現しました。
この記事では、C2M(Customer to Manufacturer)モデルがいかに在庫リスクを消し、スピードを武器にするかと、データドリブンが従来のファッションビジネスの前提を根底から覆す構造を解説します。
vol.18:なぜAnkerは、広告も量販店営業もせずに充電器市場を制覇できたのか

▶ vol.18:なぜAnkerは、広告も量販店営業もせずに充電器市場を制覇できたのか
テレビCMも量販店の棚も持たないAnkerが、なぜ充電器カテゴリーでブランドとして認知されるまでになったのか。その答えは「レビューの複利」にあります。
この記事では、ECレビューが検索露出・信頼・購買を自己強化するフライホイール構造と、広告費ゼロでブランドを育てるデジタル時代の新しい勝ち方を解説します。
【第7章】プラットフォームと新しい市場設計——「場」を作った者が勝つ
商品を売るだけでなく、「場」そのものを設計することで新しい市場を生み出す——これが現代のマーケティングの最前線です。この章では、プラットフォーム設計・B2B2C戦略・コミュニティ主導の成長事例を学びます。
vol.16:UberEatsは、なぜ人手不足の時代に大量の「配達員」を集められたのか

▶ vol.16:UberEatsは、なぜ人手不足の時代に大量の「配達員」を集められたのか
「副業」「自由な時間」「稼ぐ手段」——UberEatsは労働の文脈を再定義することで、既存の雇用市場では集まらない層を配達員として動員しました。
この記事では、「ギグワーク」という概念が供給側の参入障壁を下げ、プラットフォームのスケールを可能にするメカニズムと、労働市場へのリフレーミングが競争優位になる構造を解説します。
vol.19:導入2600施設。なぜ、リファは多くのホテルが「置きたい」と思えるブランドをつくれたのか

▶ vol.19:導入2600施設。なぜ、リファは多くのホテルが「置きたい」と思えるブランドをつくれたのか
ホテルが「置いてあげる」ではなく「置かせてほしい」と思うブランドがあります。リファはまさにその逆転を実現しました。
この記事では、B2B2Cの設計においてホテルという「接点」を体験の場に変える戦略と、法人導入が消費者への信頼証明になるというB2B2C独自のブランディング構造を解説します。
全20回、お疲れ様でした!
Season5のキーワードは「信頼・習慣・文脈の再設計」でした。読み終えてみると、共通のパターンが見えてくるはずです——いずれの事例も、「良い商品を作った」のではなく、「顧客が動く理由を設計した」のだということを。
Airbnbは「信頼できる場」を作った。ヤクルトは「需要の文脈」を変えた。エルメスは「手に入らない欲しさ」を設計した。Ankerは「信頼の複利」を積み上げた。
マーケティングとは、結局のところ「なぜ人は動くのか」という問いへの実装です。この問いを持ち続けながら、次のSeason6へ進みましょう。
▶ Season1(全14回)はこちら|マーケティングの基礎概念からWeb広告の実務知識まで
▶ Season2(全15回)はこちら|PL翻訳術、弱者の戦略、広告評価、インタビュー技術まで
▶ Season3(全20回)はこちら|世界的ブランドの「なぜ」から学ぶ顧客心理・ブランド戦略・価格設計の本質
▶ Season4(全20回)はこちら|「摩擦の除去」から学ぶ顧客体験・UX設計・ブルーオーシャン戦略
岡 健作(おか・けんさく)
株式会社新恵社代表取締役/スタディーハッカー(現(株)イングリッシュカンパニー) 創業者。
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学卒業。2010年に創業。「Study Smart(合理的に学ぶ)」をコンセプトに、科学的知見に基づく英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」を設立し、人気ブランドへと成長させる。 事業拡大の要として、自らオウンドメディアとSNSの編集長を兼任。オウンドメディアは最大500万PV、Instagramでは月間700万PV、フォロワー27万人規模のメディアにするなど、広告費に依存しない集客モデルを確立する。現在はその知見を活かし、「企業の認知獲得の専門家」として、論理とデータに基づいた再現性の高いメディア戦略・ブランディング論を発信している。
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