
「消せない・加工できない・失敗するかもしれない」——そんなカメラが、なぜ今も世界で売れ続けるのか?「なぜアパホテルは、『高すぎる』という声を無視し続けて3期連続最高益を叩き出せるのか?」「なぜタワーレコードは、斜陽産業の真ん中で純利益14億円を稼げるのか?」
これらの問いにも、共通の構造があります——「変えないことを選んだ強さ」と「自らの定義を書き換える勇気」。
この連載【新人さんのためのマーケティング講座 Season8】では、不変であることの価値・強気の価格戦略・カテゴリーの再定義という3つの軸を中心に、国内外の多彩な事例を全20回で読み解きます。
安易に「変える」ことも、「安くする」ことも、正解とは限りません。あえて変えない。あえて高く売る。あえて名乗ることをやめる——その逆説的な決断の裏にある設計思想を、この連載で学びましょう。
・Season7を読み終えて「さらに多角的な事例を見たい」と感じている人
・値下げ・安売り以外の価格戦略を知りたい人
・「変えない」ことがなぜ武器になるのか、その構造を理解したい人
・カテゴリーの定義を書き換えるリブランディングの発想を学びたい人
・スポーツ・地域・D2Cなど幅広い業界の事例から学びたい人
・不変の商品を「ナラティブ(物語)」で選ばれ続けさせる設計
・ダイナミックプライシングなど強気の価格戦略が生む信頼
・「もはや◯◯ではない」というカテゴリー再定義の技術
・非効率に見える現場オペレーションが競争優位になる仕組み
・広告に頼らず熱狂とファンダムを生み出す設計思想
- 【第1章】変えないことの強さ——不変の商品が愛され続ける理由
- 【第2章】「高い」を恐れない——強気の価格設定が生む信頼と利益
- 【第3章】カテゴリーの定義を書き換える——「もはや◯◯ではない」企業たち
- 【第4章】非効率に見える現場が最強の武器になる
- 【第5章】熱狂とファンダムを設計する
- 【第6章】プラットフォームとエコシステムをつくる
- 【第7章】スポーツと地域をつなぐ記憶のマーケティング
【第1章】変えないことの強さ——不変の商品が愛され続ける理由
市場では「変化し続けなければ生き残れない」と言われます。しかし、あえて変えないことを選び、それでも——いや、それだからこそ愛され続けているブランドがあります。この章では、チェキ・アシックス・フェイラーという3つの事例から、不変であることがなぜ武器になるのかを学びます。
vol.1:「消せない・加工できない・失敗するかもしれない」——そのカメラが、なぜ世界で売れ続けるのか

▶ vol.1:「消せない・加工できない・失敗するかもしれない」——そのカメラが、なぜ世界で売れ続けるのか
撮り直しも、加工も、消去もできない——スマホのカメラとは真逆の「不便さ」を貫くチェキが、若い世代を中心に世界的なヒットを続けています。この記事では、「失敗する可能性」そのものが体験の価値になる逆説的なメカニズムと、完璧さがコモディティ化した時代に「不完全さ」が希少価値になる理由を解説します。
vol.2:アシックスの靴は、何も変わっていない——それなのに、なぜ世界が熱狂しているのか

▶ vol.2:アシックスの靴は、何も変わっていない——それなのに、なぜ世界が熱狂しているのか
機能もデザインも、革命的に変わったわけではありません。それでもアシックスは世界的な支持を集めています。この記事では、プロダクト自体ではなく「語られ方(ナラティブ)」を再設計することでブランドの見え方を一新する手法と、機能的価値が飽和した市場で物語がもたらす差別化効果を解説します。
vol.6:フェイラーは何も変えていない——それなのに、なぜ若者が抽選に殺到するのか

▶ vol.6:フェイラーは何も変えていない——それなのに、なぜ若者が抽選に殺到するのか
シェニール織のハンカチ——商品そのものは何十年も変わっていません。しかし今、フェイラーには若い世代が抽選に殺到しています。この記事では、既存商品を新しい文脈・チャネル・コラボレーションで再提示する「コンテキスト・リブランディング」と、「懐かしさ」が新しい世代には「新規性」として映るメカニズムを解説します。
【第2章】「高い」を恐れない——強気の価格設定が生む信頼と利益
「高すぎる」という批判を恐れて値下げに走った瞬間、ブランドは競争力を失うことがあります。この章では、アパホテル・スタジオアリス・シャトレーゼの価格戦略から、強気の価格設定がむしろ信頼と利益を生む仕組みを学びます。
vol.4:「高すぎる」という声を無視し続けるアパホテルが、3期連続最高益を叩き出す理由

▶ vol.4:「高すぎる」という声を無視し続けるアパホテルが、3期連続最高益を叩き出す理由
SNSでは「高すぎる」という批判が絶えません。それでもアパホテルは3期連続で最高益を更新しています。この記事では、需要と供給に応じて価格をリアルタイムで変動させるダイナミックプライシングの設計思想と、「一律に安くする」ことをやめた企業がなぜ長期的に強くなるのかを解説します。
vol.10:スタジオアリスはなぜ、2段階値上げをしてもなお週末の店舗が埋まり続けるのか

▶ vol.10:スタジオアリスはなぜ、2段階値上げをしてもなお週末の店舗が埋まり続けるのか
2段階の値上げを経てもなお、週末の予約は埋まり続けています。この記事では、「価格」ではなく「体験そのもの」を主役に据えることで価格弾力性を下げる設計と、記念日ビジネスにおける値上げが顧客離れを引き起こさない条件を解説します。
vol.11:シャトレーゼはなぜ、物価高の2026年に「安くて美味しい」を維持できるのか

▶ vol.11:シャトレーゼはなぜ、物価高の2026年に「安くて美味しい」を維持できるのか
原材料費が高騰し続ける中でも、シャトレーゼは「安くて美味しい」という約束を守り続けています。この記事では、製造から店舗運営までを自社で一貫して担う垂直統合モデルと、中間コストを徹底的に排除することで価格の約束を守り抜く仕組みを解説します。
【第3章】カテゴリーの定義を書き換える——「もはや◯◯ではない」企業たち
「うちはホームセンターです」「うちは野球場です」「うちはCDショップです」——そう名乗ることをやめた企業が、新しい市場を切り開いています。この章では、カインズ・エスコンフィールド・タワーレコードの3事例から、カテゴリーの定義を自ら書き換える戦略を学びます。
vol.12:「ホームセンター」という定義を捨てたカインズに、何が起きているのか

▶ vol.12:「ホームセンター」という定義を捨てたカインズに、何が起きているのか
「ホームセンター」という業態の枠組みでは説明がつかないほど、カインズは変貌しています。この記事では、企画・製造・販売を自社で一貫して行うSPA(製造小売業)戦略への転換と、業態の看板を自ら書き換えることで得られる新しい競争優位を解説します。
vol.13:営業利益193%増・累積損失一掃——エスコンフィールドが「野球場」の概念を破壊した方法

▶ vol.13:営業利益193%増・累積損失一掃——エスコンフィールドが「野球場」の概念を破壊した方法
「野球を見に行く場所」ではなく「一日中過ごせる街」——エスコンフィールド北海道は、球場の定義そのものを塗り替えました。この記事では、試合の有無に関わらず収益を生む「ボールパーク」という事業モデルの設計と、既存の常識を破壊したことで生まれた営業利益193%増という成果の背景を解説します。
vol.20:斜陽産業の真ん中で純利益14億円——タワーレコードが「CDショップ」の定義を捨てた日(最終回)

▶ vol.20:斜陽産業の真ん中で純利益14億円——タワーレコードが「CDショップ」の定義を捨てた日(最終回)
音楽配信サービスの台頭で「CDショップ」というビジネスは終わったと言われ続けてきました。それでもタワーレコードは純利益14億円という結果を出しています。この記事では、「CDを売る店」から「音楽文化の発信拠点」への定義変更と、斜陽と言われる産業のなかで自らのポジションを再設計する方法を解説します。Season8全体を貫く「変えない強さと、常識の破壊」という原則が、この最終回に結実します。
【第4章】非効率に見える現場が最強の武器になる
「現金のみ」「まとめ買い専用」「型破りな広報」——一見非効率・非常識に見える現場のオペレーションが、実は最強の競争優位になっていることがあります。この章では、ロピア・まいばすけっと・近畿大学の事例からその構造を学びます。
vol.7:「カードが使えない、まとめ買い専用」——それでも週末に駐車場が満車になるロピアの構造

▶ vol.7:「カードが使えない、まとめ買い専用」——それでも週末に駐車場が満車になるロピアの構造
現金のみ、まとめ買い前提、レジも整然としていない——一般的な小売の「便利さ」の常識から外れているにもかかわらず、ロピアの駐車場は週末になると満車になります。この記事では、効率化とは異なる軸で顧客体験を最大化する独自の店舗運営モデルと、「不便さ」がかえって「安さの証明」として機能するメカニズムを解説します。
vol.8:年200店舗ペースで首都圏を包囲するまいばすけっとの、誰も真似できない方程式

▶ vol.8:年200店舗ペースで首都圏を包囲するまいばすけっとの、誰も真似できない方程式
小型店舗を年間200店舗のペースで出店し続け、首都圏を静かに包囲しているまいばすけっと。この記事では、高密度出店によって物流・認知・来店頻度を同時に最大化するドミナント戦略と、他社が簡単には模倣できない出店の「方程式」を解説します。
vol.9:「お行儀のいい大学広報」を捨てた近畿大学に、何が起きたのか

▶ vol.9:「お行儀のいい大学広報」を捨てた近畿大学に、何が起きたのか
従来の大学広報の「お行儀のよさ」を捨て、攻めたデジタル発信を続ける近畿大学。この記事では、権威的で保守的なイメージを意図的に崩すことで生まれる若年層への訴求力と、業界の暗黙のルールを破ることが新しいポジションを作る理由を解説します。
【第5章】熱狂とファンダムを設計する
広告に頼らずとも、顧客が自ら熱狂し、語り、通い続けるブランドがあります。この章では、リップモンスター・SHIRO・スープストックトーキョーの事例から、熱狂とファンダムを設計する技術を学びます。
vol.3:コスメは「数ヶ月で廃盤」が常識のはずだった——リップモンスターに何が起きているのか

▶ vol.3:コスメは「数ヶ月で廃盤」が常識のはずだった——リップモンスターに何が起きているのか
コスメ業界では「数ヶ月で廃盤になる」のが当たり前とされてきました。しかしリップモンスターは、その常識に反して売れ続けています。この記事では、一過性のトレンドで終わらせず、リピートと口コミで定番化させる設計と、廃盤サイクルの速いカテゴリーで「息の長い商品」をつくる条件を解説します。
vol.18:「このブランドを選ぶ自分が好き」——SHIROが広告宣伝に頼らずに熱狂を生み出す

▶ vol.18:「このブランドを選ぶ自分が好き」——SHIROが広告宣伝に頼らずに熱狂を生み出す
テレビCMも派手な広告展開もありません。それでもSHIROには熱狂的なファンがいます。この記事では、「このブランドを選ぶこと」自体が自己表現になるアイデンティティ・ブランディングと、広告費をかけずに熱狂を生み出す価値観訴求型のマーケティングを解説します。
vol.19:スープストックトーキョーはなぜ、「スープを捨てる2日間」でファンをさらに熱狂させられるのか

▶ vol.19:スープストックトーキョーはなぜ、「スープを捨てる2日間」でファンをさらに熱狂させられるのか
全店舗のスープをカレーに切り替える、年に一度の「スープを捨てる日」。一見ブランドの根幹を否定するようなこのイベントが、なぜファンをより熱狂させるのか。この記事では、「非日常の儀式」がブランドへの愛着とロイヤルティを強化するメカニズムと、あえて「いつもと違う」を提供することの戦略的意味を解説します。
【第6章】プラットフォームとエコシステムをつくる
単なる商品販売ではなく、「場」や「仕組み」そのものを作ることで、持続的な成長を実現する企業があります。この章では、ZOZO・@cosme・noshのエコシステム戦略を学びます。
vol.5:なぜZOZOは、アパレル不況のなかで取扱高過去最高を更新し続けられるのか

▶ vol.5:なぜZOZOは、アパレル不況のなかで取扱高過去最高を更新し続けられるのか
アパレル業界全体が苦戦する中、ZOZOは取扱高で過去最高を更新し続けています。この記事では、単なるECサイトではなく、出店ブランド・顧客・物流をつなぐ「エコシステム」としてのプラットフォーム設計と、業界の逆風下でも成長を続けられる構造的な強さを解説します。
vol.16:ネットのクチコミが「棚」になった——@cosmeが売上596億円を叩き出す「二階建てプラットフォーム」の構造

▶ vol.16:ネットのクチコミが「棚」になった——@cosmeが売上596億円を叩き出す「二階建てプラットフォーム」の構造
オンラインの口コミが、そのままリアル店舗の「売り場(棚)」になる——@cosmeは、レビューサイトと実店舗を接続する独自の構造で成長を続けています。この記事では、オンラインの評価データがリアルの購買行動を左右する「二階建てプラットフォーム」の設計と、リテールメディアとしての@cosmeの収益構造を解説します。
vol.17:冷凍弁当を「手抜き」と呼ばせない——noshが累計1.5億食を突破した構造

▶ vol.17:冷凍弁当を「手抜き」と呼ばせない——noshが累計1.5億食を突破した構造
「冷凍弁当=手抜き」というイメージを覆し、noshは累計1.5億食を突破しました。この記事では、サブスクリプションモデルによる継続利用の設計と、「手軽さ」を「手抜き」ではなく「賢い選択」として再定義するブランディングの手法を解説します。
【第7章】スポーツと地域をつなぐ記憶のマーケティング
スポーツと地域は、単なる「試合」や「箱物」を超えて、人々の記憶に残る体験を作り出せます。この章では、千葉ジェッツとサンフレッチェ広島の事例から、スポーツビジネスにおける記憶のマーケティングを学びます。
vol.14:千葉ジェッツはなぜ、Bリーグ史上初の売上50億円を叩き出せたのか

▶ vol.14:千葉ジェッツはなぜ、Bリーグ史上初の売上50億円を叩き出せたのか
Bリーグでは前例のなかった売上50億円という数字を、千葉ジェッツは達成しました。この記事では、試合そのものだけでなく、エンターテインメント全体として観戦体験を設計するスポーツビジネスの手法と、地域と一体化したファンベースの作り方を解説します。
vol.15:広島の夜に、帰ってきた歓声。——エディオンピースウイング広島が証明した記憶のマーケティング

▶ vol.15:広島の夜に、帰ってきた歓声。——エディオンピースウイング広島が証明した記憶のマーケティング
新スタジアム「エディオンピースウイング広島」の完成とともに、広島の夜に歓声が戻ってきました。この記事では、スタジアムという「箱」が地域の記憶と感情をどう再接続するかと、ハード(施設)とソフト(体験)を一体で設計することがもたらす熱狂を解説します。
全20回、お疲れ様でした!
Season8のキーワードは「変えない強さと、常識の破壊」でした。20の事例を振り返ると、一見矛盾するふたつの姿勢が共存していることに気づくはずです——チェキやアシックス、フェイラーのように「あえて変えない」ことで愛され続けるブランドと、カインズやエスコンフィールド、タワーレコードのように「自らの定義を壊す」ことで新しい市場を切り開いたブランドです。
大切なのは、「変えるべきもの」と「変えてはいけないもの」を見極める目を持つことです。その判断軸こそが、これからのマーケターに求められる本質的なスキルです。
Season1からSeason8まで、全149回の旅をともにしてくれてありがとうございました。
▶ Season1(全14回)はこちら|マーケティングの基礎概念からWeb広告の実務知識まで
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▶ Season4(全20回)はこちら|「摩擦の除去」から学ぶ顧客体験・UX設計・ブルーオーシャン戦略
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岡 健作(おか・けんさく)
株式会社新恵社代表取締役/スタディーハッカー(現(株)イングリッシュカンパニー) 創業者。
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学卒業。2010年に創業。「Study Smart(合理的に学ぶ)」をコンセプトに、科学的知見に基づく英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」を設立し、人気ブランドへと成長させる。 事業拡大の要として、自らオウンドメディアとSNSの編集長を兼任。オウンドメディアは最大500万PV、Instagramでは月間700万PV、フォロワー27万人規模のメディアにするなど、広告費に依存しない集客モデルを確立する。現在はその知見を活かし、「企業の認知獲得の専門家」として、論理とデータに基づいた再現性の高いメディア戦略・ブランディング論を発信している。
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