CTRとかCVRとかって何のこと? 数字をどう読み、どう動けばいい?【新人さんのためのマーケティング講座 vol.5】


Vol.4では、デジタルマーケティングの主要な施策を学びました。
SEO、Web広告、SNS、コンテンツ、メールマーケティングなど、様々な手法がありましたね。

でも、「施策を実行したら終わり」ではありません。
むしろ、そこからが本番です。

今回vol.5では、デジタルマーケティングの真骨頂である「効果測定」と、業務を効率化する「MAツール」について解説します。

なぜ効果測定が重要なのか

デジタルマーケティングの最大の強みは、効果を数字で見える化できることです。

テレビCMや新聞広告では、「どれくらいの人が見たか」は推測できても、「誰が実際に購入したか」までは追えません。
でもデジタルなら、広告をクリックした人が最終的に購入したかどうかまで、すべて数字で追跡できます。

この「数字で見える」という特性を活かさないのは、もったいない。
効果測定をすることで、何が良くて何が悪いのかが明確になり、改善の方向性が見えてきます。

効果測定の基本的な考え方

ここから3文字の英語略語が怒涛のように出てきます。
略語ばかりでむしろ非効率だと感じるかもしれませんが(笑)、ぐっと堪えてください。そのうち慣れます。
マーケティング業界では、これらの略語が会議で普通に飛び交います。知らないと置いていかれます。

ただし、重要なことを一つ。
言葉の意味が分かって、数字が読めるだけでは不十分です。

「CTRが0.5%でした」と報告しても、上司からは「で?」と聞かれます。
大切なのは、その数字になった理由を分析して、次にどう改善するかまで考えることです。

数字はあくまでスタート地点。
「なぜその数字になったのか」「何が問題なのか」「どう対策するか」まで抑えて、初めて意味のある効果測定になります。

以下で紹介する各指標には、数値が低い場合の原因と対策も書いておきます。
これをセットで覚えておくと、実際の業務でとても役立ちます。

押さえておくべき主要指標

Imp(Impression / インプ)
広告や投稿が表示された回数

数値が低い場合
原因:ターゲット設定が狭すぎる / 予算が不足している / 配信時間帯が適切でない
対策:ターゲットの年齢・地域範囲を広げる / 予算を増やす / 配信時間を調整する

CTR(Click Through Rate / シーティーアール / クリック率)
表示された中で、実際にクリックされた割合。「見た人のうち何%が興味を持ったか」

数値が低い場合
原因:広告の画像・文言が魅力的でない / ターゲット設定がずれている / クリエイティブが古くなっている / 広告クリエイティブやキーワードが最適化されていない
対策:画像やキャッチコピーを変更してABテストする / ターゲット設定を見直す / 競合の広告を参考にする / 表示オプションを活用する / クリエイティブを定期的に更新して鮮度を保つ

CVR(Conversion Rate / シーブイアール / コンバージョン率)
クリックした人のうち、申し込みや購入に至った割合。「興味を持った人のうち何%が行動したか」

数値が低い場合
原因:ランディングページ(LP)が分かりにくい / ファーストビューの訴求が弱い / 価格が高すぎる / 申し込みフォームが複雑すぎる / 広告とページの内容がずれている / CTAボタンが目立たない
対策:ページの構成を見直す / ファーストビューを最適化する / 価格を再検討するか理由を説明する / フォームの入力項目を減らす / 広告とページの整合性を確認する / CTAボタンを改善する

CPA(Cost Per Acquisition / シーピーエー / 顧客獲得単価)
1件のコンバージョン(成果・申込・購入)を得るためにかかった広告費。「1件の申込を獲得するのに、いくら使ったか」

目安:CPA > 利益額の場合は赤字運用のため、利益額未満に設定
原因:CTRが低く十分なトラフィックが取れていない / CVRが低くLPや訴求が弱い / ターゲットが広すぎる、またはミスマッチな配信 / 獲得効率の悪いチャネルに予算が分散している
対策:CTRとCVRを個別に改善する(上記参照)/ 成果の高いオーディエンスに集中投資する(ターゲティング最適化) / 除外設定を見直して無駄クリックを抑える / 高CPAチャネルを縮小し、低CPAチャネルへ予算を再配分する(チャネルパートフォリオの調整)

ROAS(Return On Advertising Spend / ロアス / 広告費用対効果)
広告費に対して、どれだけの売上があったか。「1万円の広告費で、何万円売れたか」

目安:200%以上が健全、100%以下は赤字
原因:CTRやCVRが低い / 商品単価が低すぎる / ターゲットが適切でない
対策:まずCPAを改善する(上記参照)/ 客単価を上げる施策を検討する / 費用対効果の悪い広告を停止し、良い広告に予算を集中させる

ABテストで改善を繰り返す

ABテスト(A/B Testing / エービーテスト)とは、2つ以上のパターンを同時に試して、どれが最も効果的かを数字で比較する方法です。
「勘ではなくデータで判断」の代表例です。

 
 

ABテストの具体例

状況
広告のクリック率を上げたい

方法
「猫の写真」(Aパターン)と「犬の写真」(Bパターン)を同時に配信して、CTRを比較

結果
猫の写真のCTRが2%、犬の写真のCTRが3%だった → 犬の写真を採用

※必ずしも2種類とは限りません。A、B、C、Dと複数パターンを同時にテストすることもあります。
画像だけでなく、キャッチコピー、ボタンの色、価格表示など、あらゆる要素でABテストができます。

ABテストの落とし穴
ABテストは「既にあるものの中からベストを選ぶ」方法です。つまり、あくまで比較にすぎません。
こればかりやっていると、新しいアイデアが生まれず、施策が先細りしていきます。

だから、クリエイティブ(広告画像や動画、バナーなど)は常に新しいものを作って試し続けることが大切です。「既存のパターンの最適化」と「新しいパターンの創造」、両方のバランスが必要なんです。

MAツールで効率化する

デジタルマーケティングを進めていくと、「やることが多すぎる!」と感じるはずです。

メール配信、顧客リスト管理、効果測定、フォローアップ…手作業でやっていたら時間がいくらあっても足りません。

そこで役立つのがMA(マーケティングオートメーション)ツールです。

MAツールとは

MAツールとは、マーケティング業務の一部を自動化してくれるソフトウェア。
例えば、こんなことができます。

・資料をダウンロードした人に、3日後に自動でフォローメールを送る
・Webサイトで特定のページを見た人を記録して、興味の度合いを可視化する
・見込み客の行動履歴を管理して、適切なタイミングで営業に引き渡す

MAツールが得意なこと

1. リードナーチャリング(見込み客の育成)
一人ひとりの見込み客に対し、それぞれの検討段階に応じて必要な情報を提供し、購買ステップまで育成していきます。

2. スコアリング
Webサイトの閲覧履歴やメールの開封状況などから、見込み客の「興味の度合い」を数値化します。これにより、営業が優先してアプローチすべき顧客が分かります。

3. 行動の可視化
「いつ」「どのページを」「何回見たか」といった行動を記録・可視化します。営業担当者は、この情報をもとに適切なタイミングでアプローチできます。

BtoBビジネス(企業向けビジネス)では特に導入が進んでいます。
最初は無料プランから始められるツールもあるので、小さく試してみるのがおすすめです。

データを見ながら改善を繰り返す

効果測定で大切なのは、「見る→考える→改善する→また見る」のサイクルを回し続けることです。

1回測定して終わりではなく、継続的に数字をチェックして、仮説を立てて、改善策を実行する。
このPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を回すことで、少しずつ成果が上がっていきます。

 
 

改善サイクルの例

1. 現状を把握
Web広告のCTRが0.5%、業界平均は1.5%。明らかに低い。

2. 原因を考える
広告の画像が地味すぎるのではないか?キャッチコピーが弱いのではないか?

3. 改善策を実行
鮮やかな色の画像に変更し、数字を入れた具体的なキャッチコピーに変える。

4. 効果を測定
1週間後、CTRが1.8%に改善。さらに次の改善点を探す。

最初から完璧にできる人はいません。
大切なのは、小さく試して、学んで、改善することです。

コラム:デジタルとリアルの融合

デジタルマーケティングは強力ですが、「デジタルだけ」で完結するわけではありません。

むしろ、デジタルとリアル(オフライン)を組み合わせるのが現代の主流です。

カフェの例で言えば、
・Instagram広告で認知してもらう(デジタル・集客)
→ Webサイトでメニューや雰囲気を確認(デジタル・接客)
→ 実際に来店してもらう(リアル)
→ 会員登録してもらう(デジタル)
→ メルマガで新メニューを案内(デジタル・販売促進)
→ クーポンを使って再来店(リアル)

このようにデジタルとリアルを行き来しながら、お客様との関係を深めていきます。
オンラインで集客して、オフラインで体験してもらい、またオンラインでフォローする。
この「シームレスな顧客体験」を設計することが、これからのマーケティングでは重要になっています。

***
効果測定は、最初は難しく感じるかもしれません。
でも、数字を見て、考えて、改善するというシンプルなサイクルを繰り返すだけです。

完璧を目指さず、まずは主要な指標(Imp、CTR、CVR、CPA、ROAS)だけでも追いかけてみてください。
そして、MAツールのような便利なツールも活用しながら、効率的にマーケティング活動を進めていきましょう。

データは嘘をつきません。
数字と向き合いながら、少しずつ成果を積み上げていってください!

【新人さんのためのマーケティング講座全記事はこちら】
vol.1:マーケティング部ってなにするところ?
vol.2:「顧客獲得の仕組み」をつくるって何をすること?
vol.3:考える武器 "フレームワーク" を手に入れよう。
vol.4:Webマーケティングってなにをすること? 具体的手法を整理しよう
vol.5:CTRとかCVRとかって何のこと? 数字をどう読み、どう動けばいい?
vol.6:KGIとKPIとは? マーケティングの「宝の地図」の作り方
vol.7:マーケティングファネルがわかればもう迷わない。恋愛に学ぶ「ファネル」の話
vol.8:Web広告って、結局どれがいいの? 目的別Web広告の選び方
vol.9:CPAが効果検証の要! できるだけお金をかけずにお客様に振り向いてもらおう
vol.10:マーケ用語を覚えておこう|広告の種類と基本用語編
vol.11:マーケ用語を覚えておこう|効果測定の指標用語
vol.12:マーケ用語を覚えておこう|SEO/SEM関連用語編
vol.13:マーケ用語を覚えておこう|アクセス解析用語編
vol.14:マーケ用語を覚えておこう|総合テスト編

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

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    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
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