12月30日月曜日 1:14 a.m. ——
スマホの画面にはこう表示されている。
今年ももう終わり。新年に立てた「ムダな夜更かしをやめる」という目標は、まったく達成できなかった。毎晩こうして、「あと30分だけスマホ」を繰り返してしまう自分に嫌気が差してきた。
先週の課内ミーティングにも、ぼんやりとした頭で資料を探しながら、あわてて参加するような始末。画面の向こうの顔ぶれを見ると、みんな何だか朝から元気そうだ。この悪習慣を改善する方法を、本気で考えないと。
そういえば先日、部の若手メンバーが「新年から新しいルーティンを始めます」と意気込んでいた。営業部の田中さんは今年の目標だった禁煙に成功したとか。周りを見渡せば、誰もが何かしらの習慣改善に取り組もうとしている。
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年末年始は、生活習慣の見直しを考える特別な時期。でも、仕事始めと同時に、新しいルーティンを定着させる戦略もないまま、気合いを入れすぎた「今年こそは絶対に5時起き!」なんて無理な目標は、あっという間に挫折してしまいます。
本記事では、この「年末年始のリセット感」を活かしながら、新年の習慣化におすすめの3ステップをご紹介します。完璧を目指すのではなく、「小さな一歩」から始めて、確実に成果を積み重ねていく方法を身につけましょう。
あなたの悪習慣改善、まずは「見える化」から
夜更かし、スマホ依存、だらだら朝……。私たちの生活の中には、「なんとかしたい」と思いながらも、なかなか改善できない習慣がたくさんあります。新年を前に、その悪習慣と正直に向き合ってみましょう。
悪習慣改善の方法で最も重要なのは、「なぜそれが起きるのか」を理解すること。心理学では、これを「トリガー(きっかけ)」と呼びます。新しいルーティンを定着させるには、まずこうしたトリガーを特定することが大切です。
このトリガーを見つけるために効果的なのが、1週間ほどの「習慣記録」です。スマートフォンのメモ帳でも、手帳でも構いません。いつ、どんな状況で、どんな気持ちの時に悪習慣が顔を出すのか。発生した時間帯、その時の状況、心理状態を簡単にメモしていきます。
記録から見えてくる悪習慣のパターンに対して、次は具体的な「代替行動」を用意します。新年の習慣化におすすめの方法は、「やめる」より「置き換える」こと。
夜のSNS習慣が問題なら、スマートフォンは別室に置き、代わりに文庫本を枕元に。ストレス時の間食が気になるなら、お菓子を買わず、好みのハーブティーをストックしておく。朝の寝坊癖を直したいなら、アラームは遠くに置き、目覚めたらまずカーテンを開ける――。
この「トリガーの特定」と「代替行動の設計」という戦略が、確実な悪習慣改善の第一歩となります。
アクションポイント
- 1週間、悪習慣の発生時刻と状況をメモする
- 記録から共通する「トリガー」を見つける
- トリガーごとに具体的な「代替行動」を決める
無理のない新しいルーティンを、小さな一歩から
悪習慣のトリガーが見えてきたところで、次は新しい習慣化への具体的なステップを考えていきましょう。ここでよくある失敗が、意気込みすぎた目標設定です。「毎朝5時起き」「1日1時間の勉強」「週5回のジム通い」。こうした高いハードルは、かえって挫折を招きやすくなります。
新しいルーティンを定着させる戦略として大切なのは、できるだけ小さな一歩から始めること。朝型の習慣を目指すなら、いきなり2時間早起きを目標にするのではなく、まずは15分だけ早く目覚まし時計をセット。「毎日勉強する」と気負うのではなく、「通勤電車で5分だけ本を開く」という具合に始めてみましょう。
この小さな行動を確実に実行するために、環境づくりも重要です。
新年の習慣化におすすめなのは、「行動のきっかけ」を目に見える形で用意すること。例えば、夜に運動をする予定なら、朝のうちに運動着を目につく場所に置いておく。読書を習慣にしたいなら、かばんに小さな文庫本を常備する。どれも些細な工夫ですが、継続の助けになります。
もう一つ大切なのは、自分のリズムに合った方法を見つけること。例えば、生来の夜型に「早朝ルーティン」を無理強いしても長続きはしません。まずは1週間ほど、様々な時間帯で試してみましょう。その中で「これなら続けられそう」という手応えのある方法を選び、少しずつステップアップしていくのです。習慣改善は、こうした試行錯誤の積み重ねで形作られていきます。
アクションポイント
- 現実的な小さな目標から始める(例:15分早起き)
- 行動のきっかけを目に見える場所に用意する
- 1週間ほど異なる時間帯で試し、自分に合ったリズムを見つける
確実な習慣定着へ、21日間で調整しながら
新しいルーティンを定着させる戦略として、まず知っておきたいのが「21日の法則」です。新しい習慣が自然な行動として定着するまでには、一般的に3週間から3ヶ月程度かかるといわれています。この期間を乗り切るには、自分の進捗を「見える化」することが効果的です。
スマートフォン世代の私たちにとって、最も手軽なのは習慣化アプリの活用でしょう。毎日の達成状況をワンタップでチェックでき、グラフで進捗を確認できる手軽さが魅力です。特に新年の習慣化におすすめなのは、リマインダー機能がついたアプリ。「今から10分、本を読む時間だよ」といった通知が、行動の後押しをしてくれます。
一方で、アナログな手帳やノートの良さも見逃せません。毎日の達成を丸や印でチェックしていく単純な作業には、不思議と継続する力があるものです。スマートフォンの通知をつい消してしまう人は、手帳を開くたびに目に入る習慣トラッカーの方が、習慣改善の効果を実感できるかもしれません。
どちらの方法を選ぶにしても、大切なのは「柔軟な調整」です。例えば、1週間続けてみて「これは少しハードルが高いかも」と感じたら、目標を一時的に下げてみる。「10分の読書」が難しければ「5分」に。「毎日の運動」が続かなければ「平日だけ」に。こうした柔軟な姿勢が、新しいルーティンの定着につながっていきます。
アクションポイント
- 最低3週間は継続することを意識する
- デジタルかアナログか、自分に合った記録方法を選ぶ
- 週単位で振り返り、必要に応じて目標を調整する
さあ、新年からの習慣改善へ。あなたらしい一歩を
師走の慌ただしさのなか、あなたのなかにも「来年こそは」という思いが芽生え始めているのではないでしょうか。新しいルーティンを定着させる戦略を考えるなら、この年末年始という節目は、確かに絶好のタイミングです。
しかし、ここで思い出していただきたいのは、新年の習慣化で何よりも大切なのは、「理想」ではなく「継続」だということ。完璧な計画を立てることより、続けられる方法を見つけることに力を注いでください。
🎍 新習慣定着への3ステップ 🎍
Step 1:トリガーを理解し、代替行動を用意
毎日の行動を観察して記録。悪い習慣の引き金を見つけ、新しい行動で置き換えましょう。
Step 2:小さな行動から始める
「5分」「1ページ」など、確実にできる範囲から。環境づくりも忘れずに。
Step 3:進捗を見える化
アプリや手帳で記録をつけ、少しずつステップアップ。継続を実感しましょう。
年末のこの時期、あなたもきっと何かを変えたいと考えているはずです。その思いを大切に、でも焦らずに。
たとえ途中で躓いても、それは決して後退ではありません。よりよい習慣を見つけるためのヒントとして、前を向いていきましょう。
新しい年の始まりに、あなたらしい一歩を踏み出してみませんか? 小さな変化の積み重ねが、やがて大きな変化となって、来年のこの時期、きっと違う自分に出会えるはずです。
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習慣づくりに完璧はありません。あなたらしいペースで、あなたらしい方法を、一緒に見つけていきましょう。
STUDY HACKER | 勉強を習慣化できない自分を変えるために「10のしないこと」を考えてみた
STUDY HACKER 編集部
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