夜に勉強する方々へ、朗報です!
「朝型が理想的」と言われる中、仕事や家事に追われ、夜しか勉強時間が取れない...そんな悩みを抱える方々に、朗報があります。実は、夜の時間帯には驚くべき学習効果が隠されていたのです。
脳科学の最新研究によれば、夜の勉強には独自の利点があります。聴覚が最後まで活発に働く特性や、睡眠前の脳の状態を利用すれば、効率的な学習が可能になるのです。
本記事では、夜に焦点を当てた3つの効果的な勉強法をご紹介します。これらの方法を実践すれば、限られた時間でも最大限の効果を得られるはずです。
眠る前のたった1時間で、あなたの学習効率が劇的に変わるかもしれません。夜型の方々に最適化された、驚きの勉強法とは?ぜひ、その秘密を探りに来てください。
夜は耳から学ぶ勉強法がおすすめ
聴覚は寝る直前まで働いている、ということを知っていますか?
脳内科医の加藤俊徳氏は、「聴覚は、朝一番に活動を始めて、1日の最後、眠る直前まで活動を続け」ると述べています。*1
夜になり勉強時間は確保できたものの、「今日は忙しかったから疲れている……」というときは、聞く勉強法がおすすめです。寝る直前まで活動している聴覚を上手に使うことで、効率的にインプットすることができるのです。
また同氏は、「人の記憶は眠っている間に整理されて定着」するという「脳の特性からしても、眠る前に耳から情報を取り入れる聴覚を活かした勉強法はおすすめ」であると語っています。*1
さて、具体的にはどのような勉強をするのがいいのでしょうか。同氏は、「音読」や「オーディオブックやラジオ」といった、「耳から学べるツール」をすすめています。*1
余力があるときは、参考書の音読をする。疲れていると感じたときは、オーディオブックで参考書の内容を聞くというように、そのときの体力ややる気に合わせて勉強方法を選べるようにしておけば、継続して勉強できそうですね。
寝る直前に勉強する内容は暗記じゃなくてもいい
「寝る前は暗記をするといい」という話をよく聞きますよね。しかし、必ずしも暗記でなくてもいいということを知っていましたか? 東京大学薬学部教授で、大脳生理学を専門とする池谷裕二氏は、以下のように述べています。
特に寝る直前に勉強した内容は記憶の定着がよくなります。かつては暗記ものがよいとされましたが、現在はなんでも大丈夫です。*1
夜は、記憶に定着しやすい時間帯なので、暗記などのインプットに徹するといいイメージがありますよね。
たしかに寝る前に勉強した内容は、記憶に定着しやすくなるという説もあります。だからといって、用語の暗記ばかりする必要はなく、過去問を解いたり、テキストを通読したりする勉強法でもいいわけです。
そうすることで、「覚えよう」と意気込まなくても、問題の解き方や、テキストの大枠が記憶に定着するのです。
ひとつ注意したいのは、夜の勉強のあとのスマホです。寝る直前にスマホを見ると、記憶が定着しにくくなってしまうのです。脳内科医の加藤俊徳氏は、記憶の定着と寝る直前のスマホの関係について、以下のように述べています。
記憶に定着させたいことを復習したら、他の情報をなるべく入れないようにすることです。
脳には、より最新の情報を上書きするような仕組みがあります。
なので、ベッドに入ってからスマホをいじったりしてしまうと記憶の撹乱が起きて、覚えておきたかったことの定着率を下げてしまうのです。*2
夜は記憶に定着しやすい、ということを活かして勉強したとしても、そのあとにスマホを見てしまうと効果が薄れてしまうのですね。
これは、なにもスマホに限ったことではなく、テレビやマンガ、雑誌などでも一緒です。寝る直前に、勉強した内容とは関係のないインプットをすると、勉強内容が記憶に定着しにくくなるのです。
寝る前は好きなものを見てリラックスしたいところですが、勉強面から考えると、朝のお楽しみにしたほうがいいかもしれません。
夜問題に目を通すと、朝ひらめいて解ける
朝から活動している脳は、夜になると疲弊してしまい、クリエイティブな発想は出にくくなるというのはよく聞く話ですよね。しかし、夜にインプットした情報が、翌朝にひらめきとして表に出てくることがあるのです。
前出の池谷氏は、以下のように述べています。
問題に目を通してから眠ると、翌朝にひらめく確率が高いのです。寝る前に問題や課題に目を通しておくことも重要です。*3
夜に問題に目を通しておくだけで、翌朝問題を解ける確率が高くなるかもしれないのですね。難しい問題や論述問題が苦手で、なかなかひらめかずに困っている……という方は、夜のうちに問題に目を通しておくと効果が感じられるかもしれませんよ。
ところで、なぜインプットしてから眠ると、ひらめきやすくなるのでしょうか。同氏は、以下のように述べています。
実は睡眠には、脳に蓄えた知識を整理整頓して使える状態にする役割があることがわかっています。知識の量が変わるのではなく、知識の質が変わるわけです。*3
インプットした直後、脳のなかでは知識が雑然としている状態です。それが、睡眠中に整理整頓されることで、使いやすい状態になり、ひらめきにつながりやすくなるというわけです。このことから睡眠をしっかりとることの重要性がわかりますね。
夜に勉強に集中しすぎると、つい寝る時間が遅くなり、睡眠時間が短くなってしまった……ということになりがちですよね。しかし、勉強の効果を実感するためにも、寝る時間を決めて、しっかり睡眠時間を確保することが大切です。
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その人に合う勉強の時間帯は、体質やライフスタイルによって異なるもの。必ずしも朝型でなければいけないということはありません。
夜だからこそ効果的な勉強法を上手に取り入れて、自分のペースで勉強を続けてみてくださいね。
*1 THE GOLD 60|「今日は勉強できなかった…」とネガティブな気分でベッドに入る前に!試してほしい〈脳の働き〉を活かした勉強法【脳内科医が解説】
*2 朝日新聞デジタル|脳研究者が説く苦手な教科対策は「寝る前に勉強」 昼間はぼーっと
*3 プレジデントオンライン|「寝る前1時間」は勉強のゴールデンアワー
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。