みなさんは、仕事や学校を終えて家に帰ったあと、何をしていますか?
「仕事(学校)が終わって自由だ……!」と緊張が解けるのはたしかに悪くないことですが、じつは “帰宅後にしないほうがいいこと” をしてしまっているかもしれません。それが翌日のパフォーマンスに悪影響を及ぼしている可能性だってあるのです。あるいは、ついやりがちな “ダメな思考習慣” があなたのメンタルを蝕んでいるかも……?
そこで今回は、「家に帰ったあとにしてはいけない8つのこと」をリストアップしてみました。
1. スーツやカバンを乱雑に放置する
家に帰ると、スーツをハンガーにかけずに床に放り投げ、カバンを玄関に置きっぱなしにする――こんな人も多いと思います。でも、これはNG。片付けコンサルタントの “こんまり” こと近藤麻理恵氏によれば、空間が汚かったり散らかっていたりすると以下のようなデメリットが発生するのだそう。
- 認知能力と集中力の低下
- ストレスホルモン増加による睡眠不足や体調の悪化
- 探し物が見つかりにくいため、時間の無駄が発生する
仕事や学校を終えて疲れきった状態で家に帰ると、モノの整理整頓への意識がおざなりになりがちです。スーツはきちんとハンガーにかけ、カバンは中身を整理して要らないものは捨てる。そういった心がけが、“整った自分” をつくってくれますよ。
2. スマートフォンをいじりまくる
SNSのチェックやゲームなど、スマートフォンを使えば楽しいことがたくさんできますよね。みなさんのなかにも、帰宅後は絶対にスマートフォンを手放さないという人は多いのではないでしょうか。でも、その習慣も危険です。
慶應義塾大学の坪田一男教授は、スマートフォンの画面から放出される「ブルーライト」という光が体内時計のリズムを乱すことを指摘しています。結果、寝不足が誘発されるのです。夜眠れない自覚がある人は、そもそもスマートフォンを見すぎなのかもしれません。
また、久里浜医療センターの樋口進院長によると、スマートフォンのオンラインゲームを長時間プレイし続けると、アルコール依存や薬物依存と同じような「インターネット依存」を引き起こすのだそう。
帰宅後にスマートフォンを操作するのは必要最小限に留めておいたほうが良さそうです。
3. ハードな運動をする
凝り固まった体を思いきり動かすべく、帰宅後のジム通いを習慣にしている――そんな人もいることでしょう。
しかし、肥満外来が専門の左藤桂子医師は、夜にハードな運動を行なうと、興奮状態を司る交感神経が活発化すると指摘しています。その結果、眠れなくなってしまうとのこと。激しい運動も考えもののようです。
代わりに佐藤医師がすすめるのが、「ドローイン」という深呼吸。足を肩幅に開き、手をお腹に当てて、息をゆっくり吸ったり吐いたりします。息を吐くときは、「丹田」と呼ばれる、おへその下の部分を大きくへこませることが大切だそう。これなら、交感神経を刺激せずに、帰宅後に気軽にできそうですね。
4. 激しい音楽を聴く
「音楽」にも、夜に聴いていいものと悪いものがあるようです。
カラダシフト睡眠アカデミーを主宰する荒川内博氏によると、人間の体は、リラックスモードに入っていないと満足に熟睡できないのだそう。そして、好みや個人差はあるものの、「音が大きすぎる」「曲調が激しい」音楽は、リラックスモードへの移行を妨げるのだといいます。また、歌詞つきの曲も、言語中枢を刺激してしまうため、あまり推奨されないとのこと。
そこで、夜におすすめしたいのが「自然音」です。たとえば「木の葉がこすれる音」や「波が打ち寄せる音」などを耳にすると、心がどこか落ち着きませんか。東京工業大学の武者利光博士によると、こういった自然界の不規則な音は「1/fゆらぎ」になっており、リラックスやストレス軽減の効果を持っているのだとか。
環境音を聴けるCDや動画はたくさんありますので、ぜひ夜は自然の音に聴き入ってみましょう。
5. 刺激的な映画・動画を観る
ここまでの話でなんとなく想像できるかもしれませんが、夜にアクション映画やホラー映画など過激な表現のある映像を観るのも、同様の理由でおすすめできません。まとまった時間がある夜に観てしまいたくなりますが……せめて、翌日に仕事を控えた平日のうちは、避けておいたほうがよさそうです。代わりに、やはりリラックス効果のある映像を観るのはどうでしょう。
たとえば、作家・プロデューサーの寺井広樹氏は「涙活」というイベントを主宰しており、涙を流すことで心のデトックスを図っています。この「涙活」で頻繁に使用される『振り子』は、お笑いの芸人の鉄拳氏が作成した、男女が出会い、生涯を終えるまでをパラパラ漫画形式で描いたもの。わずか5分ほどの長さながら、男女の葛藤が色濃く描写されたもので、泣けると評判です。
6. 嫌なことを思い出す
仕事でミスをした。誰かといざこざが起きた。日中にあった嫌なことは、どうしても家に持ち帰ってしまいがち。しかし、引きずりすぎはNGなようです。
心理学者のガイ・ヴィンチ氏によると、嫌なことが頭の中で繰り返される「思考のループ」状態になってしまうと、問題解決能力が低くなったり、心身のストレスによる健康面の悪化が起きたりする可能性があるそう。そのような状態は避けたいですよね。
また、ドイツ・フライブルグ大学のニッセン教授らの研究によると、睡眠中に記憶の固定が起こるとのこと。寝る直前に嫌なことを思い浮かべると、より強固に頭に刻み込まれてしまうというわけです。
帰宅後の夜時間は、たとえば趣味に打ち込んで気を紛らわせるなどし、嫌なことはなるべく思い出さないようにしましょう。
7. 誰かの悪口を言う
著述家の尾藤克之氏は、「人の悪口や陰口が多い人は、総じて嫌われる傾向にある」と指摘しています。みなさんも、周囲を見わたしてみると、納得できる事例が思い浮かぶはず。そして、まわりに人がいる場合は当然、まわりに人が誰もいない場合でも、悪口や陰口を言うのは避けたほうがよさそうです。
特に、夜にひとりになると、感情のブレーキが利かなくなりがち。「今日はあいつのせいで上司に怒られた」など、それまで封印していた悪態が口をついて出てくるかもしれません。でも、それも結局、6で説明した「嫌なことを思い出して」いるだけ。
負の感情はできるだけ忘れましょう。
8. 寝る間を削って勉強や仕事に取り組む
寝る間を削って勉強や仕事に打ち込むことは、高いやる気の表れ!? いいえ、それもまたあなたの心身を蝕んでいる可能性があります。
精神科医の樺沢紫苑氏によれば、夜遅くまで作業をしていると、交感神経が働いて興奮状態になりやすいとのこと。その状態で眠ったとしても、脳や体は満足に回復しないと指摘します。
樺沢氏によれば、特に「寝る前2時間のリラックス」が重要とのこと。明日に備えて、夜寝る前は思いきってリラックスするという選択をしたほうが賢明なのです。
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というわけで、「家に帰ったあとにしないこと」8つをリストにまとめるとこちら。
みなさんもぜひ、これらを “しない” ように心がけてみてください。
(※記事中の人物の肩書は記事公開当時のものです)
(参考)
Newsweek|「こんまり」人気の深層──片づけは不眠や不安や肥満さえ癒す
ITmediaビジネスオンライン|眼の専門家に聞く、LEDディスプレイから出る「ブルーライト」は何が悪い
m3.com|ネット依存治療は酒や薬物と比べて格段に難しい【時流◆スマホ関連病】
高校生新聞オンライン|寝る前のエクササイズ、激しい動きはNG 深呼吸でインナーマッスルを鍛えよう
zakzak|癒し系の音楽を聴けば眠れるってホント?睡眠の専門家に話を聞いた!
All About|自然界のリズムを日常生活に取り込もう 「1/fゆらぎ」って知ってる?
STUDY HACKER|“1粒の涙” のストレス解消効果は1週間続く!? 慌ただしい大人こそ積極的に涙を流すべきワケ。
PubMed|Sleep deprivation facilitates extinction of implicit fear generalization and physiological response to fear.
アゴラ|陰口、悪口は死んでも言わないほうがいい理由(ワケ)とは
アゴラ|精神科医が語る!「寝る前2時間」で人生は決まる
【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。