「年間54時間」を探し物に使っている。仕事が速い人がやっている“探さない”仕組み

デスクが汚い男性「会議の直前に資料が見つからない」「昨日のメモがどこにあったか思い出せない」「使ったはずのペンが消えている」。

こうした“探す”時間は、コクヨが2022年に行なった調査では年間およそ54時間。まるまる2日以上を物探しに費やしている計算です。*1

必要なのは、頑張って片付けることではありません。探さなくてすむように、置き場所を先に決めておくことです。今日からできるやり方を見ていきましょう。

デジタル編 探さない仕組みをつくる3つのルール

デジタルの探し物は、次の3つで減らせます。

1保存する場所を決める

「とりあえずデスクトップ」をやめて、「会議の資料はこのフォルダ」と決めます。決めてしまえば、迷う時間がなくなります。

2あとで見てわかるファイル名にする

「資料_最新版」では、半年後の自分にはわかりません。「2026_営業資料_顧客名_提案書」のように、日付と中身がわかる名前にします。

3覚えずに、メモに任せる

置き場所を頭で覚えるのをやめて、メモアプリやブックマークに任せます。覚えておかなくていい状態が、いちばん楽です。

物理編 探さない仕組みをつくる4つのルール

身のまわりの物も同じです。整理収納のプロの現場でも、物の置き場所を決める作業は一人では迷いやすいとされています。*2

1よく使うものは、決まった場所に戻す

まずは毎日使うものだけでかまいません。「黒ペンはペン立ての一番手前」のように、置き場所をひとつに決めて、使ったらそこに戻します。

2よく使うものほど、近くに置く

毎日使うものは手の届く場所に、たまにしか使わないものは離れた場所に。混ぜないだけで散らかりにくくなります。

3開けたら中身が見えるようにする

仕切りやラベルを使って、開けた瞬間に中身がわかるようにしておきます。

4たまにしか使わないものは、1か所にまとめる

予備の名刺や領収書など、たまにしか使わないものは、決めた箱にまとめて入れるだけ。細かく分けなくてかまいません。

仕分けが面倒に感じるなら、ざっくりで充分です。

(例)

  • 種類ごとに分けず、「とりあえずこの箱」にまとめて入れる
  • ラベルを貼らず、色や大きさの違う入れ物で見分ける

きちんと分けるより、まず1か所に集めるのが先です。

なぜこれだけで「探す」がなくなるのか

「ファイル名がバラバラ」「メモの場所が毎回違う」。こうなっていると、探すたびに「どこにあったっけ」と考えることになります。

この小さな「考える」の積み重ねが、脳を疲れさせます。置き場所を決めるだけで探し物が減るのは、考えること自体が減るからです。

整理された資料

もうひとつ、集中が切れるのを防ぐ効果もあります。探し物を始めると、それまでの作業への集中が途切れます。しかも、作業を切り替えても前の作業のことが頭に残り続けます。これは「注意残余」と呼ばれる状態です。*3

(注意残余の例)

  • 「午前中のミーティングの件が気になって、目の前の作業に集中できない」
  • 割り込みの対応を終えたあと、「どこから進めればいいんだっけ」と一瞬手が止まってしまう

実際、仕事をひとつずつ終わらせた人のほうが、途中で次々と切り替えた人よりも、集中が長続きする傾向が確認されています。*4

探し物の時間が年間54時間ということは、それだけ集中が途切れる回数が多い、ということでもあるのです。

今日からできる「探さない仕組み」チェックリスト

まずは1つのフォルダ、1つの引き出しから始めてみましょう。

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探し物が多いのは、片付けが下手だからではありません。置き場所を決めていないだけです。今日、ひとつだけ決めてみませんか。

よくある質問

探し物を減らすには、まず何から始めればいいですか?

いきなり全部を見直す必要はありません。よく使うファイルひとつ、よく使う引き出しひとつなど、範囲を絞って「定位置」を決めることから始めましょう。

デジタルと物理、どちらから手をつけるべきですか?

明確な決まりはありませんが、日々の業務で探す頻度が高いほう(多くの場合はデジタルのファイルやメモ)から着手すると、効果を実感しやすくなります。

「注意残余」とはどういう意味ですか?

タスクを切り替えた際、前の作業に向けていた注意が完全には切り替わらず、一部が頭に残り続ける現象のことです。探し物によって作業が中断されると、この状態が起こりやすくなります。

いままさに探している場合はどうすればいいですか?

この記事で紹介しているのは、探し物そのものを起こさないための予防の仕組みです。いますぐ見つけたい場合は、まず決めている定位置を確認し、次によく一緒に使うもの(バッグの中や、関連する資料のそば)の周辺を探すと見つかりやすくなります。仕組みが整えば、こうして探す場面自体を減らせます。

共有フォルダやチームのファイルにも応用できますか?

応用できます。特にファイル名を「未来の自分」がわかる名前にするルールは、共有フォルダでも有効です。日付・案件名・種類を入れる命名ルールをチームで統一しておくと、自分以外のメンバーも同じように判断の負荷を減らせます。

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。