
「集中力が続かない」「ついスマホを見てしまう」
デスクワーク中や資格勉強の最中、あるいは在宅でのテレワークでオンオフの切り替えがうまくいかないとき、「やるしかない!」と気合いで乗り切ろうとしていませんか?
『フィジカルな脳のハック術①』でも解説した通り、最新の科学では「心で心をコントロールする」より、「特定の動作をして、脳を強制的にそのモードに切り替える(フィジカル・ハック)」ほうが確実だと考えられています(身体化認知)。
今回は、そのなかでも特に「集中力アップ」に特化した4つのハックをご紹介します。
- ハック1:【すぐ気が散る・スマホを見ちゃう時に】脳を一点集中させる「シール法」
- ハック2:【午後の疲れ・焦りを感じる時に】自律神経を整える「30回のリズム・タッピング」
- ハック3:【関係ないことを考えてしまう時に】雑念を消す「フォアヘッド・タッピング」
- ハック4:【脳の疲れをリセットしたい時に】もうひと踏ん張りを支える「1分間歯磨き」
- 📝 [実践]編集部で全部やってみた!
- よくある質問(FAQ)
ハック1:【すぐ気が散る・スマホを見ちゃう時に】脳を一点集中させる「シール法」

「集中したいのに、つい別のことに気が散ってしまう(注意散漫になる)」「周囲の音や視覚情報に気を取られて上の空になってしまう」——そんな作業の初動でおすすめなのが、視覚を使ったハックです。
◇やり方
パソコンのフチや机に小さな丸いシールを貼り、中心に点を書きます(手のほくろや壁のシミでも代用可)。口からゆっくり息を吐きながら、その「一点」を5秒〜10秒間、瞬きを我慢して見つめ続けます。*1
◇なぜ効くのか?
スタンフォード大学の神経科学者アンドリュー・フーバーマン氏によると、視覚的注意を特定の一点に絞り込む(フォーカスする)ことで、脳内でノルアドレナリンなどの覚醒や注意を高める神経化学物質が放出されます。*2 視野を物理的に狭めることで、脳が自動的に「集中モード」へ切り替わるのです。
\もっと集中したい、という人は/
ハック2:【午後の疲れ・焦りを感じる時に】自律神経を整える「30回のリズム・タッピング」

「少し作業しただけで、すぐ集中力が途切れてしまう」
ランチ後の午後の眠気や、納期前のプレッシャーを感じるときは、触覚とリズムを使ったハックが効果的です。
◇やり方
目を閉じて、左右の太ももや鎖骨の下あたりを、両手で交互に「トントン、トントン」と一定のリズムで叩きます。これを30回繰り返します。
◇なぜ効くのか?
リズミカルなタッピングは、PTSDに対する心理療法などでも用いられる両側性刺激(EMDR)の手法を応用したものです。*3 一定のリズムで体に軽い刺激を与え続けると、高ぶりすぎた交感神経(焦りや緊張)が鎮まり、自律神経のバランスが整います。脳のノイズが消え、「目の前のタスク」に再び意識を向けやすくなります。
ハック3:【関係ないことを考えてしまう時に】雑念を消す「フォアヘッド・タッピング」

「別の作業が気になってしまう」というマインドワンダリング(心がさまよう状態)に負けそうなときは、前頭葉に直接アプローチしましょう。
◇やり方
人差し指と中指を揃え、自分のおでこ(額の中央)をトントンと10〜15秒ほど軽く叩き続けます。
◇なぜ効くのか?
額をタッピングする行為は、脳のワーキングメモリ(一時記憶)の処理能力を意図的に「タッピングの刺激」に向かわせることで、頭のなかに浮かんだ雑念や衝動を一時的にフリーズさせる効果があります。欲求や衝動を抑える際に有効なアプローチです。*4
\"ぼんやり"をもっと知りたい人は/
ハック4:【脳の疲れをリセットしたい時に】もうひと踏ん張りを支える「1分間歯磨き」

「頑張りすぎて、ぐったり」——でも、ここからもうひと踏ん張りしなければいけない。そんなときに試してほしいのが、「1分間、歯磨きをする」という方法です。
◇やり方
作業に取りかかる前、あるいは集中が切れたタイミングで、1分間歯磨きをします。
◇なぜ効くのか?
花王ヒューマンヘルスケア研究センターと千葉大学の共同研究によれば、計算作業で疲れた参加者に歯磨きをさせたところ、しなかったグループより「脳の疲労度が有意に低減し、注意力が高まる傾向」が確認されました。*5 口のなかを物理的にスッキリさせる行動が、脳の疲労回復スイッチを押してくれるのです。
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📝 [実践]編集部で全部やってみた!
「シール法」:簡単で分かりやすいうえ、即効果を実感できる手法です。慣れてくると、シールを使わなくても「見る」ことに意識するだけでも集中度が高まる感触がありました。始業時に高いパフォーマンスを発揮したいとき、一気に集中を高めるのに向いています。
「リズム・タッピング」:「目を閉じる」のはめっちゃポイント。これは「余計な情報を遮断」して、タッピングの動作と感触に集中する意味合いがあるでしょう。例えば目を閉じてもヘッドフォンで音楽を聴いていたら全然意味ありません。タップする場所も重要です。人によって"入れる"場所が違いました。太もも、肩など自分にフィットした場所を探しましょう。
「フォアヘッド・タッピング」:リズム・タッピングの別verという感じ。目を閉じる、触感を感じるというところは同じかも。認知資源が枯渇してくる(心が疲れてくる)午後にも効果を発揮しそうです。
「1分間歯磨き」:ぼんやりするときに顔を洗う人は多いと思いますが、それ以上の「すっきり」「リフレッシュ」感。これこそが「脳のリフレッシュか!」と納得。あまり多用せず、ここぞというときに使うといいのでは。
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集中力は、気合いではなく「身体への物理的なアプローチ」で生み出すことができます。「今日はイマイチ集中できないな」と感じたら、どれかひとつ試してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 集中したいのについスマホを見てしまう時の対策はありますか?
一点を5〜10秒見つめる「シール法」が有効です。視覚を物理的に狭めることで、脳が強制的に集中モードへ切り替わります。
Q. 仕事中、別の関係ないことを考えてしまう時の対処法は?
おでこを10〜15秒軽く叩く「フォアヘッド・タッピング」がおすすめです。脳のワーキングメモリを刺激し、雑念を一時的に消去できます。
Q. 午後になって脳が疲れた時、すぐに集中力を回復させる方法は?
1分間の「歯磨き」が効果的です。口のなかを物理的にスッキリさせる行動が、脳の疲労を低減し注意力を高めることが研究で確認されています。
*1 WANI BOOKS Newsクランチ!|「一点を5秒見つめる」だけで集中状態を生み出す方法
*2 Dexa|How to do visual Focus before work to perceive less effort
*3 武蔵野大学心理臨床センター|PTSDに対するEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)——両側性刺激(タッピング)の活用について
*4 Pub Med Central|Brief Group Intervention Using Emotional Freedom Techniques for Depression in College Students.
*5 プレジデントオンライン|「子猫の動画」を1分見るだけで集中力が戻ってくる…最新研究でわかった"コーヒー以外"の知られざる回復法
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。