『結局なにが言いたい?』を卒業! 伝える力を手に入れるための”PREP法”10秒トレーニング

相手の言いたいことがわからず混乱している女性

「結局、何が言いたいの?」

Slackなどのビジネスチャットツールで送ったメッセージに、この言葉が返ってきた瞬間、胸が締めつけられる感覚を覚えたことはありませんか?

「せっかく時間をかけて説明したのに……」
「どうして私の言いたいことが伝わらないんだろう」

あなたは丁寧に状況を説明したつもり。でも上司からは「要するに?」。チームチャットでの提案に「何の話をしているの?」とツッコまれ、相手の表情が見えないリモートワークならではの不安と戦いながら、送信ボタンを押す日々。

「説明が足りないかな...でも長すぎても読んでもらえないよな……」
「このままじゃ、私、できない人だと思われてしまうかも……」

そんなもどかしさを抱えているあなたに、朗報があります。

Point(要点)、Reason(理由)、Example(例示)、Point(まとめ)の頭文字をとったPREP法。この、ビジネスの現場で効果的なコミュニケーションを実現する手法が、あなたの伝える力を一瞬で向上させる可能性があるのです。

この記事では、このPREP法を使って、頭の中の情報を整理する「構造化」という考え方をご紹介します。メールでもチャットでも、すぐに実践できる方法なので、ぜひ最後までお付き合いください。

チャット時代にこそ、PREP法を

リモートワークが日常となったいま、私たちは1日に何十、何百ものチャットやメールをやり取りしています。その中で、「結局何が言いたいの?」と聞き返されるような曖昧なメッセージは、読み手の貴重な時間を奪うだけでなく、送り手の信頼も損ないかねません。

じつは、「わかりにくい」と言われるメッセージには、共通点があります。それは、書き手の頭の中が整理されていない状態で、思いついた順に情報を書き連ねているということです。

このような問題を解決するために考案されたのがPREP法。ビジネスの現場で効果的なコミュニケーションを実現する手法として長年活用されてきました。

PREP法が実現するのは「構造化」です伝えたい情報整理し、受け手が迷子にならないよう導くこと。この単純なルールを知っているだけで、あなたのメッセージは驚くほどわかりやすくなります

先ほどの「送信前の不安」も、情報を構造化することで大きく軽減できるのです。なぜなら、PREP法を用いて構造化された情報は、読み手がひとめでポイントをつかめ、すぐに次のアクションをとれるからです。

ビジネスチャットのイメージ

メールとチャットはちょっと違う

普段何気なく使い分けているメールとチャット、構造化という観点から見るとじつはちょっとした、でもクリティカルな違いがあります。それぞれの特性を理解することで、より効果的に伝えることができます。

【メールの場合】

メールには、じつは私たちの強い味方があります。それは「件名」という機能です。

「【報告】4月の売上実績と改善施策について」
「【依頼】来週の企画会議の日程調整」

この件名を見ただけで、読み手は「あ、売上報告のメールか」「日程調整の依頼だな」と理解できます。つまり、件名で概要を見せることができるのです。最初に適切な件名をつけることで、読み手は心の準備ができた状態で本文に進めます。

【チャットの場合】

一方、Slackなどのチャットには件名がありません。これが、多くの人が「チャットで誤解される」と感じる原因のひとつかもしれません。

そのため、チャットでは最初の一文が重要になります。

「来週の会議、13時開始でみなさん大丈夫ですか?」
「クライアントからの修正依頼が来ましたので確認お願いします」
「新しいマニュアルをアップしました。ご確認ください」

このように、メッセージの目的を最初に明示することで、読み手は瞬時に内容を理解し、適切な優先順位をつけることができます。

ビジネスチャットを送る男性

PREP法で頭の中を整理する

では、具体的にどうやって「構造化」するのか? ここでおすすめなのが「PREP法」という考え方です。名前は難しそうですが、やることはシンプル。

4つのステップで情報を整理していきます。

  • Point(結論):伝えたいことを最初に明示
  • Reason(理由):なぜそう考えるのかの根拠を示す
  • Example(具体例):数字や具体的な事例で説明
  • Point(再結論):最後にもう一度結論を示す

【実践例1:メールでの商品報告】

件名:「【報告】新商品の売上状況について」

本文:
新商品の売上が予想を下回っているため、急いで対策を打ちたいです。(Point)

主な原因は都心店舗での集客不足です。(Reason)

特に銀座店では先月比で来店客が30%減少。近隣の競合店と比べて認知度が低いことがわかりました。(Example)

つきましては、銀座店周辺でのSNS広告強化をご検討いただけないでしょうか。(Point)

【実践例2:チャットでのスケジュール調整】

【相談】今日の開発MTGの開始時間変更について(件名の代わりの前置き)

今日の開発MTGを15時半開始に変更できませんか?(Point)

 

山田さんが14:50まで別件の商談が入ってしまいました。(Reason)

先週も時間がずれ込んで議論が中途半端になってしまったので、今回はきちんと全員で議論したいです。(Example)

15時半開始でOKな方は👍をお願いします。(Point)

こうして書くと、「何が言いたいのか」が一目瞭然ですよね。相手は最初の一文で「あ、これは会議の時間変更の相談か」とすぐに理解できます。

チャットの送信内容に関して頭を整理している様子

今日からはじめる! 10秒チェック

PREP法は、毎日のチャットコミュニケーションでいたって簡単に練習できます。チャットであれば、送信前のたった10秒、確認の習慣をつけるだけ。

まずは、これだけチェック。

送信前の10秒チェック

Point:結論は最初に書けている?
Reason:理由はしっかり説明できている?
Example:具体的な内容を示せている?
Point:最後に何をして欲しいかを明確に書けている?

このチェックを続けていくことで、あなたのビジネスコミュニケーションは確実に変わっていきます。チャットやメールの作成時間は短縮され、「わかりにくい」という指摘も激減するでしょう。

さらに、相手からの返信や行動が早くなり、いつの間にか会議や商談でも自然と要点を押さえた説明ができるようになっているはずです。

まずはチャットから。

送信前の10秒チェックから始めてみましょう。その積み重ねが、より正確で効率的なコミュニケーションへの近道となります。

ここまで読んでいただいたように、構造化された情報発信は特別な技術ではありません。送信前の10秒で身に付くような簡単なステップなのです。

今日から、チャットを送る前にこう考えてみてください。
「私が伝えたいことは何だろう?」
「それを最初の一文で言えているだろうか?」

たったこれだけ。

まずはチャットから。そして慣れてきたらメールでも。この小さな習慣が、あなたのビジネスコミュニケーションを確実に変えていきます。「わかりにくい」という声は減り、スムーズな意思疎通が実現するはずです。

***
さあ、次に送るチャットから、試してみませんか?

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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