「サザエさん症候群」は日曜だけじゃない。前日からの消耗を防ぐ「心理的ディタッチメント」とは?

真鍮の目覚まし時計

日曜の夕方、あの音楽で気持ちが沈む「サザエさん症候群」。*1

しかし、その重さは日曜日に限りません。大切なプレゼンや気の重い対応の前日、まだ何も始まっていないのに心が疲弊してしまう人は多いはずです。

真面目な人ほど陥りがちな「前日からの消耗」ですが、本来リラックスすべき時間を不安に捧げるのはもったいないもの。

今回は、前日の無駄な消耗を防ぎ、心をラクにするための「3つの工夫」をご紹介します。

前日から心がすり減る本当の理由とは?

翌日に重要なプレゼンや気の重いクレーム対応などが控えていると、前日から心がズーンと重くなってしまうことがありますよね。

なぜ、まだ何も起きていないのに、これほど心が消耗してしまうのでしょうか。それは、休んでいる間もずっと、頭が仕事から離れていないからです。

この感覚には、心理学的な裏付けがあります。
仕事以外の時間に仕事と距離を置くことを、心理学では「心理的ディタッチメント」
と呼びます。この心理的ディタッチメントが高い人ほど、仕事のストレスによって生じる将来の抑うつ症状が和らぐことがわかっています。*2

つまり、前日の無駄な消耗を防ぐには、この「心理的ディタッチメント」を意識的につくることが大切なのです。ここからは、無理なく心理的ディタッチメントをつくれる「3つの工夫」をご紹介します。カレンダーに書き込む手元

工夫1 気になることを書き出す

翌日のことを考えて気が重くなるとき、「考えないようにしよう」と思っても難しいもの。

そこであえて、気になることすべてを紙に書き出し、頭のなかから追い出してみるのはいかがでしょうか。「明日のプレゼンでどんな質問が出てくるだろう」「準備しきれていない資料がある」「言い忘れたら困ること」など、頭に浮かんだことをそのまま並べていくだけでかまいません。

ただし、書き出すのに何時間もかけてしまうと逆効果です。「あと15分考えてまとまらなかったら、続きは明日考える」のように割り切りましょう。タイマーを使うのもひとつの方法です。

効く理由

頭のなかの気がかりを紙に書き出す「エクスプレッシブ・ライティング」には、心理的な負担を軽くする効果があることが研究で示されています。*3

工夫2 明日の最初の行動を決めておく

「明日は何から始めよう」「あの件、確認しないと」。こんなふうに、翌日にやるべきことを頭のなかで抱え続けていては、気持ちはずっと仕事モードのままです。

そこでおすすめなのが、翌日、最初にやることをひとつだけ決めておくこと。筆者はピラティス指導がある日、1時間早めに出勤して模擬レッスンをしています。前日のうちに翌日の準備を軽くメモしておき、出勤したらすぐその内容をもとに模擬レッスンを行なうのです。

前日に手書きで準備した、翌日の仕事内容のメモ

このように準備しておけば、当日にあれこれ考えずに動き出せます。上記画像のように、いろいろとメモをしなくてもかまいません。明日最初にやることを1行、メモに残すだけでも充分です。「あとは明日の自分に託した」と決めたら、今日の仕事は終わりです。

効く理由

具体的な計画を立てておくだけで、未完了の物事への囚われが軽減されることが研究で示されています。*4

工夫3 「もしも」への対応をひとつだけ決めておく

「うまく答えられなかったら」「厳しいことを言われたら」といった「もしも」のことばかり考えていると、不安はどんどん膨らんでいきます。

そこで、「もしも」への対応策をひとつだけ決めておきましょう。たとえば、顧客対応であれば「厳しい指摘を受けたら、その場で結論を急がず『一度もち帰って確認します』と伝える」と決めておく、といった具合です。一度決めたら、それ以上のシミュレーションはしないと決めておきます。

効く理由

最悪のケースをあらかじめ想定して対処法を決めておくことは、不安を感じやすい人ほど効果的であることが分かっています。*5

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明日の仕事は、明日の自分が取り組めばいい。前日の自分まで、明日のために消耗しなくていいのです。

よくある質問(FAQ)

Q. 心理的ディタッチメントとは何ですか?
仕事以外の時間に、物理的にも心理的にも仕事から距離をとることです。仕事によるストレスや疲労からの回復に重要とされていて、心理的ディタッチメントが高い人ほど、仕事のストレス要因から生じる将来の抑うつ症状がやわらぐことがわかっています。
Q. サザエさん症候群と何が違うのですか?
「サザエさん症候群」は日曜の夕方から憂うつになる状態を指す通称です。心理的ディタッチメントは、曜日を限定しない学術的な概念で、翌日の負荷が重ければ平日でも同じ状態が起こりえます。
Q. 前日の消耗を防ぐには、何から始めればいいですか?
まずは、気になることを紙に書き出して時間で区切ることから始めましょう。慣れてきたら、明日の自分に最初の一手だけ渡す、不安な場面への対応策を1つだけ決めておく、という2つの工夫も試してみてください。

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。