「あとでやる…」という厄介な癖。足踏みせず「すぐやる」には3つの “賢い仕組み” をつくるべし

先延ばしを解消する3つの方法01

目の前にあるタスクを、「面倒くさい」「あとでやればいい」という心理でつい先延ばしにしがちな人はいませんか。いろいろなものの先延ばしが積み重なって、「あれもこれもしないといけないのに時間がない……」という事態になるのは絶対に避けたいところ。

誰にとっても身近な先延ばし癖、どうすれば解消できるのでしょうか?

先延ばし癖が危険な理由

先延ばし癖と聞くと、「怠け」や「気のゆるみ」をイメージする人もいるかもしれません。でもじつは、普段の思考の癖が原因になっている可能性があります。

たとえば「完璧主義」がそのひとつ。精神保健福祉士の塩入裕亮氏は、完璧主義の人は「タスクを完璧にこなそうとするあまり準備に時間をかけすぎて、肝心の本題に取りかかれない」と指摘しています。反対に、「楽観的な思考」も原因になりうるとのこと。先延ばしが将来の自分に及ぼす影響を正しく計れないため、罪悪感なく先延ばしをしてしまうのです。

いつもギリギリにならないと腰が上がらない……これでは十分な時間をかけて作業したり考えたりできないため、仕事のクオリティを高く維持できないのも必至。下手をすれば締め切りを過ぎてしまい、信用問題にもつながっていきます。

加えて、先延ばしによるストレスの影響も無視できません。メンタリストとして活躍するDaiGo氏によれば、先延ばしを繰り返すと、脳内でストレスホルモン「コルチゾール」が大量分泌されるとのこと。これにより心臓に負担がかかり、死亡リスクが高まってしまうそうです。

百害あって一利なしの先延ばし癖を解消する方法を、以下で3つ紹介していきましょう。

先延ばしを解消する3つの方法02

【1】「チャンクダウン」でタスクを細分化する

習慣化コンサルタントの古川武士氏は、タスクを細かく分解して具体化する「チャンクダウン」をすすめています。古川氏によれば、チャンクダウンをすることで「行動の明確さ・単純さ・見える化が実現し、心理的な負荷が一気に下がる」とのこと。

たとえば「プレゼン資料を完成させる」だけでは、あまりにも漠然としているため、行動に移しづらいですよね。先が限りなく遠いタスクのように思えてしまい、結果として「あとでやろう」と先延ばししがちに。

でも、タスクを「全体の構成を決める」「各ページに載せる要素を洗い出す」「市場の情報を集める」「パワーポイントに打ち込んでいく」など細分化できれば、各段階でのゴールが見えるため、かなり行動に移しやすくなるのではないでしょうか。

古川氏は、チャンクダウンのコツとして「ひとくちサイズまで行動を小さくする」ことを挙げています。心理的な負荷を徹底的に下げて、実行しやすくしましょう。

先延ばしを解消する3つの方法03

【2】「20秒ルール」で衝動を断ち切る

カルガリー大学教授で『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』の著者であるピアーズ・スティール氏は、先延ばし癖と衝動性の関連の深さを指摘しています。つまり、衝動に負けやすい人は物事を先延ばししやすいとのこと。たしかに、「楽そうなメールチェックを優先してしまう」「ついスマートフォンで息抜きをしてしまう」など、重要なタスクの進行を阻んでしまう衝動は身近なところにたくさんありますよね。

衝動を断ち切る方法として、ハーバード大学のポジティブ心理学者ショーン・エイカー氏が提唱する「20秒ルール」をご紹介しましょう。これは、その衝動を行動に移すためにかかる時間が20秒以上になるようにするというもの。【1】では、行動に移しやすくするためにタスクを細分化して「心理的負荷を下げる」という方法を取り上げましたが、今回はその逆。心理的負荷を上げて、悪い行動を起こしづらくします

簡単にメールチェックできないようにメール画面を閉じてブックマークからも外しておく、すぐスマートフォンを操作してしまわないように電源を切ってカバンのなかにしまっておく、といった作戦ですね。衝動を断ち切り、重要なタスクに取りかかりやすい環境を整えましょう。

先延ばしを解消する3つの方法04

【3】「スケジュールの立て方」を工夫する

今日やるタスクを「ToDoリスト」に書き出してから仕事を始める人も多くいることでしょう。しかし、よくあるのが「楽そうなタスクばかり先にこなしてしまい、重要なタスクや苦手なタスクには手をつけられずに1日が終わった……」という問題。優先順位を決めなかったがゆえに、「楽かどうか」「得意かどうか」を軸に仕事を進めてしまう典型例です。

では、「(やりたくないけれども)やらないといけないこと」を先延ばししないためにはどうすればいいのでしょうか。仕事の段取りに関する著書を多くもつ、ハイブリッドコンサルティング代表取締役CEOの吉山勇樹氏は、スケジュールの立て方にコツがあると言います。

(前略)「やらねばならないこと」の合間に、「やりたいこと」を挟んでスケジューリングすること。「これが終わればやりたいことができる」と思えば、今取り組んでいるのがやりたくないことでも、集中とスピードを維持できます。

(引用元:THE21オンライン|タスクを3つに分け、「分解」しよう ※太字は筆者が施した)

「やらないといけないこと」は、当然いつかは必ずやらなければなりません。それを明日以降に先送りするのではなく、今日中にやる時間を強制的に用意しておくというわけですね。事前に「◯時~◯時まではこのタスクに取り組む」と時間を決めておくのでもいいでしょう。

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先延ばし癖は、仕組みを整えれば解消することが可能です。今回ご紹介した方法をぜひ試してみてください。

(参考)
医療法人社団 平成医会|先延ばしする人の特徴とその改善方法
東洋経済オンライン|「すぐやる!」が習慣化する5つのアプローチ
STUDY HACKER|「先延ばし癖」どうすれば解消できるのか? “すぐやる” ための『3つの習慣』
ピアーズ・スティール(2012),『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』, CCCメディアハウス.
logmi Biz|悪い習慣を断ち切るための「20秒ルール」とは?メンタリストDaiGoが解説
THE21オンライン|タスクを3つに分け、「分解」しよう

【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。

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