「やらないこと」が武器になる──暇そうに見えて結果を出す人の4つの習慣

余裕の明るい笑顔を見せるビジネスパーソン

「あの人、暇そうなのに成果を出していて信頼も厚い。なぜ?」

このように、世のなかには “頑張ってます感” を出さずに、しっかりと成果を出す人々がいます。そんな彼らに共通するのは、やらないことの選び方

一見すると「手を抜いている」と思われそうな行動の裏側には、明確な意図と戦略があるのです。

本コラムでは、そんな「忙しそうに見えないのに成果を出す人」の1日に注目し、やっていないことを掘り下げます。

【朝】起床後30分間はスマホを見ない

「あの人、仕事がデキるのに、朝一は返信してくれない」

もしかしたら、その人は、朝の創造的な思考を守っているのかもしれません。

スタンフォード大学医学部の神経生物学准教授、Andrew Huberman氏によると、起床後すぐにスマートフォンを使うと、睡眠中に生まれた貴重な情報や創造的なひらめきをとらえ損ねてしまう恐れがあるといいます。そのため同氏は、起床後少なくとも30分間はスマートフォンを見ないよう推奨。*1

つまり、成果を出す人は「朝の30分」を、静かな思考の時間にあてているのです。

そこで、なかなかいいアイデアが出せないと悩む方へのおすすめは、以下のゆるっと朝活です。

 
  • 起き抜けのボーッとタイム
  • 朝のひらめきを1~3語メモ

前者は歯を磨きながら、シャワーを浴びながら、ストレッチをしながらでもいいのではないでしょうか。この小さなルーティンが、「朝の30分」を創造の時間に変えるはずです。

ベッドの上でストレッチをする女性

【午前中】他人のリズムに合わせすぎない

「今日は午前中のうちに、打ち合わせや報告、連絡が欲しいと言っていたクライアントへの電話を済ませちゃおう」

そんな日が続いていませんか?

デキる人は、ちょっと違うかもしれません。「サボってるの?」と言いたくなるほど、午前中はいつも自席で静かに作業している可能性があります。

なぜなら、午前中は自分がじっくり考える時間にするのがベストだから。他者のリズムを詰め込んでしまうと、それが難しくなってしまうからです。

東北大学加齢医学研究所教授の川島隆太氏は、自身の「経験と脳のデータ」から、「脳を使うなら午前中だ」と伝えています。*2

そこでおすすめは、午前中に「戦略タイム」をスケジュールに入れてしまうこと。そうして思考を守るのです。たとえば、こんな具合です。

 
  • 9時〜10時:企画練りや資料づくりに集中
  • 10時〜11時:「情報収集や過去データの読み込み」で裏づけを強化 or 整理

「忙しくバリバリ仕事をしているわりには、あまり進まない人」は、まずこの時間帯の使い方を見直してみましょう。

パソコン仕事に集中する男性

【終日】感情に支配されない

「この人、私のように難しい案件を担当していないから、イライラが少ないのでは?」

そう感じていた同僚が、じつは周囲から信頼され、重要な仕事を任されていた……。

その背景には、成果を出す人ほど感情の伝染性を理解し、制御しているという事実が隠れているかもしれません。

私たちは無意識のうちに、周囲の人の感情をまねているとご存知でしょうか。

これは、感情の伝染(Emotional Contagion)という現象に関係しています。じつは笑顔も不満も、人から人へと伝染しているのです。*3

心理学分野の権威あるWebメディア『Psychology Today』では、人は意外と他者の気分や感情に影響を受けやすいが、そのことに気がついていない人が多いと指摘しています。*3

だからこそ、周囲に信頼され一目置かれる人は、自分の感情が場の空気に影響すること、それがブーメランで自分にも返ってくることがわかっているのです。

そこで、イライラしやすい人におすすめしたいのが、感情に支配されないためのリセット術。「リセットタイムのルーティン化」です。

 
  • リマインダーに「リセットタイム」を設定(1日数回)
  • リマインダーが来たらイライラを紙に書き破って捨てる

ちょっとした習慣ですが、冷静さを取り戻すきっかけになるはずです。

紙を破るビジネスパーソン

【夕方】他人軸で残業しない

「どうやら今日は残業したほうがよさそう」「残業して終わらせないと上司が不機嫌になりそう」

そんなふうに、他人軸で残業していませんか?

成果を出す人は自ら残業を選ぶ以外は、サクッと仕事を終え、帰ってしまいます。つまり、残業するのは自分軸のみ。他人軸では残業しないのです。

2023年にSlack社が世界中の1万人以上のデスクワーカーを対象に行なった大規模調査によると、「義務感から残業をしている従業員は、定められた勤務時間で仕事を終える従業員」と比較して、

  • 生産性スコアが20%低い
  • 仕事のストレスが2.1倍多い
  • 燃え尽きリスクが2倍高い

とわかりました。*4

一方で、自分の判断で自主的に残業している人には、生産性への悪影響はなく、むしろわずかに向上が見られたといいます。*4

つまり、成果を出す人はその差がわかっているからこそ、他人軸では残業しないのです。

そこで、ついつい他人軸で残業してしまう人におすすめしたいのがこちら。

 
  • 終業30分前に手を止め、明日のタスクを書き出す。
  • 定時で帰る意思を周囲に宣言する。

そうすれば必然的に、定時退社を習慣化できるようになるはずです。

***
成果につながらない行動を手放せば、本当に意味のあることに集中できるでしょう。

  • 【朝】起床後30分間はスマホを見ない
  • 【午前中】他者のリズムを詰め込まない
  • 【終日】感情に支配されない
  • 【夕方】他人軸で残業しない

見せかけではない、「本当に仕事がデキる人」を目指してみませんか?

【ライタープロフィール】
こばやしまほ

大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。

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