会議を任されるようになったら|効果的な会議進行でチームを引っ張る”3つの方法”

NOと言っている様子のビジネスパーソン

「この会議、本当に必要なの?」

「また結論が出ないまま終わりそう……」

一般社員時代、こんなふうに会議に対して疑問や不満を感じたことはありませんか?

そして今、リーダーとして会議の運営を任されるようになり、「あのときの不満を解消する会議にしよう」と意気込んでいるものの、思うようにいかない難しさを感じているかもしれません。

本記事では、一般社員時代には見えなかった会議運営の背景を理解し、効果的な会議運営ができるリーダーになるための具体的な方法をご紹介します。

一般社員時代に感じていた「非効率な会議」の本当の理由

リーダーになる前、あなたはどんな会議に不満を感じていましたか? 多くの場合、以下のような疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。

😡なぜあんなに人が多く招集されるのか

一般社員時代、「自分はこの会議に参加する必要があるのだろうか」と疑問に思ったことはありませんか? 会議室に詰め込まれた大勢の参加者を見て、「もっと少人数で効率的に決められるのに」と感じたことも多いでしょう。

実際、調査によれば、会議参加者の約70%が自分の参加が必要だと感じていない会議に出席した経験があるというデータもあります。*1 これは明らかに組織の生産性を下げる要因です。

😡なぜ議題があいまいで時間ばかりかかるのか

「今日の会議は何について話し合うのか?」が明確でないまま始まり、議論が散漫になって予定時間をオーバーする会議も多いのではないでしょうか。

米国の調査では、ビジネスパーソンの約46%が「目的が明確でない会議」を最大の時間の無駄と感じているという結果も出ています。*2 目的が不明確なまま会議を進めることは、参加者の時間と集中力を奪うことになります。

😡なぜ決定事項が曖昧なまま終わるのか

「結局何が決まったの?」と思いながら会議室を後にした経験はありませんか? 多くの会議が具体的な結論や次のアクションプランを明確にしないまま終わってしまい、参加者は達成感を得られないまま次の業務に戻ることになります。

ある研究によれば、会議後に具体的なフォローアップがない場合、決定事項の約40%が実際に実行されないというデータもあります。*3 これでは会議自体が形骸化してしまいます。

会議にうんざりするビジネスパーソン

リーダーとして直面する会議運営の現実と課題

一般社員時代に感じていた疑問や不満。しかし、実際にリーダーとして会議を運営する立場になると、さまざまな難しさに直面することになります。

😭多様な利害関係と情報共有の難しさ

「必要な人だけ招集すればいい」と思っていても、実際には誰を招集すべきかの判断は意外と難しいものです。特に組織横断的な案件では、直接的な関係者だけでなく、間接的に影響を受ける部署やチームのメンバーも考慮する必要があります。

また、会議に呼ばなかった人から「なぜ私を呼ばなかったのか」という不満が出ることもあります。トヨタ自動車本社(愛知県豊田市)に掲げられている「事技系職場における7つのムダ」のなかに「上司のプライドのムダ」という言葉がありますが、これは現実の課題です。

上司のプライドのムダ

自分に報告がなかったという理由だけで、「私は聞いていない」と言っていませんか?(中略)情報は上司自ら取りに行きましょう。*4

この理想と現実のギャップに悩むリーダーも多いでしょう。

😭全員の納得と迅速な意思決定のバランス

会議では、全員の意見を尊重しながらも、限られた時間内に結論を出すという難しいバランスが求められます。全員の発言を促せば時間がかかり、急いで結論を出せば一部のメンバーの不満が残る可能性があります。

特に日本の組織文化では「全員の合意」を重視する傾向があり、その結果として意思決定が遅れがちになることも少なくありません。

😭会議の成果を組織に定着させる責任

リーダーとして最も難しいのは、会議で決まったことを確実に実行に移すというフォローアップかもしれません。会議自体がうまく進行しても、その後の実行が伴わなければ意味がありません。

日々の業務に追われる中で、会議の決定事項を追跡し、メンバーの行動変容を促すことは容易ではありません。また、決定事項が組織の他のメンバーにも正確に伝わるようにする責任もリーダーにあります。

会議をするビジネスパーソンたち

両方の視点を理解したリーダーだからこそできる効果的な会議運営

一般社員時代の疑問と、リーダーとしての課題の両方を理解したからこそ、効果的な会議運営が可能になります。ここでは具体的な改善策をご紹介します。

方法① 目的を明確にし、必要な人だけを招集する方法

会議の招集者として最も重要なのは、その会議の目的を明確にすることです。「なぜこの会議が必要なのか」「何を決めるのか」を明確にすれば、自ずと参加者も絞られてきます。

具体的には、会議の招集時に以下の3つの質問に答えられるようにしましょう:

  1. この会議で何を決定する必要があるのか
  2. その決定に誰の意見や承認が必要か
  3. この会議の成功の定義は何か

また、参加者を「決定者」「貢献者」「情報受領者」に分類し、情報受領者は会議後の議事録共有で十分ではないかを検討してみましょう。

もし、上司や関係者から「なぜ呼ばれなかったのか」という声があれば、「効率的な意思決定のため」という理由と共に、アジェンダと議事録の共有を徹底することで理解を得ることができます。

AGENDAと表現された画像

方法② 全員が参加する効率的な議論の進め方

会議の進行役として、全員が意見を出せる環境を作りながらも、時間内に結論を導くスキルが求められます。

効果的な方法の一つは、会議の冒頭で「タイムボックス」を設定することです。各議題に時間制限を設け、それを全員に共有することで、議論が散漫になることを防ぎます。

また、発言の少ないメンバーに対しては「〇〇さんはこの件についてどう思いますか?」と直接質問することで参加を促し、一方で長く話し続けるメンバーには「ありがとうございます。他の方の意見も聞いてみましょう」と丁寧に介入することが大切です。

議論が脱線したときは「今の話は重要ですが、本日の目的に戻りましょう。その件は別途時間を取りましょうか?」といった声かけが効果的です。

方法③ 決定事項を確実に実行に移すフォローアップ技術

会議で決まったことを実行に移すために、「誰が」「何を」「いつまでに」行うのかを明確にすることが重要です。

会議の最後に5分間を使って、決定事項とアクションアイテムを確認しましょう。議事録には決定事項とアクションアイテムを目立つように記載し、参加者全員に共有します。

また、次回の会議の冒頭では、前回のアクションアイテムの進捗を確認することを習慣化することで、フォローアップの文化を醸成することができます。

ビジネスチャットツールのSlackMicrosoft Teamsなどを活用して、アクションアイテムの進捗を可視化するのも効果的です。*5

あなたから始める会議改革の第一歩

会議文化を変えるのは一朝一夕にはいきませんが、あなたが担当する会議から少しずつ変えていくことは可能です。

まずは、「この会議は本当に必要か?」という問いから始めましょう。情報共有だけが目的なら、メールやチャットツールで代替できないか検討してみてください。

次に、必要な会議については「30分で終わる会議」を目標にしてみましょう。時間が限られていると、自然と集中力が高まり、効率的な議論が可能になります。

最後に、会議の定期的な振り返りを行いましょう。「この会議は価値があるか?」「改善点はあるか?」を参加者に尋ね、継続的に改善することが大切です。

ノートパソコンを見るビジネスパーソン

***
一般社員時代に感じていた「無駄な会議」への不満。そして、リーダーとなって直面する会議運営の難しさ。両方の視点を持つあなただからこそ、より効果的な会議運営が可能になります。

「目的の明確化」「必要な人だけの招集」「効率的な議論の進行」「確実なフォローアップ」というシンプルな原則を守ることで、会議はチームの生産性と満足度を高める貴重な機会となります。

小さな一歩から始めて、あなたのチームの会議文化を少しずつ変えていきましょう。その変化は、やがてあなたの組織全体に広がっていくことでしょう。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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