対人関係がうまくいかない、仕事や勉強に集中できない、毎日やることが多すぎてつらい……。日常のなかでストレスを感じる瞬間を数え出せばキリがありませんよね。今回は、日々のストレス軽減に役立つ習慣を、シーン別に7個紹介します。ぜひ自分にピッタリなものを見つけて役立ててみてくださいね!
【1】仕事がはかどらずイライラ→「20分のdowntime」で切り替える
集中できなくて思考が鈍ってきた。スケジュール通りに仕事が進まずイライラ。そんなときは20分の「downtime」をとってリフレッシュしましょう。
downtimeとは、ハーバード大学医学部教授のハーバート・ベンソン氏が提唱するリラックス方法。「1日のなかで20分の休憩時間をとる」だけで、感情の消耗や負担が半減するそうです。
downtimeのあいだは、仕事を休止していればなにをしていても大丈夫です。また、20分を小分けにしてもよいとのこと。たとえば、イライラしてきたら5分コーヒーを飲む、集中力が切れてきたら5分音楽を聞く、最後にもうひとふんばりの前に10分ただのんびりする、というように「合計20分」を意識した小休止をとってみてはいかがでしょうか。
【2】明日も仕事か……と憂うつ→「1/fゆらぎ」でリラックス
1日が終わって体も心もクタクタ。翌日の仕事のことを考えると憂うつになる。そんな日は、帰宅後のリラックスタイムのおともに「1/fゆらぎを含む音楽」を聞いてみませんか?
1/fゆらぎとは、自然界などで多く見られる現象。たとえば、川のせせらぎやそよ風などに含まれています。物理学者の武者利光氏によると、この1/fゆらぎが人間にリラクゼーション効果をもたらすとのこと。モーツァルトやショパンの音楽に1/fゆらぎが含まれていることも判明しています。
お風呂上がりや寝る前などはもちろんのこと、上記のdowntimeに1/fゆらぎを含んだ音楽を聞いてみてはいかがでしょう。1/fゆらぎを含む音楽はインターネット上でも数多く公開されていますので、ぜひ探してみてください。
【3】やることが多すぎてつらい→「ピックスリー」で3つに絞る
仕事でも家庭でも、日々やることが多すぎてつらい。やるべきことをこなせないと罪悪感を感じ、余計つらい。そんなあなたに大切なのは「やるべきことを3つに絞る」ことです。
フェイスブックの創業メンバーで、現在は作家、経営者のほか3児の母として多忙を極めるランディ・ザッカーバーグ氏。彼女が仕事と家庭を両立できているのは「ピックスリー」を実践しているからだそう。やり方は以下の3ステップです。
- 自分が人生で最も重視することを5つ選ぶ
(ザッカーバーグ氏の場合:仕事、睡眠、家族、運動、友人) - 5つのなかから毎日3つだけ選んで取り組む
(日々同じでも違ってもよい) - その日に達成したことを記録する
ピックスリーの実践記録は、たとえばこのように書きます。
仕事を頑張ったあと、ジムに行って体を動かした。寝る前に実家の母親に電話もできた。
→結果:ピックスリー達成!
ポイントは、たとえ5つ全部やれそうな日があっても、あえて3つに絞ること。完璧を求めすぎると「燃え尽き症候群」になってしまうとザッカーバーグ氏は指摘します。ピックスリーの目的は、完璧主義を脱却して精神の疲労を軽減することにあるのです。
【4】勉強が進まなくてイライラ→「オーウェル思考」で自分を許す
勉強がはかどらなくてイライラしがちなあなたも、完璧主義を捨てるといいかもしれません。考え方の切り替えに役立つ「オーウェル思考」を紹介しましょう。
コミュニケーションデザイナーの吉田幸弘氏によると、イライラは「〜すべき」と考える「マスト思考」からくるもの。それを「oh well=まあいいか」と考える「オーウェル思考」に置き換えるといいのだとか。
たとえば、勉強が思うように進まないのであれば、以下のように思考を転換してみます。
【マスト思考】今日中に参考書を30ページ終わらせるべき
→【オーウェル思考】1問しっかり解ければ、まあいいか
ポイントは、自分に甘くするというより「マスト思考」への偏りをなくすことにあります。「まあいいか」と気持ちを切り替えて心の許容範囲を広げれば、上手にイライラを抑えられるでしょう。
【5】苦手な人と話すのがつらい→「メタ認知」で心を軽く
苦手な人と話すのはつらいものですよね。会わないようにできればよいのですが、職場となるとそうもいかないのが苦しいところ。
このような精神的負担を軽減するには、脳科学者の中野信子氏がすすめる「メタ認知」が有効です。メタ認知とは、自分の行動や考えを客観的に把握し、認知すること。
たとえば、いつも上から目線で説教してくる苦手な相手から「お前はもっと苦労しなきゃだめ。苦労したやつしか成功しないから」と言われてイライラしたときは、次の2つの方法でメタ認知を実践しましょう。
- 相手を類型化して分析
(例:苦労しなきゃ成功しないと言っているので、この人は「才能よりも努力」と考えているタイプなんだな) - 相手の心理を分析
(例:過去にとんでもない苦労をしてきたから、こんな言い方をするのではないだろうか)
苦手な人にも我慢してちゃんと対応しようとすると、自分を追い詰めてしまいます。メタ認知を活かして「分析して楽しむ」ことで、心を軽くしてみてください。
【6】探し物が見つからない→「探し物の名前」を呼ぶ
探し物が見つからないという小さなイライラも、バカにならないものですよね。じつは、そんなイライラを簡単になくせる方法があるのです。それは「探し物の名前を口に出す」こと。
ウィスコンシン大学心理学教授のゲイリー・ルピャン氏らの実験では、言葉に出して物を探すほうが、黙って探すよりも見つけ出す時間が短くなると報告されています。探す対象の物を口で言うことで、脳の認知機能がアップするそう。
たとえば、デスクに置いておいたはずの手帳をなくしたというときであれば、「手帳、手帳」と言いながら探してみてください。案外すんなりと見つかって、ストレスを感じずにすむことでしょう。
【7】もう我慢の限界!→「アンガーログ」で上手に怒る
対人関係や仕事のトラブルでイラっとして「怒りたい!」と思ったときは、「アンガーログ」を上手に怒る助けにしてみてください。
「アンガーログ」とは、いわば「怒りのメモ」。怒りを感じたら、すぐに「日時・場所・出来事・思ったこと・怒りの強さ(10段階)」をメモに書きます。横浜市立大学医学部講師の田辺有理子氏によると、アンガーメモを書くと自分の怒りを客観的に見ることができるほか、その場の怒りが落ち着いて冷静になれる効果があるのだそう。
たとえば、このような具合です。
- 日時:9月12日(土)12時
- 場所:喫茶店
- 出来事:仕事の打ち合わせ中、先輩のAさんがその場にいない仲間の人格を侮辱する発言をした。
- 思ったこと:本人に自覚がないのがタチが悪い。いい歳してほんとにダサい。
- 怒りの強さ:8
じつはこれは筆者の実体験です。こうして怒りを分析すると、自分の怒りの正当性を検討できて、上手に怒ることに活用できると感じました。感情的に怒りをぶつけるよりも、冷静に分析して確認した自分の意志や考えをはっきり伝えるほうが、人間関係を構築するうえでも有意義なはずです。
上記の例であれば、たとえば次のような言い方をすればスマートだし、怒りによるストレスも軽くなると思います。
「本人のいないところで仕事以外の部分を悪く言うのって、かっこ悪いですよ」
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今回ご紹介したストレス軽減策はこちらです。
自分にピッタリのものは見つかりましたか? ぜひ習慣に取り入れてみてください。
(参考)
Psychology Today|8 Questions to Check If You're Emotionally Exhausted
STUDY HACKER|1日 “たった20分” で心が軽くなる。ハーバード大教授が提唱「downtime」のすごい効果
FUTURUS|人間を生かし、 名曲をも生み出す 「1/fゆらぎ」の謎【前編】
東洋経済オンライン|世界でバズった「毎日3つ選ぶだけ」幸福術
マネー現代|仕事が早く終わる人の特徴、「オーウェル思考」とは何か?
STUDY HACKER|毎日聞くのが苦痛な自慢や説教――。そんな困った人から「自分を守る方法」とは【中野信子『カリスマの言葉』第9回】
LIVE SCIENCE|Talk to Yourself? Why You're Not Crazy
朝日新聞デジタル|日々の怒りをメモしよう
STUDY HACKER|怒りを見える化「アンガーログ」をやってみた。不要な怒りが鎮まり、賢くキレられるようになる!
【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。