チームワークを深める「定期的な振り返りミーティング」。改善点と強みを洗い出し、継続的な成長へ

ミーティングの様子を上から見た画像

プロジェクトを成功に導くために欠かせない「振り返りミーティング」。その重要性は理解していても、忙しい日々の中でなかなか実践できていないと感じることはありませんか?

同じ問題の繰り返しやチーム成長の停滞を避けるためには、定期的なレビューが必要です。適切に実施される振り返りのプロセスは、チームが直面している目に見えない課題を浮き彫りにし、メンバー間の認識を揃え、具体的な改善への道筋を示してくれます

一見、時間を取られるように思えるこの活動が、実はプロジェクト全体の効率と成功確率を高める鍵となるのです。

「重要性はわかっているけれど、具体的にどう進めたらいいの?」そんな疑問にお応えして、効果的なミーティングの設計から実践的なアクションプランの作成まで解説します。

振り返りミーティングの実践的メリット

振り返りがもたらす5つの成果
ゴール共有によるチーム一体感の醸成
多様な視点からの意見交換による質の高い意思決定
タスク偏りなどのチーム内問題の早期発見
メンバーの強み認識と適切な役割分担の実現
成功体験共有によるチーム全体のスキル向上

あるIT企業PMは「週次振り返りを始めてから、コミュニケーションエラーが70%減少し、納期遅延がほぼなくなった」と効果を報告しています。

チームワークを表現した画像

効果的な振り返りミーティングの設計法

1. 事前準備・議題の設定

ミーティング時間を有効活用するための準備:

  • 具体的アジェンダ:「スプリント振り返り(20分)→改善点抽出(15分)→次週プラン策定(15分)」と時間配分も明示
  • 事前アンケート:「成果を感じた点」「改善点」「次に試したいこと」など3〜5問を用意

匿名アンケートで本音を集め、Google FormsやSlackなど回答しやすいツールの活用も効果的です。

効果的な振り返りフレームワーク

K

KPT法

Keep(続けること)、Problem(問題点)、Try(試すこと)の3つの視点で振り返る。
活用例:「チーム内コミュニケーションは維持しつつ(K)、タスク割り当ての偏りを解消し(P)、週次の負荷確認ミーティングを試行する(T)」

M

Mad/Sad/Glad

不満、残念、嬉しかったことをそれぞれ挙げて感情面からも振り返る。
活用例:「度重なる仕様変更に困惑(Mad)、デッドラインが厳しかった(Sad)、クライアントから高評価を得られた(Glad)」

S

Start/Stop/Continue

始めること、やめること、続けることを明確にして具体的なアクションにつなげる。
活用例:「朝会で優先タスクを共有する(Start)、個別の状況報告メールを廃止(Stop)、週次のリスク確認は継続(Continue)」

これらのフレームワークを使うことで、ポジティブな側面とネガティブな側面をバランスよく議論できます。

2. ファシリテーションの実践テクニック

ファシリテーターは単なる司会役ではなく、チームの対話促進と建設的な結論導出を担います。*1

効果的なファシリテーションの2つのポイント

1

ゴールとルールの明確化

「今日は先週の課題3つの解決策を決定します」

「どんな意見も否定せず、まずは出し切ることを重視します」

ミーティングの冒頭で目的とルールを明確に伝えることで、参加者の認識を揃え、効果的な議論につなげます。

2

チェックインの実施*2

質問例:「今週のハイライトは?」「今日解決したい課題は?」

全員に簡単な発言機会を設けることで、心理的安全性を高め、その後の議論への参加障壁を下げます。特に発言の少ないメンバーには効果的です。

チェックインの例:「今週のハイライトは?」「今日解決したい課題は?」など、簡単な質問から始めると効果的です。

向かい合って話すビジネスパーソンたち

PDCAを回す具体的なアクションプラン作成法

1. Plan(計画):具体的なアクションプラン策定

課題に対して5W1Hを明確にした実行可能なプランを作成します。誰が見ても実行できる具体的な粒度にすることが重要です。

「コミュニケーション不足」への対応例:

When(いつ):毎日10:30-10:45に
Where(どこで):チームのSlackチャンネルで
Who(誰が):全メンバーが
What(何を):今日の最優先タスク1つと障害となっていることを
Why(なぜ):早期のサポート体制構築のために
How(どのように):テンプレートに沿って15分以内に共有する

具体化することで「やります」で終わらせず、確実に実行に移せます。

2. Do/Check(実行/評価):効果検証

次回振り返りで確認すべきポイント:

  • 計画通りに実行できたか
  • 期待する効果が得られたか
  • 新たな課題は見つかったか
  • プラン調整は必要か

例:日次コミュニケーション施策の結果、「報告は増えたが形式的になり、本質的な情報共有につながっていない」という新課題が見つかることも。

3. Act(改善):継続的改善

評価結果をもとにプランを改善します。効果が低い施策は見直し、効果的だった施策は標準化して定着させましょう。

PDCAサイクルの継続でチームは成長し、プロジェクトの成功確率が高まります。特に「Check」の精度が高いほど効果的な改善につながります。

PDCAを表現した画像

小さく始めて効果を高める

振り返りミーティングは完璧を目指さず、15分の簡易版から始めて徐々に改善するのが効果的です。

最初は「KPT法による15分振り返り」などシンプルな形から始め、習慣化したら深い議論やアクションプランの精緻化に発展させましょう。

効果的な振り返りでチームは継続的に成長し、プロジェクト成功確率が高まります。明日からの実践に役立ててください。

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト