【仕事ができる人の「当たり前」】ToDoリスト作成だけで終わらない、成果につなげるタスク管理

ToDoリスト

仕事をスムーズに進めるうえで欠かせないもののひとつが、「タスク管理」です。しかし、ひとことでタスク管理と言っても、「仕事ができる人とそうでない人で違いが見られる」と言うのは、「にっしー社長」としてYouTubeやTikTokでビジネススキルの情報発信も行なう株式会社明治クッカー代表取締役の西原亮さん。『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』(ダイヤモンド社)を上梓した西原さんに、両者の違いを解説してもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

【プロフィール】
西原亮(にしはら・りょう)
1983年生まれ、千葉県出身。株式会社明治クッカー代表取締役。慶應義塾大学卒業後、アメリカ・ニューヨークに拠点を置く投資ファンドと大手総合商社の合弁にて設立された経営コンサルティング会社に入社。主に全社組織改革、新規事業立案、新興国への海外事業展開戦略などのプロジェクトに参加。担当企業はグローバル大手印刷機器会社、イスラエル大手製薬会社、国内大手通信会社など多数。同社で5年の勤務を経て30歳を迎えた2013年、父親の跡を継ぐために明治クッカーに参画、同年8月より代表取締役に就任。万年赤字、廃業加速、低賃金、採用難、超アナログの産業において、売上、従業員数ともに10年で700%の成長を実現。2019年より「にっしー社長」としてYouTubeおよびTikTokにてビジネススキルの情報発信を開始。YouTubeのチャンネル登録者数は10万人、TikTokフォロワーは20万人を超える。

「行動」ではなく「状態」でゴールを設定する

タスク管理において、「仕事ができる人」になれるかどうかの分かれ目は、「今週やるべきこと」を明確にするかどうかという点にあります。なぜなら、今週やるべきことを明確化するのは、「ゴール設定」そのものだからです。

ゴール設定ができていなければ、それらを細分化したToDoを設定できるはずもないですよね。こなすべきアクションが見えないのですから、「仕事ができる人」になど到底なれるわけもないのです。

もちろん、販売スタッフなど、店舗の営業時間が終われば仕事も終わりという業務もあるでしょう。でも、そういった限られた業務以外の仕事に携わる人の大半は、しっかりとゴール設定をしなければなりません。

そのポイントは、「行動」ではなく「状態」でゴールを設定するということです。私はYouTubeやTikTokでの情報発信も行なっていますから、本業とは別に撮影の仕事もあります。そのゴール設定をするとき、「今週は3本の動画を撮影する」と「行動」で設定したらどうなるでしょう? その過程で、3本の動画を撮影したとしても、必要なカットを撮影し忘れてしまったとします。すると、動画編集の担当者は仕事を進めることができません。

そうではなく、「状態」でゴールを設定するのです。このケースなら、「想定していた3本の動画撮影がすべて完了した状態にする」となります。その状態であれば、動画編集の担当者は仕事を進められますから、私の「やるべきこと」をきちんとこなしたと言えます。

「行動」ではなく「状態」でゴールを設定するようにすすめる西原亮さん

ゴールを「実行できる単位」のToDoに落とし込む

そのようにゴールを設定したら、続いてそれをToDoに分解していきましょう。ここでは、具体的になにをすればいいかというアクションにまで落とし込みます。そのとき意識してほしいのは、自分が「実行できる単位」にまで分解するということ。

上司から、「お昼ご飯を買いに行くついでに、コンビニで牛乳を買ってきて」と依頼されたらどうしますか? 深く考えるまでもなく牛乳を買ってくるはずです。でも、「外部のIT企業と協力して新商品のウェブサイトをつくって」という依頼だったらどうでしょう? 同様の仕事の経験がある人以外は、「なにから始めたらいいだろう……?」と立ち止まってしまうはずです。行動に移せないのです。

両者の違いは、まさに「実行できる単位」かどうかにあります。「コンビニで牛乳を買う」というのは、ほとんどの人にとってそのまま「実行できる単位」です。一方、「外部のIT企業と協力して新商品のウェブサイトをつくる」は、多くの人にとって「実行できる単位」になっていないのです。

このままではゴールに到達することはできません。そこで、「実行できる単位」にまで分解していきましょう。たとえば、「別商品のウェブサイトの担当者に、当時の進め方についてヒアリングする」「競合商品のウェブサイトをリサーチし、デザインや機能などの参考事例を集める」「過去の実績や得意分野を調査し、候補のIT企業をリストアップする」といったことなら、誰だって実行できるはずです。

そして、先に「自分が『実行できる単位』」とお伝えしたように、この作業は人それぞれで異なります。ウェブサイト作成を多く担当した経験がある人なら、「外部のIT企業と協力して新商品のウェブサイトをつくる」が、「コンビニで牛乳を買う」と同じようにそのまま「実行できる単位」と受け取ることもできるかもしれません。

逆に、一度もコンビニを利用したことがない人であれば、「コンビニで牛乳を買う」というゴールも、「近くのコンビニに行く」「牛乳の販売コーナーを見つける」「牛乳を手に取る」「レジに持って行き会計をする」というように細分化しなければならないというわけです。

ゴールを「実行できる単位」のToDoに落とし込むようにすすめる西原亮さん

前もって上司と「確認タイミング」を決めておく

そのようにしてゴールをToDoに落とし込み仕事を進めるなかでも、「仕事ができる人」には特徴が見られます。それは、「前もって確認タイミングを決めておく」という点です。その前提として、「仕事ができる人」は、成果物の具体的な中身やアウトプットの形式、期日などを上司と事前にきちんとすり合わせているという特徴ももっています。

営業資料の作成を依頼されたとしたら、具体的にどのような内容を盛り込むのか、手書きやWordベースのイメージでいいのか、それともパワポでデザインまでしっかりつくるべきなのか、それをいつまでに仕上げればいいのかといった上司の期待が見えないまま仕事を進めれば、まったく見当違いのものをつくってしまいかねません。そんなことでは、結果的に差し戻され、それまでに費やした労力も時間も無駄になってしまいます。

しかし、そのように事前のすり合わせをしていても、どこかで上司の期待とのずれが生じてしまうこともあるものです。そこで、たとえば「○日に手書きイメージを確認してください」「△日に粗い状態ですがデザインの素案をおもちします」というように、前もって確認タイミングを上司とのあいだで決めておくのです。

逆にそうしていない場合、「上司は忙しそうだし、もう少し進めてから確認してもらおう」「この粗い状態で見てもらってもいいものだろうか」といった考えにとらわれしまい、方向性を間違ったまま、最終的に無駄になる作業を続けてしまうこともあるはずです。

日本のビジネスシーンにおいては、長きにわたって生産性向上が課題だとされていますが、その課題解決のためにも、上司との事前のすり合わせや確認タイミングの設定によって無駄を削ぎ落とすことが肝要なのです。

ToDoリスト作成だけで終わらない、成果につなげるタスク管理についてお話しくださった西原亮さん

【西原亮さん ほかのインタビュー記事はこちら】
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「仕事ができる人」が “本を読む前” にやっていること。記憶を強化する読書習慣を教えます(※近日公開)

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)

1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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