AIの進化が急速に進み、働き方が大きく変わりつつあるいま、「自分の仕事はこの先どうなるのだろう」「何を身につければいいのか」と、不安を感じている方は少なくないはずです。
AIが文章を書き、映像をつくり、データを分析する時代。どんな職業であっても、いままさに「人にしかできない価値」が問われています。
私がそんな時代を生き抜くヒントになると思っているのが「キャリアカテゴリー戦略」です。
AIが能力を均一化していくなかで、評価されるのはスキルの量ではなく「どんなときに何で思い出されるか」です。
思い出される人が、選ばれ、声がかかる。だからこそいま、自分という存在を「相手の頭のなかにどう残すか」が大切になっているのです。
- ☐ 自分の将来が何となく不安だ
- ☐ 次にやりたい仕事や目標が見つからない
- ☐ いまの仕事をしていても自分の成長を感じられない
- ☐ 他人のキャリアと比べて落ち込むことがある
- ☐ 結局、自分が何の人かわからない
もしひとつでも当てはまるとしたら「キャリアカテゴリー戦略」が役に立つはずです。
【プロフィール】
田岡凌(たおか・りょう)
ネスレにて新卒初の事業本部(マーケティング)アサイン。WeWorkのブランドマーケティング責任者。Sales Marker 社の外部顧問としてグロース支援。京都大学卒業後、ネスレにてネスカフェ、ミロのブランド担当。外資系企業のブランドマーケティング責任者、マーケティングスタートアップ CMOを歴任。現在、suswork株式会社にて、スタートアップから大企業まで数十社のマーケティング戦略支援を行う。株式会社Sales Marker外部顧問。カテゴリー戦略の専門家。ギャラップ社認定クリフトンストレングスコーチ。PIVOT、NewsPicks、Markezine、ITメディアなどで多数出演。著書「急成長企業だけが実践するカテゴリー戦略 頭に浮かべば、モノは売れる」
- 「キャリアカテゴリー戦略」とは何か
- キャリアは単なる掛け算ではない
- 「課題を解く人」になれ
- 「キャリアカテゴリー戦略」3つの代表パターン
- 「思い出される人」が、チャンスをつかむ
- AI時代こそ「声がかかる人」を目指そう
「キャリアカテゴリー戦略」とは何か
キャリアカテゴリー戦略とは、相手の頭のなかに「○○といえばあなた」という想起をつくり、自然と機会が集まる状態をつくる考え方です。
単にスキルや肩書きを並べることではありません。むしろ逆です。「何屋で」「どんな価値を届けられる人か」を明確にすることが大切です。
たとえば筆者も「カテゴリー戦略」という考え方を書籍やイベントを通じて発信しており、現在は「カテゴリー戦略といえば田岡」として認識いただくことが増えました。おかげで大手企業の経営者や事業責任者、スタートアップ創業者など、多くの方々と仕事をご一緒する機会をいただいています。
もし私が「マーケティング歴15年」「元スタートアップCMO」といったラベルだけで勝負していたら、このような機会は得られなかったと思います。私自身が実感するのは、個人もカテゴリーを持つことで、選ばれ方が劇的に変わるということです。
たとえば、こんな風に考えてみてください。
- 「豊富な経験の営業パーソン」ではなく、「教育業界特化の営業パーソン」
- 「最近独立したフリーアナウンサー」ではなく、「金融に強いビジネスMC」
- 「営業経験のある空間デザイナー」ではなく、「売れる店舗をつくるデザイナー」
- 「AIが好きな事業開発パーソン」ではなく、「AI事業開発マネージャー」
おそらく彼らはいまこの時代に強く求められる人材です。彼らはスキルをすべて理解されて選ばれていくわけではありません。
相手にとって何者なのか、何の価値があるかが明確だからこそ、迷わず声がかかるのです。
キャリアは単なる掛け算ではない
キャリアの戦略というと、単に「専門×専門」「スキル×業界」といった掛け算で差をつけるイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、本質はそこではありません。重要なのは、「相手にとってどんな価値を生み出せるか」です。
どれほど多才でも、「どんな課題を解決できる人か」「どんな独自の価値を提供できる人か」が伝わらなければ、チャンスは生まれません。
カテゴリーは"自分のなか"ではなく、常に"相手のなか"にあるのです。
だからこそ、自分を知ってもらう前に、相手を知ること、市場を知ることが大切です。
どんな場面で困っているのか、どんな悩みを抱えているのか。それを理解できれば、自分の価値を相手の言葉で説明できるようになります。
「この人なら任せたい」と思い出してもらえるようになれば、自然と仕事の機会が増えていきます。

「課題を解く人」になれ
カテゴリーを持つ個人とは、自分の得意を語る人ではなく、相手の課題を解く人、価値を提供できる人です。
- 営業であれば、単に「提案が得意です」ではなく、「教育業界の営業効率を上げられます」と言える人。
- アナウンサーなら「話すのが上手です」ではなく、「金融の専門知識を視聴者目線でわかりやすく伝えられます」と言える人。
- デザイナーなら「デザインができます」ではなく、「店舗の売上を上げる空間設計ができます」と言える人。
- 事業開発パーソンなら「事業開発してきました」ではなく、「AIを活用し高速で事業開発や検証を進める新しい事業開発モデルを進めます」と言える人。
こうした人たちは、自分のスキルを「相手の課題を解く力」に変換して伝えています。
キャリアカテゴリー戦略の目的は、スキルをやみくもに増やすことではなく、自分の価値を相手が理解しやすい形に変えることです。
「あの人に頼めば安心だ」「あの人に頼めば成果が出る」と思ってもらえること。それが、キャリアにおける信頼であり、次の機会につながる一番の近道です。
「キャリアカテゴリー戦略」3つの代表パターン
キャリアカテゴリー戦略を考えるときに最も重要なのは、業界や企業が抱える課題です。この課題を言語化し、独自の価値をひと言で伝えていくことが核心となります。
とはいえ、自分では具体的に言語化が難しいかもしれません。あくまでガイドとして、課題起点のキャリアカテゴリーについていくつかのパターンを紹介します。
1.【専門性特化】
ある特定領域では専門性が求められるが、専門人材がいない→特定領域に特化した専門性をもった人材が価値を発揮するパターン
例)教育業界特化の営業パーソン、金融に強いビジネスMC
2.【クロスボーダー】
本来組織や機能が連携して成果を出さなければならないが分断してしまう課題→両方の専門性をもった人材が価値を発揮するパターン
例)売れる店舗をつくるデザイナー
3.【新テーマ】
新しく社会的に注目されているテーマについての専門人材が不足している課題→いままでの専門性を生かしつつ新しいテーマに取り組める人材が活躍するパターン
例)AI事業開発パーソン

「思い出される人」が、チャンスをつかむ
AIがどれだけ進化しても、人が仕事を頼むのは「思い出した相手」です。
ある課題が浮かんだとき「そのことなら、あの人に相談しよう」と思い出される状態。それが、あなたがカテゴリーを持っているということです。
カテゴリーを持つ人には、紹介や相談、仕事が自然に集まります。SNSでの発信や人脈作りにおいても、自分に合った声がかかります。
あなたがいままで出会えなかった機会も手にすることができるでしょう。あるカテゴリーを軸に、さらなるカテゴリーを広げていける可能性もあります。
キャリアカテゴリー戦略とは、「何ができるか」を広げることではなく、「どんなときに何で思い出されるか」を決めることです。
AIがどんなに賢くなっても、人がどう記憶するか、どう思い出すかという在り方が変わらない限り、この本質は変わらないと考えます。
AI時代こそ「声がかかる人」を目指そう
AIが多くの仕事を変えていく時代。1年先も何が起こるかわからない時代。不安を感じるのは自然なことです。
けれど、そんな時代だからこそ、「キャリアカテゴリー」を持つことが自分を守る力に、そしてチャンスを切り拓く力になります。
「あなたは何者か?」「誰のどんな課題を解決するのか?」
その答えを見つけたとき、あなたのキャリアは、きっともっと自由に、可能性に満ちたものになるはずです。

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