ネガティブな ”思考のクセ” を手放そう。 ”セルフ・コーチング”で心のゆとりを取り戻す方法

座ってリラックスしている女性

仕事でミスをしたり、上司に注意されたりしたとき、「自分にはダメなところしかない」「どうせ何をやっても無理だ」と考えてしまったことはありませんか?

私も以前は、小さなミスを一度すると「私には才能がない」と極端に落ち込み、一晩中悩み続けるということがよくありました。この「思考のクセ」は、知らず知らずのうちに私たちのストレスを増大させ、本来の力を発揮できない原因になっています。

心理学の分野では、ネガティブな思考パターンに陥りやすい人ほど、ストレス関連の症状を感じやすいことが知られています。本記事では、そんな「思考のクセ」から抜け出すためのセルフコーチング術をご紹介します。

「思考のクセ」とは何か

思考のクセとは、「偏った認知」の習慣のこと。心理学では「認知の歪み」とも呼ばれています。私たちは日々、様々な出来事を経験しますが、その受け止め方には個人差があります。同じ状況でも、ある人は「チャレンジだ!」と前向きに捉え、別の人は「絶対無理だ」と尻込みしてしまう。この違いを生むのが「思考のクセ」なのです。

思考のクセのイメージ

代表的な思考のクセの例

「白黒思考(オール・オア・ナッシング)」
「完璧にできないなら、やらない方がマシだ」「一度でもミスをしたら、すべてが台無し」

「過度の一般化」
「プレゼンで一度失敗したから、私はプレゼンが下手なんだ」「新しいことに挑戦しても、いつも失敗する」

「自己攻撃」
「あのミスは絶対に私が悪い」「もっと頑張るべきだったのに」と自分ばかりを責める

「極端な先読み不安」
「きっとこの企画は却下されるに違いない」「あの人は私のことを嫌っているはず」

こうした思考のクセは、脳が無意識に選んでいる「解釈の癖」であり、完全になくすことは難しいですが、客観的に気づくことで、コントロールすることは可能です。

思考の癖をコントロールするイメージ

思考のクセがストレスを増大させる理由

思考のクセは「ネガティブな視点→ネガティブな感情→さらにネガティブな思考」という悪循環を生み出します。例えば、「自分は仕事ができない」と思い込むと、新しいタスクに対して「どうせ失敗する」と不安になり、結果として十分な力を発揮できず、「やっぱりダメだった」と落ち込む…このサイクルを繰り返すうちに、ストレスはどんどん蓄積されていきます。

思考の客観視イメージ

思考を「客観視」するテクニック

客観視とは

客観視とは、「自分の思考・感情を一歩引いた視点から眺める」こと。心理学ではメタ認知やマインドフルネスと呼ばれる概念に近いものです。「いま自分は『こういう思考のクセ』にハマっていないか?」と、自分自身をチェックする習慣を身につけることが重要です。

客観視するための具体的な方法

ジャーナリング
思考や感情をノートに書き出す方法。私は毎晩5分だけ「今日どんなことを考えていたか」をメモする習慣にしています。書いた後に読み返すと「あ、これは極端な先読み不安だな」と気づくことが多いです。

マインドフルネス呼吸
3分間だけ、呼吸に意識を向けながら「今どんな感情があるか」を観察する方法。私は通勤電車の中で実践しています。

第三者視点ワーク
「もし親友が同じ状況なら、どんなアドバイスをするだろう?」と、他者の視点から自分の状況を眺めてみる方法。

セルフコーチングのイメージ

セルフコーチングの基本:自分に問いかけて思考を広げる

セルフコーチングとは

セルフコーチングとは、コーチングの考え方を自分自身に適用し、自分で自分の可能性を引き出す技術です。「自分を客観視し、上手な質問を投げかけて、新たな視点や行動を促す」ことで、思考のクセを徐々に変えていきます。

コーチングの根本にある"質問"の力

コーチングでは「答えは本人が持っている」という前提があります。例えば「このミスから学べることは?」「違う方法があるとしたら?」といった質問は、視野を広げ、思考のクセを抜け出すきっかけになります。

セルフコーチングが思考のクセ改善に有効な理由

私たちは「思考のクセ」に埋もれると、その視点からしか物事を見られなくなります。セルフコーチングの質問は、新しい視点や可能性に目を向けるきっかけを作り、思考の幅を広げてくれるのです。

思考の幅が広がっているイメージ

セルフコーチング実践ステップ

💫 ステップ1:状況を整理する

「何が起きたのか?」「どう感じたのか?」を事実と感情に分けて書き出します。「上司に企画を否定された」(事実)と「自分は評価されていないと感じた」(感情)を区別することが大切です。

🚶 ステップ2:思考のクセを確認する

自分が今、どんな思考パターンに陥っているかを確認します。「これは白黒思考かもしれない」「過度の一般化をしているな」など、冷静に観察します。

🍽️ ステップ3:セルフコーチングの質問を投げかける

「この状況から得られる学びは?」「もし親友が同じ状況なら、どう助言する?」「この考えは100%正しい?」など、自分に質問を投げかけます。

📚 ステップ4:解決策・改善策をピックアップ

質問によって生まれた新しい視点から、「次に何ができるか」を考えます。複数のアイデアを出し、「どれなら無理なく取り組めそうか」を選びます。

👨‍👩‍👧‍👦 ステップ5:アクションに落とし込む

「今日からできる小さな一歩は何か?」と考え、具体的な行動計画を立てます。「明日の会議では、不安より前に、自分のアイデアをひとつは発言しよう」など、明確な目標を設定します。

日常にセルフコーチングを取り入れるためのヒント

短時間でもOK
セルフコーチングは長時間かける必要はありません。通勤時や就寝前のたった3分でも、効果があります。私は出勤前のコーヒータイムに、その日の目標とセルフコーチングの質問を1つだけ考える習慣にしています。

習慣化のコツ
スマホのリマインダーやカレンダーに「セルフコーチングタイム」を設定しておくと忘れにくくなります。また、「歯磨きをしながら思考のクセをチェックする」など、既存の習慣と紐づけると続けやすいですよ。

客観化ツールの活用
専用のノートやアプリを用意すると、振り返りやすくなります。私は小さなノートを持ち歩き、思考のクセを感じたときにすぐメモするようにしています。

小さなノートにメモしている手元

セルフコーチングで心のゆとりを取り戻す

思考のクセを放置すると、ストレスが増幅される悪循環に陥りやすくなります。一方で、客観視のトレーニングとセルフコーチングによって、「自分を過度に責める習慣」や「極端な先読み不安」が減り、心にゆとりが生まれることを、私自身が実感しています。

まずは「どんな思考のクセがあるか?」を自覚し、セルフコーチングの質問を日常に取り入れてみることから始めましょう。最初は「これって本当?」「別の見方はある?」といったシンプルな質問からで大丈夫。小さな変化の積み重ねが、やがて大きな変化につながります。

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私たちの思考は、気づかないうちに「クセ」に支配されがち。だからこそ、意識的に「客観視」と「質問」を組み合わせるセルフコーチングが、心のゆとりを取り戻す鍵になります。「思考のクセ」を変えたいと思ったら、まずは「今日から3分だけ試してみる」という小さな一歩を踏み出してみてくださいね。その一歩が、あなたの可能性を広げるきっかけになるはずです。

【ライタープロフィール】
大谷佳乃

「なぜ?」という疑問を大切に、日常に潜む人とモノとの関係性を独自の視点で読み解くライター。現在は、私たちが何かを選ぶときに働く「見えない力」に注目し、そのメカニズムを探求中。休日は、古書店で先人たちの知恵に触れるのが、自分にとっての「特別な時間」。

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