いつも前向きに見える人がいます。一方で、なんだか消耗している人もいます。ひょっとしたら、あなたもそんな「疲れている側」の人かもしれません。
その差はどこから生まれてくるのでしょう。今回は「セルフコンパッション」という概念を軸に、その「差」について考えてみます。
コンパッションとは、「思いやり」という意味。セルフコンパッションは直訳するなら、「自分への思いやり」と言える考え方です。*1
それでは早速、見てみましょう。
「頑張っているのに消耗する人」と「そうでない人」の違いとは
仕事をしていると、よく「自責」という言葉を耳にします。
すべては自分の責任の範囲。やり方を工夫できたのでは。人のせい、環境のせいにしてはいけない……それは「正論」かもしれませんが、これが行きすぎると、過度に自分を追い詰めることになります。
それでは疲れてしまっても不思議ではありません。
——こんな場面を想像してみましょう。あなたに親しい友人がいるとします。その人がひどく落ち込んでいる。そんな場面です。
その時にあなたは「それは甘えだよね」とか「もっとやれることがあるんじゃないの」なんて言うでしょうか。

言わないと思います。ねぎらいや慰めが先に来る。それが普通だと思います。
でも、自分のこととなるとどうでしょうか。消耗しがちな人は(あなたもそうかもしれません)、自分自身に対しては厳しい評価をしている、ということもあるそうです。
その「過度な自責」のようなものからは、少し距離を置いてもいいのかもしれません。その鍵になるのが、今回のテーマ「セルフコンパッション」。自分にもう少し優しくしてあげる。そんな「自分との接し方」です。
自分への3つの「過度な厳しさ」を手放すところから初めてみませんか?
手放すこと1 自分を責める思考
「自分を追い詰めずに思いやることが、その人の"強さ" を生む」
こう語るのは、セルフコンパッション研究の第一人者である、中央大学の富田拓郎氏。*2
人生における困難な出来事に直面したとき、セルフコンパッションの程度が高い人ほど上手く対処できる、とも言っています。*2
「自分への思いやり」なんて甘えなのでは、と思うかもしれませんが、とてもつらいときの慰めや励ましまで、甘えと切り捨ててしまえば、休まる場所もないのは当然と言えば当然です。

自分を責める声が、自分から聞こえてきたら、過度に責めてしまう前に「事実」に置き換えて言い換えてみましょう。
事実に置き換えて、自分に語りかける
- 「なんでミスしたんだろう、私はダメだ」→「ミスをして、今はつらい気持ちなんだね」
- 「自分がもっと頑張れば」→「いま、精一杯やっている自分を、まず認めよう」
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手放すこと2 完璧を求める前提
完璧主義の人は、自分は完璧主義だと気づいていないかもしれません。
ちょっと診断してみましょう。これらに心当たりはありませんか?
- ちゃんと仕上げなければならないというプレッシャーが大きすぎるあまり、作業に取りかかること自体に強い負担を感じ、結果的に先延ばしにしてしまう
- 一度のミスを何日も引きずってしまう
- 0か100かで考えがち
- どんなに成果を収めても「まだ足りない」と思う
- 「〜すべき」というマイルールが多い
これらに心当たりがあれば、あなたは完璧主義の傾向があるかもしれません。
「完璧主義に陥ると、たった一度の失敗を引きずり、立ち直ることが難しくなる」と指摘するのは、時間管理コーチのエリザベス・グレース・サンダーズ氏。

さらに「自分の欠点や弱さを認め、自分自身を思いやることで、再び前進できる」とも述べています。*3
完璧を目指すことをすべてやめる必要はありませんが、自分への語りかけを変えることもまた、必要なことなのです。
弱さをみとめ、自分を思いやる
- 「完璧じゃないと提出できない」→「不安になるくらい、真剣に向き合ってきた」
- 「これしかできなかった」→「ここまでやってきた自分を、労ってあげよう」
- 「ミスをしてしまった」→「誰だって、失敗するときはある」
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手放すこと3 休むことへの罪悪感
「日本社会では、働き続けることが美徳とされ、休むことにネガティブな感情を抱きがち」。
そう分析するのは、スタンフォード大学認定コンパッションアンバサダーの鈴木亜佐子氏。*4
そんな社会では、「休むこと=怠けること」という認識が広く共有されます。結果として、働きすぎという状況が生まれてしまいます。*4
この「働き過ぎ」を「セルフコンパッション」すなわち、自分への思いやりの観点で見てみるとどうでしょう。

疲れ切った親友に、もっと頑張れと声かけをしますか? 少し休もう。ゆっくり休んでね。といたわるのが一般的なのではないでしょうか。それと同様、疲れたときは自分にも、もっとやすんでいい、と声かけをしてみてもいいのでは。
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自分への接し方が変われば消耗が減り、前に進むための余裕をつくれます。まずは自分に優しく語りかけることから始めてみませんか?
よくある質問(FAQ)
Q. そもそも、セルフコンパッションとは何ですか?
A. 直訳すると「自分への思いやり」です。大切な友人が落ち込んでいるときにかけるような優しい言葉を、自分自身にもかける態度を指します。
Q. セルフコンパッションは甘えではないですか?
A. いいえ。自分を甘やかすこととは異なります。自分の弱さや失敗を認めたうえで、そこから前進し続けるための考え方です。
Q. 3つのうち、どれから始めればいいですか?
A. どれか1つだけでも充分です。まずは一番取り組みやすいと感じるものから始めてみてください。
*1: 日経BP|ビジネスパーソンに効く「セルフ・コンパッション」とは何か?
*2: STUDY HACKER|困難に弱い人には “この態度” が欠けている。自分を追い詰めないことが「強さ」を生む
*3: DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー|セルフコンパッションの実践が目標達成の近道となる 完璧主義を手放すための4つの戦略
*4: ダイヤモンド・オンライン|「マジで退職5秒前」な社員が転職を思いとどまった同僚たちの神対応
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。