若手社員が職場で感じる不安やプレッシャーは、誰しもが経験するものです。
特に、上司に信頼されているかどうかは、多くの若手社員が気にかける重要な要素です。「上司と部下の関係性」に関する調査結果でも、61.1%の社員が「上司からの理解が仕事のパフォーマンスによい影響がある」と答えています。*1
この記事では、上司から信頼されるための具体的な方法について解説し、信頼関係がどれほどキャリアにポジティブな影響を与えるかを示していきます。
1. 自己評価を適切に行う
上司から信頼を得ることは、評価や昇進、さらには自分の意見が社内でどれだけ影響力をもつかにも直結します。
信頼されていない若手社員は、チームリーダーなどのポジションへの推薦が遅れる傾向にあります。リーダーシップは信頼を前提としており、上司が「この人になら任せられる」と感じなければ、いくらスキルがあってもその機会が与えられません。
自分がどれだけの成果を上げているかを示すことは、信頼を得る大きなポイントです。特に若手社員の場合、努力が可視化されないことが多いため、成果を報告するときに数字や具体的な成果を示すことが有効です。
しかし、「自分は上司から信頼されていないのでは……」という不安は、自分の思い込みである可能性もあります。これはいわゆるインポスター症候群と呼ばれるもので、自分の成功や能力を過小評価し、「自分にはそのような能力はない、評価されるに値しない」と感じる心理状態を指します。*2
この症候群を克服するためには、自己評価を適切に行うことが必要です。たとえば、過去の成功体験や上司からのフィードバックを思い出し、自分の強みや成果に目を向けることで、少しずつ自己肯定感を高められます。
また、会議などでは意識的に発言回数を増やすことが効果的です。たとえ小さな意見や質問でも、声を上げることで自分の存在感を示し、上司に対して積極性をアピールすることができます。発言回数を増やすことで、自己認識が変わり、他者からの評価も自然と向上するのです。
思い込みを捨ててインポスター症候群を乗り越えることは、自他ともに「信頼されている若手」になるための第一歩と言えるでしょう。
2. 報告の品質を上げる
上司から信頼されるための重要なポイントの一つに、「報告の品質」があります。報告が明確であることは、上司にとって時間を節約し、意思決定をスムーズにする重要な要素です。効果的な報告方法としては、「結論→理由→詳細」という構造化されたアプローチが推奨されます。
たとえば、プロジェクトの進捗を報告する場合、まず最初に結論を述べ、その後にその結論に至る理由を簡潔に説明し、最後に詳細な説明を加えることで、上司は全体像を理解しやすくなります。
ではまず、結論から述べていない例を見てみましょう。
プロジェクトの進捗をご報告します。
まず、今週はフロントエンドとバックエンドの統合作業を進めていて、ほとんどの機能は無事に統合されました。
いくつかのバグが見つかりましたが、デベロッパーがすでに修正に取り掛かっています。バグの修正が完了次第、パフォーマンステストを始める予定です。
テストが終われば、最終的な確認を行い、予定通りリリースできると思います。
次に、結論から述べている例です。
プロジェクトの進捗をご報告します。
【結論】結論から申し上げますと、予定通りにリリース日を迎えることができる見通しです。
【理由】残りの作業はバグ修正と最終テストのみで、リリースまでにすべて対応できると判断しています。
【詳細】今週はフロントエンドとバックエンドの統合作業を進めていて、ほとんどの機能は無事に統合されました。いくつかのバグが見つかりましたが、バグはデベロッパーがすでに修正に取り掛かっています。バグの修正が完了次第、パフォーマンステストを始める予定です。
結論から述べたほうがわかりやすく、論点がすぐに伝わりやすいことがおわかりいただけたと思います。
結論から先に言わなければ、聞き手としても「なんの相談かな?」と考えながら最後まで話を聞く必要があるので、不安に感じそうです。
わかりやすい報告を心がけ、信頼を勝ち取りましょう。
3. 適度な距離感で接する
上司との信頼関係を築くためには、「適度な距離感」が重要です。過度に親しい関係になることは逆効果になりかねませんが、完全にビジネスライクな関係では人間味が欠けることもあります。仕事に関連した話題だけでなく、プライベートな内容についても適度に話すことが大切です。
たとえば、日常的な話題や趣味の話を取り入れることで、上司もリラックスした状態で会話に参加しやすくなります。
話題の内容は、たとえば「最近の週末はどう過ごされましたか?」といった日常の質問や、上司の趣味について聞くといいでしょう。こうしたプライベートな会話は、上司との距離を縮め、ビジネスの場面でも信頼を強める効果があります。
また、共通の趣味や経験がある場合、より深い対話に発展することも多く、上司の人間性を理解することが信頼構築につながります。
さらに、上司とは「 7:3で会話する」ことをおすすめします。
相手の話す時間が7割で、自分の話す時間が3割。これがもっともいいバランスだという研究結果があります。*3
相手の話をよく聞き、適度に自分の話題も提供することでバランスをとれるわけです 。
このように、プライベートな話題を適度に取り入れ上司の話を聞くことで、仕事上のコミュニケーションも円滑になり、信頼感が高まるでしょう。
4. 失敗を信頼獲得の武器に変える
信頼を築くうえで避けられないのが「失敗」です。失敗は誰にでもありますが、その後の対応によって信頼を築くこともできます。失敗を報告するときには、単に問題点を述べるだけでなく、解決策を提案することが信頼獲得のポイントです。
たとえば、プロジェクトの遅延を報告する場面を考えてみます。「なぜ遅れたのか」という説明とともに、「この失敗を回避するためにどうするべきだったか」を提案することで、主導権を持って問題解決に向かう姿勢を示すことができます。
また、失敗を成長の機会としてとらえ、オープンなコミュニケーションを心がけることで上司との信頼関係を強固にすることができます。パフォーマンスの高いチームでは、失敗を恐れずに共有し、学びの機会として活用する文化が根づいていることが知られています。失敗を隠さないオープンなコミュニケーションを心がけ、上司の信頼を掴みましょう。
***
□ 思い込みを捨て、自己評価を適切に行う
□ 「結論→理由→詳細」という構造化されたアプローチで報告の質を上げる
□ 上司とは「 7:3で会話する」
□ 失敗を報告するときには解決策を提案する
ぜひこの記事を参考にして、上司からの信頼を勝ち取ってください。
※引用部分の太字は編集部が施した
*1 HRzine|「上司と部下の関係性」に関する調査結果を発表、約6割の社員が上司の理解が仕事のパフォーマンスに影響すると回答―カオナビ
*2 HRPro|インポスター症候群
*3 ZUU online|三流は、自分が7割話し、二流は、相手と半分ぐらいの割合で話し、一流は、どれくらい話す?
髙橋瞳
大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。