「ビンゴ」と「ログ」で学びを加速! 独学の不安と非効率を解消する、すごいノート術

「習得ビンゴ」の達成したマスに丸をつけ、進捗を可視化した例

「プログラミングができるようになりたい」「イラストが上手くなりたい」。独学でなにかを身につけようとするとき、やるべきことが多すぎて、どの道筋をたどれば「できるようになる」というゴールに近づけるのか、見えなくなってしまうことがあります。

毎日なにかしら手を動かしているつもりでも、ふと「本当にこれでできるようになるのかな」と不安がよぎる。進んでいる手応えがないまま、焦りだけが積もっていく。そんな心当たりがあるかもしれません。

そんな焦りを解きほぐしてくれるのが、『習得ビンゴ』と『練習ログ』というノート術です。ゴールまでの道筋を見えるかたちにして、試行錯誤の記録を積み上げていく。それだけで、「着実にできるようになっている」という手応えを得ながら、独学を進めていけるようになります

『習得ビンゴ』と『練習ログ』の描き方

用意するのは、見開きで使えるノート1冊だけ。

左ページには「習得ビンゴ」としてゴールまでの道筋を描き、右ページには「練習ログ」として実際につくったものと、そこから見つかった気づきを記録していきます。

見開きノートの左ページに「習得ビンゴ」、右ページに「練習ログ」を配置した全体イメージ

「習得ビンゴ」で「現在地とゴールまでの道筋」を、「練習ログ」で「実際に何ができるようになったか」を確認する。このふたつを行き来することで、「ひとつひとつ技術を習得しながら、ゴールに向かって進んでいる」と実感することができるのです。

それぞれのページの描き方を紹介します。

左ページ 「習得ビンゴ」の描き方

✏️ 描き方

1. ノートの左ページに、3×3、9マスのグリッドを描きます。

2. 中心のマスに「できるようになりたいこと」、まわりの8マスに、そのために必要な要素を書き込みます。

この9マスが、あなたにとっての「ゴールまでの道筋」そのものになります

3×3の9マスで描いた「習得ビンゴ」の例。中央に「できるようになりたいこと」、まわりの8マスに必要な要素を書き込む

もし必要な要素が8つ以上思いつく場合も、似たものをまとめるなどして8つに収めましょう。

8つに収める理由は、選択肢の数そのものが行動のしやすさに影響するという知見にあります。

行動経済学・心理学の実験では、選択肢が多すぎるとかえって人は決断や行動を先延ばしにしやすくなることが報告されており、この現象は「選択過多」と呼ばれます。*1

要素の数を絞ることで、作業をするときに「何をすればいいのか」と迷うことがなくなり、すぐ行動できるようになるのです。

✨ こんな効果がある!

✓ できるようになるためにやるべきことが一目でわかるため、迷わず進められる

これは、選択肢を絞ることが行動のしやすさにつながるという、前述の知見にもとづいています。*1

✓ ビンゴのように「マスを揃えたい」という気持ちが働き、自然とやる気が出る

マーケティングや消費者行動の研究では、目標に近づくほど人はより多くの努力を注ぎ込みやすくなることが報告されており、これは「目標勾配効果」と呼ばれます。*2

右ページ 「練習ログ」の描き方

✏️ 描き方

1. ビンゴのなかから「いまいちばんやりたい」と思うマスをひとつ選ぶ

2. そのマスの内容を含む、小さな作品をひとつつくる(ポイントは、できるだけ短時間で完成できる規模にすること)

3. 「作品」「できるようになったこと」「もっとこうしたらいいのではと感じたこと」を記録する

4. 3で見つかった課題を含む、次の作品をつくる

5. ふたたび記録する

3と4は、ひとつのマスにつき「多くても3回」を目安に繰り返しましょう。

試行錯誤の数が多すぎると、なかなか前に進めず停滞してしまうからです。

「練習ログ」の記入例。つくった作品、できるようになったこと、次に改善したい気づきを記録する

✨ こんな効果がある!

✓ 実際に手を動かしてつくった「完成品」が記録として残るので、「進んでいる」という手応えが積み上がる

ハーバード・ビジネス・スクールの研究では、日々の仕事に対する前向きな意欲にもっとも強く影響するのは、たとえ小さくても「意味のある前進」を実感できることだと報告されています。この現象は「プログレス・プリンシプル」と呼ばれます。*3

✓ 気づいた課題をすぐ次の作品に反映できるので、すばやく技術習得できる

教育心理学の分野では、フィードバックが学習の成果にもっとも強い影響を与える要因のひとつであることが、多数の研究をまとめたレビューで示されています。*4

最後に、「習得ビンゴ」のなかの選んだマスに丸をつけたら、その項目は完了です。

8マス中1マス、「できるようになりたい」という目標に近づけたことになります。

「習得ビンゴ」の達成したマスに丸をつけ、進捗を可視化した例

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「習得ビンゴ」と「練習ログ」は、語学や楽器、ビジネススキルなど、どんな分野の独学にも応用できる汎用的な方法です。ノートとペンさえあれば、今日からでも始められます。

まずはビンゴの中央に、あなたが「できるようになりたいこと」を書き込むところからはじめてみませんか。

やりたいことに向かって頑張る女性

よくある質問

Q. ビンゴの8マスがうまく思いつきません。どうすればいいですか?
最初から完璧な道筋を描く必要はありません。まずは入門書の目次やネット記事のカテゴリーを参考に仮のマスを埋めてみて、作品をつくるなかで随時書き足していくことをおすすめします。道筋は、歩きながら精度を上げていけば十分です。
Q. 1つのマスにつき、何回くらい作品をつくればいいですか?
目安は「多くても3回」です。同じマスに書いてある課題を含む小さな作品を、3回を上限に繰り返しつくってみましょう。途中で「もう気にならない」と感じたら、3回に満たなくても丸をつけて次のマスに進んでかまいません。
Q. 複数の気づきを一気に直したくなってしまいます。
その気持ち自体は成長意欲の表れです。ただし一度に扱う気づきをひとつにしぼるほうが、局所的な達成感を得やすく、結果的に上達のスピードも安定しやすくなります。ほかに気になった点はメモだけ残しておき、次の作品づくりで順番に取り組んでいきましょう。
Q. 1枚のビンゴが埋まったら、そのあとはどうすればいいですか?
ひとつのビンゴをクリアしても、実際に手を動かすなかで新しくやるべき課題が見つかることはよくあります。そのときは、あらためて新しい9マスの「習得ビンゴ」をつくりましょう。クリアしたビンゴはノートに残しておき、新しいビンゴをつくって埋めて、また新しいビンゴをつくって……と繰り返していくと、手元に完了したビンゴが少しずつ増えていきます。この積み重なっていくビンゴの枚数こそが、「できる」に近づいてきたたしかな証になります。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。