“続ける力”がある人は、途中でサボるのがうまい。

力配分を意識して余裕をもって仕事に取り組むイメージ

「常に全力」「力の抜き方がわからない」――このような働き方を続けていると、知らず知らずのうちに自分を追い込んでしまいます。
そんな状態を続けていれば、いつか張り詰めた糸がぷつんと切れてしまうかも……。

これは根性や気合いの問題ではなく、力の配分設計の問題です。

  • 成果を出し続けている
  • 挑戦し続けている
  • 勉強が習慣化されている

こうした人たちは、例外なく上手にサボっています
無理をしないからこそ継続できているのです。

どういうことなのか、順を追って見ていきましょう。

「サボるのがうまい人」とは、「力配分がうまい人」のことだ

サボるのが苦手な人とそうでない人にはどのような違いがあるのでしょうか。

サボるのが苦手な人

  • 常に全力で取り組もうとする

  • 完璧主義で妥協できない

  • 自分に厳しく、力を抜くことに罪悪感がある

このタイプは短期的には成果を出しやすいものの、消耗しきってしまい、途中で頑張れなくなることが少なくありません。

サボるのがうまい人

  • 余力を残しながら取り組む(サボるポイントを押さえている)

  • 状況によって完成度を変える

  • 自分に厳しくするときと、甘くするときを意識的に使い分けている

彼らは決して怠けているわけではありません。
長く続けるために、力を出しきらない設計をしているのです。
自らを追い込みすぎず、エネルギー切れを防ぎます。

たとえば繁忙期が続いたとき、サボるのが苦手な人は「ここが踏ん張りどころだ」と、さらにアクセルを踏み込むでしょう。

ですが、サボるのがうまい人は「ここは最低限で乗りきろう」と考えます。

1日単位で見れば、前者のほうが頑張っているように見えるかもしれません。
しかし1か月後、3か月後に残っているエネルギー量は後者のほうが多いのです。

人の集中力・意志力・体力は有限。
この前提を無視して毎回フルスロットルで働けば、途中でガス欠になるのは当然です。

タスクに追われて疲弊するビジネスパーソン

60点思考で「続ける力」がつく

続けられる人は、根性に頼りません。
長く走り続けるために、途中で意図的にサボります

常に100点を目指す姿勢は立派ですが、1点でも届かなかった瞬間に「完璧にできなかった」と自己否定が始まり、継続は一気に苦しくなるでしょう。
計画がほんの少し崩れただけで、すべてが台無しになった気がしてしまうからです。

精神科医の井上智介氏は「いつも100点満点を出し続けることなんて誰にもできない」としたうえで、「自分の合格ラインは60点にしておきましょう」とすすめます。*1

たとえば、次のような考え方です。

100点思考

60点思考

今日のタスクすべてをなにがなんでも終わらせる

MUST業務とWANT業務に分け、MUST業務を終わらせるのを目標にする

テキストの隅々まで内容を理解する

まずはポイントだけ押さえられればOKとする

毎日早起きして朝活をする

昨日より1分でも早く起きられたら合格とする

合格ラインを下げることは甘えではなく、続けていくための安全装置です。

100点を目指した結果挫折して動けなくなってしまうよりも、60点を積み重ねて着実に進んでいったほうが、長く成果を出し続けられます。

適度に休憩を取りながら仕事を進めるビジネスパーソン

「ECRS(イクルス)の原則」で上手にサボる

ここで重要なのは、「どうやってサボるか」です。
ただ手を抜くだけでは成果が落ちてしまいます。
成果を出しながら続けられる人は、サボり方を心得ているのです。

彼らがサボるのは、「やらなくても結果に影響しない部分」や「まとめられる作業」。
一方で、本当に価値を生むところにはしっかり力を使います。
この切り分けができているから、余計な消耗を防ぎながらも成果が落ちません。

その具体策として『トヨタで学んだハイブリッド仕事術』(青春出版社)著者の森琢也氏がすすめるのは、「ECRS(イクルス)の原則」というフレームワーク。
無駄を排除し業務改善を目指すフレームワークです。*2

ECRS

内容・例

Eliminate=なくす

無駄な会議をなくす/読まれない資料作成をやめる/委託する

Combine=まとめる

会議を統合する/メール返信時間をまとめる

Rearrange=順序替え

並行作業で待ち時間を削減する

Simplify=簡素化

テンプレートを活用する/会議中に議事録を完成させる

ECRSの原則は、作業効率向上だけでなく「判断回数の削減」にもつなげられます。
判断回数の削減は、決断疲れの予防にもなるでしょう。

このようにして、省エネで成果を上げる仕組み=長く走り続けるための戦略をつくっているのです。

うまくサボって力を抜く方法を知っている人ほど、結果的に安定して成果を積み重ねていけます。

余裕をもって成果を出すチームの様子

***

続ける力がある人は、決してストイック一辺倒ではありません。
途中でサボることを前提に、自分を賢く運用しています。

「続ける力がある人は、途中でサボるのがうまい」――この視点をもつだけでも、仕事や学びを続けるハードルが下がるはずです。

FAQ(よくある質問)

Q1. 「サボる」とは、手を抜くことと同じですか?
いいえ。この記事でいう「サボる」とは、成果に影響しない部分で力を抜き、本当に重要なところに集中するための力配分を指します。

Q2. 60点思考にすると、成果の質が下がりませんか?
短期的には完璧を目指すより見劣りする場合もあります。
しかし長期的には挫折せずに続けられるため、結果として安定した成果につながります。

Q3. 真面目な性格でも、上手にサボれるようになりますか?
可能です。
性格の問題ではなく、「どこで力を抜くか」をあらかじめ決めておく設計の問題だからです。

Q4. 忙しい時期ほどサボるのは不安です。
忙しい時期こそ、最低限やることを見極めることが重要です。
すべてに全力を出すより、エネルギー切れを防げます。

Q5. ECRSの原則は仕事以外にも使えますか?
はい。勉強や家事、習慣化など、判断や作業が多い場面で幅広く活用できます。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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