子どもは寝るのが仕事。いいえ、大人の仕事こそ『寝ること』です

眠っている女性と目覚まし時計

「子どもは寝るのが仕事よ」

子どもの頃、親によく言われました。夜更かししたい、もっと遊びたい――そう思っても、「早く寝なさい。寝るのが仕事でしょ」と布団に入れられたものです。

あの頃は意味がわかりませんでした。でもいまならわかります。親は、子どもの成長を願って、そう言っていたのです。

大人になって、この言葉を思い出すことがあります。朝5時起きで朝活。昼休みはスキルアップ講座。仕事が終わったら副業。週末はセミナーと人脈づくり――。「成功したい」「もっと成長したい」と思って、睡眠時間を削ってでも頑張る。それが大人の責任だと思っていました。

でも、疲れがとれない。集中力が続かない。大事な場面で判断を誤る。そして、思うような成果が出ない。

「子どもは寝るのが仕事」――じつは、この言葉は大人にこそ当てはまるのではないでしょうか。いいえ、正確にはこう言うべきです。大人の仕事こそ「寝ること」です。

なぜなら――子どもは寝ることで身体が成長し、大人は寝ることでキャリアが成長するから。

子どもと大人、それぞれの「成長」

なぜ親は「寝るのが仕事」と言うのでしょうか。それは、睡眠が成長に不可欠だからです。

子どもが寝ている間に、成長ホルモンが分泌され、身長が伸びます。脳が発達し、記憶が定着します。免疫システムが強化され、心が安定し、情緒が育ちます。子どもは、寝ることで身体が成長します。

では、大人は? 大人の身体は、もう成長しません。身長も伸びません。

でも、大人には成長すべきものがあります。それが、キャリアです。より良い判断を下せるようになる。困難な問題を解決できるようになる。長期戦を戦い抜けるようになる。より大きな責任を担えるようになる――これが大人の成長です。

そして、キャリアを成長させるために必要なのが、持久力です。午後3時の会議で判断力を維持する持久力。繁忙期を乗り切る持久力。何年も走り続ける持久力。この持久力を育てるのが、睡眠なのです。

 

子どもは寝ることで身体が成長し、大人は寝ることでキャリアが成長する。

だから、大人の仕事も「寝ること」なのです。

子供が寝ている画像と大人が寝ている画像

成功者ほど「寝ること」を仕事にしている

「寝る時間があったら働け」「睡眠時間を削ってでも頑張れ」――そんな時代もありました。でも、いまは違います。トップアスリートも、経営者も、成功者ほどよく寝ています。

大谷翔平選手
メジャーリーグで二刀流として活躍する大谷選手は、睡眠を非常に重視しています。1日10時間以上寝ることもあると報道されており、「睡眠は最も大事なトレーニング」と語っています。*1 世界最高レベルのパフォーマンスを発揮し続けるために、睡眠を妥協しない。それが大谷選手のプロフェッショナリズムです。

ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)
アマゾン創業者でCEOのベゾス氏は、毎晩8時間睡眠を確保しています。なぜなら、そうすることで「1日に3つのよい決断ができる」から。疲れて不機嫌な状態では、その基盤をつくることはできないと語ります。*2 世界を代表する経営者が、睡眠を最優先にしている理由――それは、睡眠こそが最高のパフォーマンスを生むと知っているからです。

レブロン・ジェームズ(NBA選手)
バスケットボール界のレジェンドは、ホテルの温度を20℃前後に保ち、就寝の30〜45分前には、電子機器をすべてオフ。 「最も重要なのは最適なREM睡眠だ」と語っています。第一線で活躍し続ける秘訣は、徹底した睡眠管理にあるのです。*3

 
 
 

共通するのは、睡眠を「削るもの」ではなく「投資するもの」として捉えていること。寝ることは、サボりではありません。むしろ、成功するための最も重要な仕事なのです。

科学が証明する睡眠と持久力の関係

「寝るだけで本当に効果があるの?」そう思うかもしれません。でも、科学が証明しています。

研究1|睡眠延長で持久力が向上
スタンフォード大学の研究では、バスケットボール部に所属する学生に普段より約2時間多く睡眠をとらせたところ、スプリントタイムが改善し、シュート精度が9%向上しました。また、身体的・精神的な調子も良好になったと報告されています。*4 たった2時間多く寝ただけで、パフォーマンスが劇的に向上したのです。

研究2|睡眠不足は持久力を奪う
睡眠不足の状態では、同じ運動をしても疲労の感じ方が強くなります。主観的な疲労感が増大し、「もう無理」と感じるタイミングが早く来るのです。*5 つまり、睡眠不足では物理的な体力以前に、精神的な持久力が削られてしまうのです。

研究3|判断力・集中力の持続
カリフォルニア大学の研究では、睡眠時間が6時間を下回ると、認知・注意・判断力が著しく低下することが示されています。*6 午後3時の会議。夕方の重要な判断。繁忙期の連続勤務――持久力が試される場面で、睡眠不足は致命的なのです。

階段を登っている人物のモチーフ

1ヶ月間、「寝ること」を仕事にしてみた

理屈はわかった。でも本当に効果があるのか? 実際に1ヶ月間、「成功のための頑張り」を全部捨てて、睡眠を最優先してみました。

捨てたもの
朝5時起きの朝活、通勤中のビジネス書(寝てもいいことにした)、夜の自己啓発セミナー、人脈づくりの飲み会、副業の作業時間(深夜→週末のみ)

代わりにしたこと
23時就寝、7時起床を厳守。7〜8時間睡眠を確保。「寝るのが仕事」と自分に言い聞かせる。

1週間後
朝の目覚めが明らかによくなった。スッキリ起きられる。

感想
「何もしていない」罪悪感があった。でも「子どもが寝ることで成長するように、私も寝ることでキャリアが成長する」と思うと、むしろ義務を果たしている感覚。午前中の集中力が全然違う。

2週間後
午後3時を過ぎても、頭が働く。以前は午後になると思考が鈍って、「あとで考えよう」と先延ばしにしていた。今は夕方でも判断できる。

感想
繁忙期に入ったが、例年より楽に感じる。周りが「疲れた」と言っているなか、自分はまだ余力がある。これが持久力か。大谷選手が10時間寝る理由がわかった気がする。

1ヶ月後
明らかに仕事の成果が出始めた。急いで判断してミスをすることが減った。上司から「最近、調子いいね」と言われた。そして何より、「成功のために頑張らなきゃ」という焦りが消えた。睡眠を取ることで、心に余裕ができた。その余裕が、さらに良い判断を生んでいる。

感想
自己啓発本を読み漁っていたときより、いまのほうが明らかに成果が出ている。「寝ること」が仕事だと気づいてから、キャリアが成長し始めた。子どもと同じだった。

起床して両手を挙げている女性

今日から「寝ること」を仕事にする

1. 睡眠時間を7〜8時間確保する
まず、逆算して就寝時間を決めましょう。7時起きなら23時就寝、6時起きなら22時就寝。これを守るために、ほかを調整します。

2. 「捨てる」リストをつくる
睡眠時間を確保するために、何を捨てるか決めます。深夜の副業作業、朝5時起きの朝活(無理な早起き)、平日夜のセミナー・飲み会(緊急性低いもの)、寝る前のスマホ(これが一番重要)、「頑張らなきゃ」という強迫観念。

3. 「寝るのが仕事」と言い聞かせる
罪悪感を感じたら、こう思い出してください。「子どもは寝ることで身体が成長する。私は寝ることでキャリアが成長する」と。寝ることは、サボりではありません。むしろ、最も重要な仕事なのです。大谷翔平選手も、ジェフ・ベゾスも、よく寝ています。彼らは「寝ること」を仕事だと知っているから。

大人の仕事は、寝ること

「子どもは寝るのが仕事よ」――親がこう言ったのは、睡眠が成長に不可欠だからです。

子どもは寝ることで、身体が成長します。大人は寝ることで、キャリアが成長します。持久力がつき、判断力が維持され、長期戦を戦い抜ける。結果的に、成功に近づく。

だから、大人の仕事こそ、寝ることなのです。

 

大人の3つの仕事

頑張りすぎを捨てる

睡眠を最優先にする

7〜8時間寝る

***
自己啓発本もスキルアップも人脈づくりも、大切かもしれません。でも、睡眠不足のまま全部やっても意味がない。

大谷翔平選手は、10時間寝ます。ジェフ・ベゾスは、8時間寝ます。彼らは知っています。寝ることが、最も重要な仕事だと。

あなたも今日から、「寝ること」を仕事にしてみませんか?

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

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