今日からなれる「雑談上手」。"雑談のうまさ"と "話のうまさ" は関係ない

給湯室ですれ違う同僚

エレベーターで上司と二人っきり。給湯室で、ほとんど話したことのない別部署の人と目が合う。何か言わなきゃ、と思いつつ話題を探すものの、何も浮かばず時間が過ぎて……出てきた言葉は「お疲れ様です」だけ。

気まずい時間ですよね。書いているだけで据わりが悪くなってきました。

雑談の本を読んで話題をストックしてみても、そうそうぱっと出てくるものでもなく、面白い話ができる人をみるにつけ「自分には引き出しがないなあ」とちょっと反省してみたりもするものです。

でも実は、雑談を「話題の量で決まるもの」だとか、「面白い話を披露する場」だと捉えているから、疲れてしまうだけなのかもしれません。

今日は、そんな「雑談力」について考えてみましょう。

雑談が大事とされるのにはちゃんと根拠がある

雑談についてのおもしろい研究があります。

通勤電車やバスの乗客に、見知らぬ隣の乗客と話をしてもらう実験。(へんな実験ですね。時々こういう実験があります)

多くの人の事前予想は「一人で過ごす方が快適だろう」というものでした。しかし、結果は実際に話した人たちのほうが、より通勤が楽しかったと答えたそうです。*1

他の研究では、「顔見知り」程度の相手との短いやりとりが多かった日ほど、幸福感や所属感が高まるということも示唆されています。*2

雑談は気分も良くなるし、関係性にも効くということが言えそうです。

ただ、だからこそですよね。だからこそ、雑談が効くからこそ、できないことに焦ってしまうわけです。むしろ、そんなことを聞かされると余計気負いが生まれるというものです……。

窓の外を見つめる女性

苦手な人は雑談を「試験」にしてしまっている

そもそも、「ああ、今日のエレベーターで上司とうまく話せていればなあ」というのは、自分の雑談への採点です。あの間は変だったとか、ちょっと何か話せた日でも「あの話題はおもしろくなかったな」とか。

でもその採点には実は「基準」なんてありません。もちろん明確な根拠もない。

ここでまた研究のお話。

初対面の二人に会話をしてもらいます。そのあと、相手が自分をどれくらい好ましく思ったかを推定させました。すると、大抵のひとは相手からの好意を実際より低く見積もるということがわかったそうです。*3

あなたの「つまらないと思われた」という感覚も、実は自分の辛口評価に過ぎない、ということが言えるのかもしれません。

実際に雑談に求められているのは「面白い話をする」というような難しいものではなく、せいぜい「あなたに敵意はないよ」とか「あなたのことを知ってるよ」程度のサイン。挨拶に一言足す程度で事足ります。

消耗感の答えは「考えすぎ」というと、身も蓋もない気がしますが、要は「身構えすぎ」で「採点が厳しすぎ」に集約されそうです。

【自己診断】あなたの雑談は「試験型」? 「信号型」?

さらに、雑談の捉え方によって消耗しやすさは分類されています。

あなたはどちらでしょう。消耗しやすい方のチェックが多いなら、ちょっと楽に考えてもいいのかもしれません。

試験型(消耗しやすい)

  • 面白いことを言わなければ、と会話の前に身構える
  • 沈黙が数秒続くと失敗した気持ちになる
  • 会話のあと、自分の発言を採点して落ち込む
  • 話題を事前にストックしているのに、本番で出てこない
  • 雑談がうまい人を「話が面白い人」だと思っている

信号型(消耗しにくい)

  • 雑談は「挨拶に一言足す時間」だと思っている
  • 内容より、相手の話にひとこと反応することを大事にしている
  • 沈黙が続いても、自然な間だと感じている
  • 短く切り上げることに罪悪感がない
  • 雑談がうまい人を「質問がうまい人」だと知っている

試験型に多く当てはまった人。「話題を増やす」みたいな難しいことは不要ですよ。まずは合格ラインを「面白かったか」から「感じよく終われたか」に下げるところから始めてみてください。

通りすがりに微笑む女性

内向型のための省エネ雑談テンプレ3つ

1.観察+ひとこと

目に入ったものに感想を一つ足します。「その資料、もう刷り上がったんですね」「今日は冷えますね」程度で足り、頭のなかから話題を探す工程がなくなります。

相手が一言返してくれれば、そこでサインの交換は終わっています。

2.質問のバトン

自分で話題を考えるときに、相手の直近の出来事に触れるだけ。「先週の出張、どうでした?」と聞けば、あとは相手が話し、こちらは相づちを打つだけです。

人は自分のことを話すのが好きですし、「出張」というトピックがあるので、バトンを渡された側が困ることはあまりありません。

3.切り上げの定型文

「じゃ、また後ほど」「続きはランチのときにでも」。終わらせ方を決めておくと、長引いたらどうしようという不安が消えるので、始めるときの腰が軽くなります。省エネの会話設計では、終わり方を先に決めておきます。

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雑談は挨拶の延長です。ちょっとだけ長めの挨拶くらいに捉えておけばいいんです。相手に感じのよさを持って帰ってもらえれば役割を果たしています。

今日どこかで誰かと二人になったら、いつもの挨拶に一言だけ足してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 雑談は無理にしなくてもいいのでは?
無理に長い会話をする必要はありません。ただ、「敵意はない」「感じよく関わっている」というサインの交換までやめてしまうと、関係の土台を作る機会が減ります。挨拶に一言足す程度で十分に役割を果たせます。
Q. リモートワークでは雑談の機会がありません。
対面でなくても、チャットの一言リアクションやスタンプが同じサインの交換になります。長い雑談を無理につくる必要はありません。
Q. 内向型は治すべきですか?
内向的な気質を変える必要はありません。気質はそのままに、消耗しにくい会話の型を持てば続けやすくなります。
Q. 相手が雑談好きで話が長いときは、どうすればいいのでしょうか?
切り上げの定型文をあらかじめ用意しておいてください。「続きはまたランチのときにでも」のように、関係を保ったまま区切る言い方があると、負担なく対応できます。

【ライタープロフィール】
橋本麻理香

大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。