adobestock_171008117

受験直前は、誰もがより多くの勉強時間を確保しようと夜遅くまで勉強してしまいがち。勉強は「量×質」が要だと言われますが、その“量”を確保するために結果的に夜更かししてしまうことには、実はたくさんの危険がひそんでいるのです。

今回は健康的な受験生活を送るために効果的な「朝活」について考えていきましょう。

夜更かしの危険性

ヒトの体内にはさまざまな種類の生理活性物質(ホルモン)が作用を及ぼし合い、そのバランスによって健康が保たれています。そのため、それらホルモンのバランスが乱れてしまうと、心身ともに大きなダメージを受けてしまいます。

そしてホルモンの中には、体内時計や睡眠の支配を受けながら決まった周期で分泌され、それにともない血中濃度が変動するものがあります。

ここでは睡眠に関わる3つのホルモンについて説明していきます。

1.成長ホルモン
まずは成長ホルモン。10代後半に分泌量のピークがあり、24時間周期および1〜3時間周期で分泌が制御されています。成長ホルモンは入眠してから90分くらいで分泌のピークがやってくるため、質の良い十分な睡眠こそが何よりも大事だと言えるでしょう。

また、このホルモンはヒトの身体の成長のみならず、糖や脂肪の代謝にも関与しています。そのため睡眠時間の乱れによる成長ホルモン分泌の低下は、低血糖や体脂肪の増加にとどまらず、低身長などのリスクを引き起こす危険性もあるのです。

2.メラトニン
次にメラトニンというホルモン。このホルモンもまた、思春期に分泌のピークを迎えます。

朝日光を浴びると分泌が抑制され、目覚めてから14〜16時間くらい経過すると体内時計からの指令が出て、再び脳内の松果体からの分泌が増加し入眠作用(睡眠の導入を容易にする)を体にもたらすため、“睡眠ホルモン”とも言われています。

起床時間が長くなってしまうと入眠作用に逆らいながら学習を続けることになるので、当然効率も悪くなるでしょう。

3.コルチゾール
最後は日内変動を示すコルチゾールというホルモン。起床時にピークを迎え、ストレスを強く感じた際にも分泌量が増加するため“ストレスホルモン”とも言われています。

このホルモンも代謝に大きく関与しており、糖代謝によってエネルギーを生み出す効率を上げることで起床時の低血糖を防ぐ働きがあると考えられています。

ある研究では、慢性的な睡眠不足はコルチゾールの分泌量に影響を与え、充分な睡眠をとれている人たちに比べると減少することが示唆されています。

夜更かしはこれらホルモンバランスの乱れを引き起こし、体内にあらゆる不都合な現象を引き起こしてしまいます。

ヒトの概日リズムによる生理機能の時間的秩序形成は、フィードバックによる恒常性の維持とともに、個体としての機能発現には欠かすことができません。そのため、この生理機能の時間的秩序が乱れる“夜更かし勉強”では、さまざまな障害が起きてしまうのです。

asakatsu-study-02

【医学部受験】昨年度全滅からの大逆転。センター9割、医学部一次10校合格を叶えた「基礎」の力
人気記事

朝活が勉強にもたらすメリット

体内のホルモンバランスの維持とは別に、実際に朝早く起きて勉強に取り組むことによってどのようなメリットがあるのでしょうか?

・そもそも試験は朝から
受験では、ほとんどの学校で朝早くから試験が始まります。本番で100%の力を発揮するためには、常日頃より朝から頭が冴えわたるようなコンディションを保つ必要がありますが、これは急に身につくようなものではありません。普段から朝型生活を実践し習慣化させてこそ身につくものなのです。

・授業が始まる前に頭がさえわたる
1限の授業が始まるよりもっと早く学校に到着して活動を始めることで、授業が始まるころには既に十分な覚醒状態にもっていくことができるはずです。部活動の朝練に似ていますが、朝勉では運動部の部活動と違い身体を動かすわけではないので、疲れて1限の授業から爆睡するなんてことは恐らくないでしょう。

・早い時間であれば通勤電車も混み合わない
朝の通勤および通学ラッシュは、誰だって強いストレスを感じますよね。しかし、そのラッシュ時をさけて普段より1時間でも早く電車に乗るようにすると、それほどストレスを感じることなく通学できるはずです。またあまり混んでいない電車内であれば、スマートフォンを用いた学習もしやすいかもしれません。

adobestock_123343820

朝活勉強の実践例

1.朝は計算と音読でウォーミングアップ
起床して数時間は脳が完全に覚醒している状態とは言い難いもの。ぼんやりしている状態で複雑な問題を解こうとしても、頭が働かずに無駄な時間が過ぎていくだけでしょう。

そこで朝の時間帯には、やさしめの数学の問題を解いたり、声に出して英語の音読をしたりして、徐々に目を覚ましていくことをおすすめします。

2.夜に暗記した内容の確認
私たちがその日に覚えた内容は、睡眠中に脳内で仕分けられ、必要だと判断された情報のみが海馬に運ばれ短期記憶として保管されます。そして、一度覚えたはずの内容を次の日の朝にもう一度確認することで、脳内に刺激が送り込まれて記憶が定着しやすくなるのです。

朝の勉強時間を有効活用するためにも、この仕組みを利用しない手はありません。前日学習した内容を翌日の朝に復習する、ということを習慣づけられれば、次第に記憶力がアップしていくでしょう。

3.早起き仲間を作る
みなさん、“スクラム学習”という言葉はご存知ですか? これは、友人と一緒に勉強することで学習効率がさらに上がるという相乗効果が期待できる学習方法です。

もちろん1人で学習したほうがはかどる、集中できるという人も少なくないでしょう。しかし、複数の友人と一緒に学習するという「約束」があれば、もし寝坊してしまったら罪悪感を感じるため、早起きの習慣が身につくきっかけにもなります。

また、ライバルがいることで気が引き締まり、集中して勉強に取り組めるのではないでしょうか。もし可能であれば、早起き仲間を見つけて一緒に学習すると、より効果が発揮されやすくなりますよ。

***
いきなり早起き生活を始めるのは大変だと思います。いつもより30分早起きする、それができたらもう30分早く起きる……と徐々に習慣化させていくことが望ましいでしょう。“朝活の第一人者” である池田千恵さんはStudy Hackerの特別インタビューで次のように述べています。

時間は命であり、早起きした朝時間というのは、自分の意志で天引きできる唯一の時間
そんな貴重な朝の時間を利用することは、思いもしなかったような大きな効果を生み出すことにつながるかもしれません。ぜひ試してみて下さい。

(参考)
Jessica G.Abella, Martin J.Shipley et al (2016), “Recurrent short sleep, chronic insomnia symptoms and salivary cortisol: A 10-year follow-up in the Whitehall II study.”, Psychoneuroendocrinology, Vol. 68, June 2016, pp 91-99.
医療情報科学研究所(2014),『病気がみえる vol.3: 糖尿病・内分泌・代謝』,メディックメディア.
『標準生理学』(2014)第8版,医学書院.
Study Hacker|「 “朝” から生まれた成功の数々」 “朝活の第一人者” 池田千恵さん 特別インタビュー【第1回】
Study Hacker|どんなに忙しくても、時間は作れる! 勉強時間の効果的な捻出方法を伝授します