「理系」か「文系」かを選ぶとき、一般的にはどのような基準で区分しているのでしょうか。数学や理科が苦手だから文系、文章を読んだり書いたりするのが苦手だから理系……といった消極的な理由で進む人も多いかもしれませんね。

しかし、本当は生物学に興味があっても、理系科目に対する苦手意識から仕方なく文系の学部に進んでしまうのは、ややもったいない気がしませんか? そこで今回は、一見攻略するのが難しそうな理系科目を克服する方法をお伝えします。

なぜ理系科目は難しく見える?

河合塾の生徒を対象にした調査によると、「苦手科目がある」と答えた方は全体の94.9%であることがわかりました。苦手科目の第1位は「数学」(38.0%)で、多くの中学・高校生にとって圧倒的に苦手意識を持たれているようです。ちなみに「化学」は15.2%で5位、「物理」は11%で6位でした。
(引用:大学受験の予備校 河合塾|苦手科目の克服方法を知っていますか?

数学が苦手になってしまった理由として、以下のようなことが挙げられます。
数学の教科書や参考書に書いてある説明が理解できない。
公式を覚えても問題が解けない。
問題集は解けるのにテストになると解けない。
覚えたのに、数週間後には全て頭から抜けている。
定期試験で一生懸命勉強したのに、思うような結果にならなかった。
数学の授業は常に寝ている。つまらない。理解できない。

これらの理由は本人の苦手意識から生まれているものが多いのも事実。苦手意識を乗り越えるために、効果的な方法はあるのでしょうか?

苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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苦手科目を克服できる生徒の特徴

医学部受験向けの塾でチューターとして勤めてきた筆者が、これまで大勢の受講生を見てきて実感したことがあります。

苦手科目に時間を取ることができて、根気強く取り組めた人
周りにいる人のアドバイスを素直に聞き入れる人
人が実践している良い勉強法をすぐ真似できる人

これらの特徴が見られる生徒は苦手科目を克服する力があり、実際に夏休みなどの長期休暇が終わってから、模擬試験で明らかに結果が出ているのです。

とはいえ、理系科目に対して苦手意識のある方は、数ヶ月も根気強く取り組むとなると気が遠くなってしまうかもしれません。しかし、勉強にはコツがあります。これからご紹介する克服法の中から自分に合った方法を見つけ出し、取り組んでみましょう。

克服法 その1:授業の受け方を変えてみる

授業を聞いてもすぐに理解することが難しい方は、事前に教科書に目を通し、理解できない点を明確にしたうえで授業を聞きましょう。不明な点はできる限り解決するようにして、もし時間に余裕があれば例題などにも挑戦します。1回50分の授業に対して、予習は30分程度でかまいません。

授業を受けても理解できないところはメモしておき、どうしても自力で解決できない場合には、授業後すぐに先生や理解できているクラスメイトに聞いてみましょう。“聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥”と言います。

それから復習です。以前こちらの記事でも説明しましたが、苦手科目こそリトライノートを作成してみて下さい。(参照:STUDY HACKER for Students|東大生も活用する魔法のノート『リトライノート』のすごい効果

そしてまとめ終わった後には、ご自身で模擬授業を行ってみてはいかがでしょうか?(参照:STUDY HACKER for Students|「わかったつもり」はもう卒業! “模擬授業勉強法”で真の理解を手に入れろ。)オーディエンスはいてもいなくても構いません。自力で説明できるレベルにまで理解を落とし込めているかを確認することで、「わかったつもり」の状態から抜け出すことができるでしょう。

授業内容をまとめ終わった後には、その日に扱った問題を必ず解き直すようにする癖をつけましょう。自分の手を動かすことで、アウトプット力は身につくものです。

克服法 その2:参考書の使い方を変えてみる

理系科目の勉強は的確なインプットと十分量のアウトプットこそが大事です。学んだ内容を他人に説明できるレベルまで理解したら、後はどんどん問題を解いていき、力をつけていくしかありません。

その際、自分のレベルに合う参考書を選ぶことが大切です。「周りの友だちが使っているから」「今すごく売れているから」という理由ではなく、書店で実際に手に取ってみて、本当に自分に合うものなのかどうかを判断してから購入しましょう。

あれこれと何冊も手に入れる必要はありません。これと決めた一冊を極めるのです。たとえ一冊を終えるのに数カ月かかっても構いません。完全にマスターできたと思えるまで何度も解いた方が確実に結果は出ますし、コストパフォーマンスも良いでしょう。

教科別克服法:数学

筆者は大学受験時は理系でしたが、数学と物理には随分悩まされました。自身の経験もふまえて、これらの科目のレベルアップを図る際のアドバイスをいくつかお伝えいたします。

■問題を解くときの取り組み方を変える
常に目的意識をもって取り組むようにしましょう。
具体的には、
この問題はどの解法パターンで解けるのかをしっかり考える
計算ミスはしていないかと入念にチェックする
勉強した公式はどういう意味を持っていたのか確認する
など、様々な点に意識を集中させるのです。

答え合わせをするときにも注意が必要です。何を知っていればこの問題が解けたのか、どうすれば次回この問題が解けるようになるのか、と自分をシビアに分析してみてください。

最後に、今後の計画を立てましょう。
どの参考書をどのように使えば点数があがるのか
自分の苦手な分野はどこで得意分野はどれなのか
どれくらいの時間をかければ苦手を克服できるのか
この3つの注意点を意識して計画を立てると効果的です。

■記述問題の解答を真似てコツをつかむ
当たり前ですが、勉強は始めたらすぐに成績が上がるものではありません。しかし、試験の結果に一喜一憂することなく、辛抱強く頑張って努力した人には必ず結果が出ます。私も数学の記述模試では何度もスランプに陥りましたが、解き方のパターンを頭に叩き込み、論理的に解く力を身につけ、記述の方法をブラッシュアップすることで明らかに点数が上がりました。

記述問題で点数を取ることが苦手な方は、受験した模擬試験や定期試験の解答をそのまま真似することから始めてみてください。たとえば記述式の試験では「〇〇と●●よりAがわかり、△△と□□よりBがわかり、以上ABからCが導ける」というように論理的に記す力も求められます。ただし、いきなりそれができるようになるわけではありません。そこで、解答をそのまま真似することで書き方のコツがつかめるはずです。

教科別克服法:物理

生物や化学に比べると、物理は成績が伸びにくい科目のひとつだと言えるでしょう。

覚えるべき公式や専門用語が多い。
問題を解くときにどの公式を使えばよいかがわからない。
mとかvとか使う文字が多くてややこしい。
苦手意識がある方たちからは、このような声をよく耳にします。はたしてどのように攻略すればよいのでしょうか。

■公式を丸暗記しない
まずは、覚えるべき公式をただ丸暗記しないことです。何と何が比例するのか、あるいは反比例する関係にあるのか、しっかりその公式の意味を考えながら覚えていきましょう。応用編ですが、その公式ができあがった経緯も同時に覚えられると忘れにくいですよ。

また、物理の公式は身近な物やイメージしやすいものが題材としてあげられるので(斜面からボールを転がす、救急車がサイレンを鳴らしながら近づくなど)、状況を具体的にイメージしながら解く癖をつけると良いでしょう。

■用語を正確に理解する
言葉の定義をしっかりと理解しましょう。「垂直抗力」「遠心力」「静止摩擦力」これらは何に対してどのように働く力であるか正確に説明できるでしょうか。不安な方は教科書を確認してみて下さい。

また、いかなる時も図を描きながら解く癖をつけましょう。とくに力学の問題では、一つの系の中に様々な力があらゆる方向に働いていることがほとんどです。一つでもそれら力の方向を間違えると、それ以降のすべての問題を間違えてしまう……なんてことは頻繁に起こります。記述試験では解答用紙が白紙であり、説明と図を全て書き記すことを要求される場合もあるため、今のうちから図を描く習慣を身につけましょう。

■アウトプットは必ず十分なインプットの後に
最後はアウトプットの訓練です。適当に公式を覚えた状態でひたすらに問題を解いても効果は得られにくいですが、しっかりとインプットしたうえで何度も繰り返し解くと、成果を実感できるはずです。「しっかり」というのは、他人に説明できるレベルにまで知識を理解できたことを意味します。

私も高校生の時、『物理のエッセンス』(河合出版)を何度も繰り返し解いていました。わからなかった問題や間違えた問題にはチェックマークをつけて、可視化するよういつも心がけていました。一冊を極めることも成績アップの秘訣です。

***
苦手科目の克服には、負のスパイラルから脱却して正のスパイラルに身を置いて、楽しみながら上達することが一番です。
勉強しない→理解できない、問題が解けない→つまらない、苦しい、めんどくさい→嫌いになる→勉強しない……となるのではなく、
勉強しても理解できない→我慢強く理解できるまで勉強する→問題が解ける→勉強が楽しくなる、勉強をするようになる→理解できるようになる→問題が解ける……となるように、みなさんが良きプロセスを踏めますように。

(参考)
STUDY HACKER for Students|学校の授業・予備校集団授業・映像授業・個別指導授業の受け方
STUDY HACKER for Students|東大生も活用する魔法のノート『リトライノート』のすごい効果
STUDY HACKER for Students|「わかったつもり」はもう卒業! “模擬授業勉強法”で真の理解を手に入れろ。
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