
世のなかには多くの勉強法があふれています。カードを使って暗記する、参考書・教科書を音読する、問題集で何度も復習する……などいろいろな種類があるので、どれが自分に合うのかわからないですよね。
そこで今回は、効率的なおすすめ勉強方法を、根拠とやり方を添えてご紹介します。忙しくて時間がない人にピッタリな勉強法もありますよ。
ノートまとめ勉強法
ノートのまとめ方は、勉強法の基本。たとえば、資格試験に挑むなら、テキストを読むことになりますよね。読むだけでは記憶に残りにくいので、得た情報をノートにまとめることになります。どのように整理するべきなのでしょうか?
大事なのは、参考書の言葉を丸写ししないことです。勉強法に関する本を数多く著した吉永賢一氏によると、自分の頭で納得・理解しないまま言葉を写しただけのノートは、あとから見たとき「意味不明」になってしまうそう*1。参考書から得た情報を、いったん咀嚼し、自分の言葉で出力しましょう。
そして、ノートに情報をまとめる際は、「きれいさ」を意識しすぎないことも重要です。もちろん、読みづらいほど雑に書くべきではありませんが、見ための美しさを重視するあまり、内容ではなく字の丁寧さやペンの色遣いばかり気になっては、本末転倒。
ノートまとめの目的は、インプット・アウトプットを通した学習内容の理解・定着です。「手段」であるはずのノートまとめが「目的」になってしまわないよう注意しましょう。
ノートを書くときの詳しいコツは、「自主勉強・読書に使えるノートの書き方3選」にまとめてあります。勉強法の基本として、ぜひご一読ください。

間違いノート勉強法
「ノートを使ったいい勉強法はないかな」という人にぜひおすすめしたいのが、「間違いノート」の作成。問題演習で誤答してしまった問題だけを集めたノートです。
演習用ノートで問題を解いたあと、間違えた問題は、書き写したりコピーをとって貼りつけたりしましょう。そして、「焦ってケアレスミスをしてしまった」「単語の意味を誤って覚えていた」など、間違えた原因を分析し、書き留めます。
『東大合格生の秘密の「勝負ノート」』(文藝春秋、2015年)などの著書で知られる太田あや氏によると、この作業によって自分の弱点が明らかになっていくそう*2。東京大学に合格した受験生たちも、勉強の効率化のため、何度も忘れたり間違えたりしてしまう問題をあつめたノートをつくっていたとのことです。
間違いノート勉強法をやったことがない人は、「学びが大きく加速する最強のノート術。ミスに特化した『間違いノート』はこうつくる」を参考に、ぜひ実践してみてください。

(画像引用元:STUDY HACKER|学びが大きく加速する最強のノート術。ミスに特化した「間違いノート」はこうつくる)
付箋ノート勉強法
「ノートを書くとき、きれいにまとめなければとプレッシャーを感じる……」そんな人に試してほしいのが、付箋ノート勉強法。ノートに直接書くのではなく、情報を書き込んだ付箋をノートに貼りつけます。「どうしてそんな面倒なことを?」と思うかもしれませんが、付箋ノートには独特のメリットがあるのです。
『図解人生がはかどる「ふせんノート」』(フォレスト出版、2017年)などの著書がある坂下仁氏によると、メリットのひとつは「敷居が低い」こと*3。もし書き損じても、修正液や消しゴムは不要。新しい付箋に書けばいいだけです。
そして、付箋なら情報の並び替えが簡単。「あとから書き込めるよう、スペースを空けておかなきゃ」「この順番で書いていいのかな?」などと気にする必要はありません。
坂下氏によると、付箋ノートをつくるときのコツは、「付箋に徹底的にこだわること」。おすすめの商品は、ドイツの付箋紙メーカーの日本法人であるプリントインフォームジャパンの「ハチマル」。面積の8割にノリがついているので、剥がれたり折れたりしにくいのが特徴です。
これまでのノートづくりがうまくいかなかった人は、付箋ノート勉強法をぜひ試してみてください。

(画像引用元:STUDY HACKER|「付箋ノート」はもう試した? 脳力アップと情報整理に役立つ “最強ノート術” のやり方)
コピー用紙勉強法
復習の仕方がよくわからない……という人に試してほしい勉強法が、「コピー用紙復習法」。用意するものは、A4のコピー用紙とクリアファイルだけ。安価なので、通販サイトでまとめて購入しましょう。
ノートやルーズリーフではなくコピー用紙を使う理由は、安価なので遠慮せず使えるだけでなく、無地だから。「罫線に沿って書かなきゃ……」など余計なことに気をとられず、自分にとって読みやすい大きさの字で書け、図形も自由に描けます。
コピー用紙の片面だけを使い、復習したい内容をまとめていきましょう。1枚につきひとつのポイントに絞ってください。書き終わった紙は、勉強テーマごとにまとめてクリアファイルに入れましょう。
復習時には、このクリアファイルから紙をすべて取り出します。上から順番に見ていき、内容を思い出せなかったり理解できなかったりしたら、その紙は抜いておきましょう。
全部見たら、理解できていた紙は下に、できていなかった紙は上にして、ファイルに戻します。すると、重点的に復習すべき紙が上に来るため、次回は重要な内容から復習を始められるのです。
この勉強法は、「復習は "紙1枚" を基本にせよ! 京大生がオススメする『コピー用紙復習法』」で詳しく説明しているので、ぜひお読みください。

ルーズリーフ勉強法
ルーズリーフを使って勉強をできるだけ楽しくしようというのが、ルーズリーフ勉強法。ワクワクしてくるようなアイテムをご紹介します。
ルーズリーフは白だけではありません。カラフルな色つきルーズリーフも市販されています。マルマンの「カラーリーフ」は、ピンク・イエロー・ブルーなどの5色展開。勉強内容ごとに色分けするのでも、好きな1色を使うのもいいですね。
クイズ番組『東大王』で活躍したため「東大クイズ王」として知られる伊沢拓司氏が発起人となった、クイズを通して知識を得られるWebメディア「QuizKnock(クイズノック)」でも、「東大生おすすめの文具」としてカラーリーフが挙げられています*4。章の終わりのまとめページなど、区切りとなるタイミングで「記念碑的に使う」のだそうです。
沢山の使い終わったルーズリーフの中に、記念碑が挟まっている。無味乾燥な勉強の軌跡の中に一点、確かに頑張った証拠が見えるのです。
達成感が得られるので、モチベーションの管理に役立つそうですよ。やる気を維持するため、カラーリーフを活用した勉強法を、ぜひ試してみてください。
過去問勉強法
独学での資格取得を目指しているなら、過去問を使うのが正しい勉強法。2020年までに700個以上の資格を取得した「資格マニア」の鈴木秀明氏によると、取り組む過去問の量は多いほどよいそう*5。少なくとも直近の5回、できれば10回分は目を通すべきとのことです。
資格試験のオンライン学習サービス「資格スクエア」代表の鬼頭政人氏も、資格試験対策における過去問の重要性を強調しています*6。大学受験に比べ、出題分野の偏りがより顕著なため、複数の過去問に触れることで、特に重要な出題範囲が「浮き彫り」になるそうですよ。
司法書士や行政書士などの資格講座を手がける東京法経学院によると、「過去問を3回解けばかなりの実力が身につく」のだそう*7。以下のような流れで過去問を使っていきます。
過去問の使い方
① テキストを2周読む
② ノートを用意し、過去問を解く
③ 答え合わせをする
④ 間違えた問題の解説を熟読する
⑤ 解説を読んでもわからなければ、テキストに戻る
⑥ 過去問をもう1周する
⑦ 間違えた問題をノートにまとめる
⑧ まとめた問題を繰り返し解く
過去問の詳しい使い方は「資格試験の勉強法まとめ。『資格取得のプロ』が教えてくれました。」にまとめてあるので、資格に挑戦するならぜひご覧ください。

付箋スケジュール勉強法
「現役東大生の勉強法」について多くの著書をもつ西岡壱誠氏は、受験生時代、勉強計画をこなすのに付箋を活用していたそうです*8。
付箋スケジュールの作り方
① 「次の3ヶ月間」など、長めの期間にこなしたいことを箇条書きにする
② 「参考書Aの1~10ページをやる」など細かいタスクに分ける
③ 付箋1枚にひとつのタスクを書く
④ すべての付箋を1枚の大きな紙に貼る
⑤ 完了したタスクの付箋は捨てていく
⑥ 付箋がすべてなくなったら「クリア」
付箋を捨てるたびに快感を得られるだけでなく、合格までにやるべきことを具体化できるというメリットがあるのだとか。「何をどうすれば合格できるかわからない」という不安がなくなるそうです。
付箋を使ったスケジュール管理のほか、著書『マンガでわかる 東大勉強法』(幻冬舎、2019年)でも西岡氏が取り上げた「学習計画の立て方」は、インタビュー「ふせんを活用『"東大式" 学習計画』がすごい。やるべきことがどんどん具体化される!」で語られています。

逆算勉強法
東京大学医学部在籍中に司法試験合格を成し遂げた河野玄斗氏は、司法試験に向けた勉強中、以下のような「逆算勉強法」を実践していたそうです*9。
逆算勉強法の手順
① 目標と達成期限を決める
② 目標達成に何を勉強すべきか情報を集める
③ 得た情報と自分の苦手分野を照らし合わせる
④ 特に勉強が必要な分野を明らかにする
⑤ 目標期限までにその分野をどれくらい勉強すべきか大まかに計画する
⑥ 毎朝、その日の勉強のToDoリストをつくる(前日夜でも可)
⑦ ToDoリストの内容を実行する
河野氏によると、特に重要なのは最初の「目標と達成期限」。目標だけでなく期限も決めておかないと、「いつか達成できればいいや」と諦めがちになってしまうそう。そして、時間は限られているため、何をどんな手順でやるかという「ロードマップ」の作成が必要とのこと。
「○年△月□日の試験に合格する」と目標を立てる人は多くても、「いまの自分に何が足りないか」をあぶり出す人は少ないのでは? この逆算勉強法では、特に②~④のステップを丁寧に行なってみてください。
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今回ご紹介した勉強法は、どれも多くの実践者によって効果が実証されてきたものばかり。ただし、すべての人に同じ方法が合うわけではありません。
まずはひとつ選んで試してみて、自分に合うかどうかを確かめてみてください。合わなければ別の方法を試す。そうやって、自分に最適な勉強スタイルを見つけていくことが、長期的な学習の成功につながります。
効率的な勉強法を実践しながら、着実に目標に近づいていきましょう。
*1 吉永賢一(2010),『東大家庭教師の結果が出るノート術』,あさ出版.
*2 ベネッセ教育情報サイト|成績アップに役立つ「問題復習ノート」の作り方4「まちがいは消さない」
*3 Moovoo|【達人に取材】付箋ノートの活用術 作り方のコツやおすすめ付箋とは?
*4 QuizKnock|友達に差をつけろ! 東大生がオススメする文房具6選
*5 STUDY HACKER|「過去問題集は、こう選べ!」 資格Hacker 鈴木秀明のシカクロード for StudyHacker【第5回】
*6 東洋経済オンライン|出題者の「オハコ」を知らねば、合格は遠のく
*7 東京法経学院|資格試験の勉強で過去問はどう活用すべき? 効率よく学習する極意とは
*8 STUDY HACKER|ふせんを活用「"東大式" 学習計画」がすごい。やるべきことがどんどん具体化される!
*9 プレジデントオンライン|司法試験にも合格、東大医学生の24時間



