「なんだか勉強したくない」
「どうも勉強がはかどらない」
「いつも勉強が中途半端だ」
こうした勉強に関わる問題を解決したいなら、独学力に長けた地方出身の東大生に学んでみてはいかがでしょう。彼らによれば、問題解決のカギは「分別すること」なのだとか。詳しく説明します。
「怪物」と呼ばれる東大生たち
現役東大生が企画・執筆・運営を行なう「東大新聞オンライン」によると、東大に合格する生徒の大半は関東出身者なのだそう。地方出身者が少ない理由は、関東に比べて東大に関する情報が少ないことや、周囲に東大を目指す仲間が少ないことに加え、卒業生の進路実績にもそれが現れているから。地方の受験生にとって、東大を目指そうというモチベーションを維持することは難しいものなのです。
『ドラゴン桜2』の編集を担当した、現役東大生の西岡壱誠氏もそうした事実に触れ、関東のほうが塾や予備校が豊富であることも理由のひとつに挙げています。
しかし、十分な塾通いもしないまま独学で合格し、入学後も他を圧倒するような成績を収めている地方出身者もいるのだとか。西岡氏ら東大生たちは、そんな彼らに敬意を込めて「地方の怪物」と呼ぶそうです。
次に紹介するのは、西岡氏がそんな「地方の怪物」東大生に取材をして明らかになった思考法のひとつです。
「合理」か、「感情」か?
「地方の怪物」と呼ばれる東大生は、何か勉強に問題が起きたとき、それが合理的なものなのか、感情的なものなのか、まず分けてから対処するそうです。例とともに詳しく説明すると、次のとおり。
- 例「勉強がいつも中途半端になる」という問題は……
⇒「時間が足りないから」という合理的な理由によるもの
合理的な理由なのに、「勉強したい気持ちを、もっと高めよう!」と感情的に頑張っても問題は解決できない。
- 例「勉強に取りかかれない」という問題は……
⇒「勉強したくないから」という感情的な理由によるもの
感情的な理由で勉強を始められないのに、「時間をたっぷりとれば、ゆったりした気持ちで勉強を始められるはず」などと合理的に片づけようとしてもらちが明かない。
西岡氏はこうした状況について述べ、何かの活動が阻まれる理由は、「合理」か「感情」のいずれかにあると説いています。
なぜ改めて分別するのか?
勉強に関わる問題が合理なのか、感情なのか、改めて考えなくてもすぐわかるのではないか――そう感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、あらゆる状況を想定してみると、合理と感情が複雑に入り混じっていることがわかります。
たとえば「勉強に疲れた」と感じたとき、感情的な問題を解決するべく、自分を追い込まないよう何日か勉強を休んだとします。
もしも、そこに「参考書が自分に合っていない」という原因が隠れていたら、合理の問題を放置することになります。疲れがとれたと勉強を再開しても、結局はその参考書で勉強するたびに疲れがたまってしまうでしょう。
たとえ面倒でも、勉強を「阻んだ・失敗した」理由が合理か、感情か先に分別してしまったほうが効率よく対処できるのです。
「感情問題」はどう解決するのか?
ただし、合理的な問題なら解決しやすいが、感情的なものとなるとそう簡単ではないと西岡氏は言います。
参考書が合わない、勉強時間が足りない、目標が高すぎるといった場合は、参考書を変える、時間を増やす、目標を少し下げるといった操作が可能ですが、「どうしても勉強したくない気分」には物理的な対処が難しいからです。
しかし、感情には、感情なりの解決方法があるとのこと。
1.「自分への教訓」を書く
西岡氏によると、「地方の怪物」東大生は自分への教訓を書くそうです。たとえば
「できない部分をしっかりと解決しなきゃ合格はない!」
「いまやらなければすべてムダになる。本当にそれでいいのか!」
などと自分を戒める言葉を書き、目に入りやすい場所に置くのだそう。
感情の問題は、感情で解決するしかないと西岡氏は言います。言葉で自分をつついて、ハッと気づかせたり、奮い立たせたりするわけです。同氏もこんな文章を机の近くに貼り、勉強への気持ちがゆるんだ自分を戒めていたそう。
「あしたやろうは、ばかやろう」
(引用元:東洋経済オンライン|「地方の怪物」東大生の勉強法が本質的すぎた)
ぜひみなさまも東大生にならい、言葉で自分を鼓舞してみてください。
2.「わからない」は始まりだと知る
「よく理解できない。この参考書でいいのだろうか?」「この勉強法でいいいのだろうか?」などと不安になって前に進めなくなったり、「急にわからなくなってきた。自分は頭が悪いのだろうか」などと勉強への自信を失ったりするときも、感情的な勉強の問題にぶつかっていると言えます。
しかし、勉強で失った自信は、勉強によって取り戻せるのだとか。そう説くのは、東京大学教授らも絶賛しているベストセラー『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』の著者、読書猿氏です。
読書猿氏いわく、わからない箇所にぶつかったところで、ようやく学習が始まるとのこと。そこで「わからない、ダメだ」と引き返すのは、“学習開始の直前まできて引き返すようなもの” だと同氏は言います。そもそも学習は「わからない」を「わかる」にする活動のはず。その本質を私たちは忘れがちなのです。
だからこそ、次を心に留めておくことが大いに役立つでしょう。
- 勉強で失った自信は、勉強によって取り戻せる
- わからなくなったときこそ、学びが始まる
そうすれば、「わからないこと」を恐れずにすむとのこと。つまり、感情的な勉強の問題を解決できるということです。前項で紹介した「自分への教訓」に、「わからないときこそ始まりだ!」などと書き加えてみてはいかが?
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東大生に学ぶ「勉強問題」解決のカギと、感情的な勉強の問題を解決する方法を紹介しました。悩みが消え、活き活きと勉強できるといいですね。
(参考)
東洋経済オンライン|「地方の怪物」東大生の勉強法が本質的すぎた
東大新聞オンライン|【はじめての東大新聞】〜地方からの東大進学を考える〜地方高校生が東大受験を選択肢とするために必要なもの
ダイヤモンド・オンライン|独学の達人はやっている「勉強でここから先は自分の能力の限界だ」と思ったときの復活法
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。