「資格をとるよう会社ですすめられているけど、忙しくてとてもできない」
「勉強しようと思っても、時間がとれなくて挫折してしまう……」
仕事や家事をしながら、勉強時間を捻出するのはなかなか難しいことです。
何時間も机に向かえるという方は少ないのが現実。
忙しい社会人は、限られた時間を最大限活用して、効率よく勉強をしたいもの。この記事では、30分程度の空き時間でも、工夫して勉強をするための方法をお伝えします。
【ライタープロフィール】
髙橋瞳
大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。
朝日新聞デジタル|勉強時間は短い方が好成績?
プレジデントオンライン|いちばんのオススメは音読だが…声の出せない環境でも定着率を高められる"脳科学的な記憶術"
致知出版社note編集部|ドリルで異例の5万部を突破した“速音読”は何がスゴいのか?
1. 短時間の勉強を積み重ねる
「長時間勉強ができないと、なかなか成果が出ないのではないか」と考えていませんか? じつは、短時間の勉強を繰り返すほうが、長時間の勉強をするより効率よく身につくようなのです。
脳研究者で東京大学薬学部教授の池谷裕二氏が、株式会社ベネッセコーポレーションの協力のもと実施した実験の結果をご紹介しましょう。
この実験は「中学1年生をグループに分け、中2・中3レベルの英単語を覚えてもら」ったもので、休憩を入れずに続けて「60分学習」をしたグループより、休憩を挟みつつ「15分×3(計45分)学習」をしたグループのほうがより好結果を残しました。さらに「集中力が40分ほどしか持続しないことを表しているのかも」しれない様子が観察され、「より少ない学習時間」のほうが「長期的に見て高い学習効果を発揮する可能性が示唆され」たのです。(カギカッコ内引用元:朝日新聞デジタル|勉強時間は短い方が好成績?)
つまり、長い時間続けて勉強をするよりも、短い時間の勉強を積み重ねたほうが学習効率がよいのです。まとまった時間をとらずとも、短い時間で効率的に勉強ができることがわかりますね。
2. 音読をして記憶力をアップする
では、短い時間でどのように勉強すればよいのでしょうか。筆者がおすすめするのは、 “音読” です。小学校の宿題で音読をして、その内容をいまでも覚えている、という方もいるのではないでしょうか? 音読をすることで脳が刺激されると、記憶力が格段にアップするのです。
脳内科医の加藤俊徳氏は、「脳番地」という考え方を用いて、音読することのメリットを述べています。
聴覚を働かせる習慣を持つことは、脳全体を活性化させる上でとても重要です。なぜなら、聴覚は視覚よりも記憶に直結し、記憶の一時保管庫である海馬にアクセスしやすいという特性があるからです。
聴覚を働かせることのメリットは、聴覚系だけではなく他の脳番地も一気に働かせることができる点です。
これを活かした勉強法の一つが、音読です。
(引用元:プレジデントオンライン|いちばんのオススメは音読だが…声の出せない環境でも定着率を高められる"脳科学的な記憶術")
音読とはつまり自分に自分の声を聞かせることなので、これによって記憶に直結する聴覚に強く働きかけることができるのです。聴覚に働きかけることでほかの脳の機能も働かせることができるため、脳の機能をフルに使えることになります。音読した内容が記憶に残りやすくなるということにも納得がいきますね。つまり、音読を取り入れれば、短い時間でもさらに効率的に勉強できると考えられるのです。
3. 短時間勉強に速音読を取り入れた
筆者は朝の仕事前に30分しか勉強の時間をとれず、効率的な勉強ができていないと感じていたため “音読” を試してみることにしました。ここで筆者は、せっかく音読をするならと “速音読” を取り入れることに。教育学者で明治大学文学部教授の齋藤孝氏によると、「たった一分間でも集中して速音読をしようとすると、注意深さが増してい」くとのことなのです。(引用元:致知出版社note編集部|ドリルで異例の5万部を突破した“速音読”は何がスゴいのか?)
音読の効果は前述のとおりですが、速音読にすることで注意深さが増すのですね。速く声に出して読もうとすれば、確実に文字を拾えるように気をつけて読まなければならないので、注意深さが増していくのでしょう。それであれば、なおさら試してみる価値がありそうです。
そういうわけで、いつもは目で追うだけだった参考書を、速いスピードで声に出して読んでみました。最初は音読というのが子どものようで少し抵抗があったのですが、始めてみると黙読よりも文章がすんなり頭に入ってくる感覚がありました。
筆者は普段の勉強で、暗記が必要な内容を5個リストアップし、翌日いくつ覚えているかテストをしています。これまでは完璧に覚えるまで数日かかることが多かったのですが、音読を取り入れてからは翌日に5つとも思い出せることが多くなりました。つまり、記憶力がアップしている実感があったのです。
速音読で集中力と注意力もアップした
記憶力アップのほかに、速音読をして感じた効果がふたつあります。
ひとつは、集中力がアップしたこと。黙読をしているときは参考書を読み進めているつもりでも、頭のなかで別のことを考え始めてしまうことがありました。しかし、速音読をしていると別のことを考えることが難しくなるので、自然と勉強内容に集中することができたのです。集中力がアップするとなれば、短時間の勉強がますます有意義に感じられました。
もうひとつは、黙読のときには読み飛ばしていた細かなところに気づくことができたこと。これが齋藤孝氏が言う注意深さが増すということなのかと実感しました。
たとえば弁理士試験では、条文の文末が「~~しなければならない」と「~~できる」のどちらになっているのが正しいかを問う問題があります。黙読をしているときは、この文末の違いを読み飛ばしてしまうことが多くありました。しかし、速音読を取り入れたことで、これまで気づくことができなかった細かな違いにも注意が向くようになったのです。同じように細かな違いが問題として出るような資格の勉強では、読み飛ばしを防ぐのに役に立ちそうです。短時間であっても、注意深く確実な勉強ができるところが速音読のよさですね。
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今回は短い時間でも効率よく勉強する方法を紹介しました。短時間の勉強に音読を取り入れるだけであれば、簡単に実践ができて継続しやすそうですよね。勉強の時間がとれずに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。