勉強に集中できる部屋、模様替えをしなくてもつくれます

勉強をする部屋のイメージ画像

「勉強に集中するため、最適な環境づくりが大切」

このような話をよく聞きますが、実際に自分の都合で勉強に特化した部屋を確保できる人がどれだけいるでしょうか。仕事が多忙で片づけられない、小さな子どもがいてよく散らかしてしまう、同居している家族の意向で簡単にインテリアを変えられない……さまざまな住宅事情を抱えて暮らしている人も多いのではないでしょうか。

とはいえ、勉強がはかどる環境が科学的に証明されているのも事実です。そんなときは、いまの環境のなかで、実現可能な範囲で学習環境を整える、というように発想を転換してみましょう。

今回は、どんな環境でも手軽にできる、学習環境の整え方を紹介します。

科学的に証明された「勉強に集中できる環境」とは?

そもそも「勉強に集中できる環境」とはどのようなものなのでしょうか。まずは、どんなポイントを抑えていれば集中できるのかを簡単に整理します。

部屋が片付いている

集中するには、部屋が片付いていることが大切であるとわかっています。

プリンストン大学神経科学研究所の研究で、人の脳が秩序を好み、無秩序な状態を見続けると、集中力が低下することがわかっています。*1

また、散らかっている環境を整理すると、集中力と情報処理能力が改善することも明らかになりました。やはり、雑然とした部屋は集中力の低下につながるようです。

適度に明るい

一級建築士のしかまのりこ氏は、部屋に必要な明るさについて、4.5畳で60~120 W、6畳で100~200W、8畳程度で200~300Wが必要であると述べています。また、照明の色は白色、主に「昼白色」「昼光色」と表記されている照明を使うと、脳を働かせやすくなるとも語っています。*2

また、天井の照明だけでは手元が暗くなりやすいため、デスクライトで明るさを補うことも重要です。

デスクライト

デスク・椅子の高さが適切

座ったときに正しい姿勢を保つことで、集中力が持続しやすくなります。

一般社団法人日本インテリア健康学協会(JIHSA) 代表理事の尾田恵氏によると、デスクと椅子のあいだ(差尺)が適切であることが、作業効率を上げるためには大切だと述べています。差尺が狭すぎると腰痛、逆に広すぎると肩こりが起こりやすくなるのです。*3

ちなみに、差尺は以下の計算式で求めることができます。

身長(cm)× 0.55 ÷3 = 〇〇(小数点以下は四捨五入)
→〇〇-1(cm)= 差尺(一般的な数値)
→〇〇 - 2~3(cm) = 差尺(パソコン作業における最適な数値)*3

インテリアを大きく変えなくても大丈夫!

前項で紹介したように、たしかに科学的に適切な学習環境は存在します。しかし、必ずしもこのような環境でなければ勉強できないわけではありません。工夫次第で勉強のしやすい環境をつくりだすことは可能です。

いくつか例を紹介します。

デスクまわりだけ「スペースをつくる」

視界に雑然とした様子が入ることで集中力がそがれるなら、勉強中に視界に入る部分だけをきれいにすればいいのです。まずはデスク用のパーテーションを購入することをおすすめします。もし難しければ、部屋にあるものを使って、仕切りをつくりましょう。

ダイニングテーブルでもキッチンでもいいので、勉強する場所を確保できたら、そこにパーテーションを設置し、そのなかだけはなにもない状態にします。物は片づけるのではなく、別の場所によけるだけでいいのです。

パーテーションで視界を制限することで、まわりがどんなに散らかっていたとしても気にせず集中することができます。

勉強をする人

移動しやすいデスクライトを用意する

照明の色・明るさが重要であることを前項で説明しました。しかし、急にシーリングライトを交換するのは難しい場合もあるでしょう。また、先ほどデスク用のパーテーションを紹介しましたが、使う場所によっては手元が影になってしまいます。

そこで、持ち運べるタイプのコンパクトなデスクライトを用意しましょう。クリップ式やクランプ式など、便利な商品も販売されています。その日の状況によって、臨機応変に勉強する場所を変えたい人には、持ち運べるタイプやクリップ式のデスクライトがおすすめです。

一定期間勉強場所を固定できるなら、机などに取り付けられるクランプ式の照明や、少々重くても安定性のあるデスクライトを使用するといいでしょう。購入時にチェックしたい色・明るさ・光の量については、以下のとおり。

  • 色:5,000K程度(昼白色)
  • 明るさ:300~400lm(ルーメン)*4
  • 光の量:700~750ルクス以上 *5

立ったまま勉強する

「勉強できるスペースは確保できたが、椅子の高さが合わない」という場合もあると思います。長時間悪い姿勢を取り続けると疲れやすくなり、集中力が切れやすくなることにもつながります。その場合は、あえて立ったまま学習を行なってみましょう。

「立ったまま仕事をすることは健康にいい」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。その話の根拠になっているのが、座りすぎによって血流が滞ること。*6

早稲田大学スポーツ科学学術院教授の岡浩一朗氏は、「座ったまま動かないと、人体の筋肉の中で約7割を占める足の筋肉が動かないため、たちまち血流が滞り、代謝機能が低下する」と述べています。*7

日中にデスクワークをし、帰ってきてさらに勉強するなら、座って作業するのは「座りすぎ」なのです。であるなら、あえて立ったまま勉強するというのは理にかなっているのではないでしょうか。立っていれば、勉強中に眠くなることも減りますし、ダラダラしてしまうことも防げます。

とはいえ、立ちっぱなしは疲れるという人は、1時間に15分だけ立って勉強するのはいかがでしょうか。コクヨ株式会社は、立つ姿勢と座る姿勢を交互にとることが重要だとし、1時間に15分程度のスタンディングワークを取り入れることをすすめています。*8

たとえば、35分座って勉強、15分立って勉強、10分休憩するというサイクルにすれば、身体への負担が軽くなり、集中力を保ち続けることができるでしょう。

***
完璧ではなくても、工夫次第で勉強環境を整えることはできます。

「勉強するために部屋を片づけなくては」と頑張るより、できる範囲で最低限の環境を確保し、勉強に使える時間を増やしていきましょう。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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