あなたはどのタイプ? 脳科学が教える「伝わる人・伝わらない人」の3つの分類

「伝わる人・伝わらない人」の3つの分類についてお話しくださる西剛志さん

日々のコミュニケーションのなかで、「どうしてこの人には伝わらないのだろう?」と悩んだことがあると思います。その原因は、相手の「脳のクセ」にあるかもしれません。脳科学者の西剛志さんは、人は「情報を受け取りやすい感覚」に違いがあると言います。そのタイプを見極めることができれば、言葉は相手にずっとスムーズに届き、人を動かす力に変わっていきます。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)

【プロフィール】
西剛志(にし・たけゆき)
1975年4月8日生まれ、脳科学者(工学博士)。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。博士号を取得後、特許庁を経て、うまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を2008年に設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を紹介し、企業から教育者、高齢者、主婦などを含めてこれまで3万人以上に講演会を行なう。『脳科学的に正しい! 子どもの非認知能力を育てる17の習慣』(あさ出版)、『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)、『「おとなしい人」の完全成功マニュアル』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい自分を変える方法』(アスコム)、『脳科学者が教える「やりたいこと」の見つけ方』(PHP研究所)、『認知バイアスの教科書』(SBクリエイティブ)など著書多数。

「脳のクセ」で決まる! 「伝わる人・伝わらない人」の違い

私たちの脳は、「人に命令されるのを嫌う」「現状維持を好む」といったさまざまな「クセ」をもっていますが、専門用語では「メンタルイマージュリー」と言われる「感覚の優位性」というのもそのひとつです。

これは、「どの感覚を通して情報を受け取りやすいか(処理しやすいか)」という脳のクセで、それぞれ「視覚」「聴覚」「体感覚」を優先する3つのタイプに分類されます。そして、相手がどのタイプなのかを知っておくことで、コミュニケーションはよりよい方向に進んでいきます。

【「感覚の優位性」の3タイプ】

  1. 視覚を優先する「視覚タイプ」
  2. 聴覚を優先する「聴覚タイプ」
  3. 触覚、味覚、嗅覚などを含めた体の感覚を優先する「体感覚タイプ」

私は、全国の幼稚園・小中高の先生や保護者向けに「才能を伸ばす」講演会も行なっていますが、そのなかで子どもの感覚の優位性についても伝えています。なぜなら、子どもに同じことを教えても、タイプによって伝わり方が大きく変わるからです。

聴覚タイプの子は「言えばわかる子」ですから、先生としても楽でしょう。たとえば幼稚園でなんらかの運動を教えるようなとき、その手順をしっかりと言葉で伝えてあげれば、その子はきっと一生懸命に運動に取り組んでくれます。

でも、視覚タイプ、体感覚タイプの子に対しては、言葉だけではうまく伝わりません。ですから、視覚タイプの子にはこれからやることを絵で見せる、体感覚タイプの子にはこまかく説明する前にとにかくまずやらせてみるというように、同じことを教えるにも異なる手段を選択する必要があるのです。

 「伝わる人・伝わらない人」の違いについて語る西剛志さん

上司・部下・子ども……相手のタイプ別「刺さる伝え方」

もちろん、ビジネスの場であってもこれは同様のことです。相手のタイプを知っておけば、コミュニケーションは大きく改善されるでしょう。たとえば上司にプレゼンをする場合、視覚タイプの上司は文章よりも「見て理解したい」と考えビジュアルを重視する傾向にありますから、データは数字だけでなくグラフで示す、複雑な説明は図式化するといった対策が有効です。

「言葉の流れ」に強く反応する聴覚タイプの上司が相手なら、たとえば「背景→課題→解決策→効果」というストーリーテリングで説明する、キーワードを繰り返して強調する、資料はあくまで補助と考えてしっかりと口頭で補足説明をするといった手があるでしょう。

聴覚タイプはオノマトペを好むという性質ももっていますから、たとえば「ぐんぐん伸びている」「スッと導入できる」「しっかり成果につながる」「がらっと印象が変わる」など、オノマトペを意図的に使うのも有効だと思います。

抽象的な話よりもリアルに感じられることを重視し、実感や体験、手触り感のある説明を好む体感覚タイプの上司には、他者の成功事例を実際に見学した体験として語るとか、「現場でどう動くか」「社員がどう感じるか」といった感覚的表現を盛り込むのがいいでしょう。ほかには、ただ話すのではなくジェスチャーを加えるのもいいですね。

伝えたいことが伝わっているイメージ

3つのタイプを見抜く”日常のサイン”とは?

そのようにしてコミュニケーションを使い分ける場合、上司をはじめ周囲の人のタイプを事前に判別しておくことが大切です。どのタイプなのかは、普段の言動などから見抜けます。

たとえば、ハイブランドの服を着るなどおしゃれな人は視覚タイプの可能性が高いと言えます。体感覚タイプの人なら、フィット感や肌触りがいいものや機能性が高いファッションを好む傾向があります。聴覚タイプの人を服装から判断するのは難しいのですが、音楽好きだとか、食事に行ったときに店内の雑音やBGMを気にする人が該当する可能性が高いでしょう。

3つのタイプを見抜く”日常のサイン”について語る西剛志さん

コミュニケーション上級者になるための最後の条件

ここまで感覚の優位性について触れてきましたが、コミュニケーションが卓越した人に共通するもうひとつの大切な要素があります。

それは「自分がどんな前提をもって話すか」です。特に、相手に対して「この人は能力がある人だ」という前提があるかどうかで、伝わり方が大きく変わることがわかっています。

たとえば、後輩がミスをしたとき「後輩には能力がない」と感じながら話すと、マイナスの言葉が出てきやすくなります。「なんでこんなミスをしたの?」「こうなると思っていたよ」など、相手を責める系の言葉が出やすくなるのです。

それでは相手は萎縮するばかりですし、自分自身の意識も、事実の確認や改善策の模索には向かいにくくなるでしょう。その結果、ミスにつながった原因を突き止められず、後輩はまた同じミスを繰り返すようなことにもなりかねません。

一方、相手に対して「この人は能力がある人だ」という前提があると、どうでしょうか。自然と出てくる言葉も変わります。「デキる人間なのに、どうしてこういうミスが起きたんだ?」と原因の追求やその改善をしようとしたり、声質すら変わるかもしれません。必要以上に後輩を責めることもありませんから、相手とのコミュニケーションもよりよいものになるでしょう。

ですから、相手の能力を伸ばしたいときは、まず「この人は能力がある人だ」という前提をもち、そのうえで相手の感覚の優位性によってコミュニケーションを変える。一朝一夕でできるものではないかもしれませんが、私の著書にもある診断やトレーニングを使って「この人は何タイプだろう?」と日々意識していくと、いつしか自然とできるようになっていきます。一流の人ほど、小さなことを大切にします。それがうまくいく人に共通するコミュニケーションの法則なのです。

「伝わる人・伝わらない人」の3つの分類についてお話しくださった西剛志さん

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【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)

1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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