「誘う」とは、誰とどう生きるかを決めること。最初の一歩は「近い相手に3通」

職場・疎遠な友人・憧れの人への誘い方|五百田達成が語るハラスメントを避ける応用コミュニケーション術

「後輩を誘ったら、ハラスメントと思われるかもしれない」。そんな不安から、職場で声をかける手が止まる。疎遠になった友人には「今さら連絡しづらい」し、憧れの人は、そもそも雲の上……。誘いの悩みは、相手によって形を変えます。

そうした応用編の悩みにも、『「誘える人」がぜんぶ手に入れる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者・五百田達成さんの答えは、明快でした。

連載最終回のテーマは、職場・疎遠な友人・憧れの人、それぞれへの誘い方。そして、「誘う」が人生を変える理由まで語ってくれました。

取材・構成・写真/STUDY HACKER編集部

【プロフィール】
五百田達成(いおた・たつなり)
心理カウンセラー。米国CCE,Inc.認定GCDFキャリアカウンセラー。東京大学教養学部卒業後、KADOKAWA、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。専門分野は「コミュニケーション心理」「ことばと伝え方」「SNSと人づきあい」。会社員としての実体験と豊富なカウンセリング実績に裏打ちされた、人間関係、コミュニケーションにまつわるアドバイスが好評。「あさイチ」(NHK)、「ヒルナンデス!」(日本テレビ)ほか、メディア出演も多数。著書に『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』『話し方で損する人 得する人』『超雑談力』『不機嫌な妻 無関心な夫』『会話IQ 本当に頭がいい人の話し方』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがあり、シリーズ120万部を超えている。文章・エッセイ教室「おとなの寺子屋」も好評。

ハラスメントが怖いなら、コミュニケーションを「薄める」

「後輩を誘ったらハラスメントになるかもしれない」と萎縮している人は多いと思います。何がどうハラスメントになるかは、人による、タイミングによる、人数による、とみんな言いますよね。

20年前、友人の経営者が言っていたのは、「部下を1人では絶対に誘わない」ということでした。「今度ご飯行こうよ。誰かもう1人誘って」という言い方をする。1対1にせず、1対2、1対3にする。そうすると相手も「じゃあ同期の〇〇ちゃんを誘います」となって、風通しがよくなるんです。

夜より昼、酒よりお茶、個室よりオープン、サシより会

会社によっては「上が下を誘った時点で全部アウト」というところもあると聞くので、一般論としては言いにくいのですが、夜ご飯よりも昼ご飯、酒を交えるよりお茶、個室よりみんなから見えるオープンな場、サシよりも「会」。

つまり、今話していて気づきましたが、コミュニケーションを少し「薄める」ということなんだと思います。「僕はあなたと仲良くなりたいんです、お願いします」と迫るのではなく、ゆるく広げて、趣旨を薄めるんです。

ライトにつながって、ここぞで「一本釣り」

大昔は「仕事はまず手紙を書くものだ」という時代があって、ファックスの時代が来て、Eメールの時代が来て、今は「いちいちメールで言うな」という人までいる。コミュニケーションがどんどんライトになる中での、バランスと使い分けです。

正直に言うと、「五百田さんは毎回個別メッセージで誘ってくるから断りづらい。グループLINEに流してくれたらスルーできるのに」と思われている可能性はあります。でも、それは仕方ない。開き直っています(笑)。

ハラスメントが気になるなら一番ライトにすればいいし、ここぞという仲良くなりたい人には、個別で一本釣りすればいい。ライトにつながっておいて、ここぞで「LINE教えてもらっていい?今度お茶しましょう」、この使い分けとバランスです。

疎遠な友人に誕生日LINEで再連絡する方法|気まずさは慣れで消える五百田達成流つながり術

疎遠な友人には「誕生日LINE」。気まずさは「慣れ」で消える

疎遠になった友人に連絡するきっかけとして、僕が使っているのが誕生日LINEです。Facebookでは、誕生日の人のウォールにお祝いメッセージが並びますよね。あれでハッピーになっている人は、あまりいなさそうだなと思うんです。

だから僕は、「〇〇さんが誕生日です」と教えてもらったら、わざわざMessengerを開いて、個別に「誕生日おめでとうございます」と送る。急にお祝いを送る気まずさの乗り越え方は、慣れです。ぬけぬけとした慣れ(笑)。

「この年になって誕生日を祝ってくれるのは、親と五百田さんだけですよ」と言われると、いいことをしたなと思えますし、「そういえば転職したんだっけ」と近況の話につながる。いざというとき、そのつながりが活きるんです。

誰かに「製薬業界の人を紹介してほしい」と言われたとき、半年前に誕生日LINEを送った相手に、「そういえば製薬業界だったよね。ちょっと話を聞かせてあげて」と頼みやすい。

「今世では彼とお茶には行けない」

もちろん失敗もあります。数日前にアプローチして塩対応だった相手が、ちょうど誕生日だったので、もう一発「誕生日おめでとうございます。そういえば今、どちらにお住まいでしたっけ」と送ってみました。

結局またぼんやりとしたリアクションだったので、引き下がりました。きっと今世では彼とお茶には行けないんだと思います。でもまた機会があるかもしれない、のんびりといきます(笑)。

憧れの人への誘い方|問い合わせフォームから縁をつかんだ五百田達成の人脈構築エピソード

憧れの人との縁は、フォームの「ポチ」から始まった

もともと僕は編集者だったんです。気になった人には「取材させてください」と名刺一枚で会いに行くことに、新卒からずっと慣れていました。すぐ会いに行ってしまうフットワークがしみついている。

独立してすぐの頃、約20年前ですが、働く女性のキャリアについて発言するコメンテーターになりたいと思っていました。当時、日経ビジネスでジャーナリストの白河桃子さんが連載をされていて。

僕も独立したてで必死でしたから、どこかにパイプはないかと思っていた。

当時はSNSもありません。考えた末に、日経ビジネスの問い合わせフォーム、「記事の感想をお寄せください」というところから送ったんです。

「はじめまして。働く女性のキャリアについて研究しているライターの者です。連載を楽しく拝読しています。よろしければランチがてら意見交換でもさせていただけませんか」と。

それが連載担当の編集者に届いて、きっと「変なのが来たな、どうしよう」となったと思います(笑)。結局、白河さんと僕とその編集者の3人でランチをすることになりました。

そこからなんだかんだとご縁が続いて、トークイベントにお邪魔したり、共通の友人の編集者と一緒にカラオケに行ったり。そんな不思議なご縁も、送信フォームの「ポチ」から始まったんです

「ファンです」と、下から行かない

番組でご一緒したはあちゅうさんが、「いいなと思った人には、無理に『ファンです』と会いに行かないようにしている。。自分がこの道で頑張っていれば、いつか対等に会えるはずだから」とおっしゃっていて、なるほどなと。僕も、心がけてきたことでした。

今はみんなSNSくらいはやっていますし、コミュニケーションのハードルはどんどん下がっている。トランプ大統領にだって直接文句が言えるわけですから(笑)。憧れの人を、勝手に仰ぎ見なくていいんじゃないか、ということです

誘うとは誰とどう生きるかを決めること|人間関係を主体的にデザインする五百田達成の最終メッセージ

「誘う」とは、誰とどう生きるかを決めること

「人間関係を主体的にデザインする」というフレーズは、企画書の段階からありました。編集者が当初から気に入ってくださって、帯に載りました。

ボツになったコピーで言うと、僕は「人間関係の断捨離」と言っていたんです。嫌な人と付き合わない方がいい、と。でも編集者が「みんな、そんなに嫌な人を切り捨てられない。嫌な部長とも仕事しなくちゃいけないんだから」と言って、断捨離はなくなりました(笑)。

それを踏まえて、もう一声言うなら。「誘う」とは、「誰とどう生きるかを決めること」だと思います。どんどん人の好みにうるさくなって、「気が合って、面白い話をしてくれて、一緒に何かを楽しくできる人と過ごす時間だけで余生が埋まったらいいな」というところまで来ているので(笑)。

まず、3人誘ってみる

最後に、今まさに手が止まっている人へ。「絶対に成功させる。この人だ」と思い詰めると、ろくなことがありません。

だから、断られてもお互い気まずくない相手、3人くらいに声をかけてみる。本には最初「暇な人」と書いていたんですが、それはあまりよくないなと(笑)。職場の同僚など、近い相手がいい。高校の同級生に「久しぶり」はハードルが高いですから。一時期よく誘っていたのに最近会っていない人でもいい。あと、返事が早い人がいいです。返事を待つ間、モヤモヤしてしまうので。

ドキドキするのは最初の3つくらいで、そのうち流れ作業で誘えるようになります。ダメだったら「オッケー、了解です、残念。じゃあ今度どう?」の繰り返し。身も蓋もない話ですが(笑)、そんなに思いを込めない。思いを込めすぎると、相手も重いですから。

あとはLINEで言うと、「あまり練らない」ことも大事です。3日も練って寝かせると、変に重くて返信しにくい文章になりますから。本にあるテンプレの穴埋め通りに、軽い相手に3通送ってください。話はそこからです

***

取材の最後、本書の魅力は「読むと誘いたくなる」ことだ、という話になりました。五百田さん自身、執筆当初から周りの人にテーマを話すたび、「私、結構誘えるんですよ」「俺、誘えないんですよ」と、誰もが「誘う」について語り始めたそうです。

だから、この連載の締めくくりは、これ以外にありません。さあ、この記事を読み終えたあなたは、誰を誘いますか?

「誘える人」がぜんぶ手に入れる

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【ライタープロフィール】
岡 健作(おか・けんさく)

株式会社新恵社 代表取締役/株式会社スタディーハッカー創業者。1977年生まれ、福岡出身。2014年、メディア「STUDY HACKER」を立ち上げ。以後運営に携わる。
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