仕事中、こんな悩みはありませんか? 「新しいアイデアが出てこない」「報告書作成に時間がかかって、いつも締切ギリギリ」
効率よく仕事をこなし、クリエイティブなアイデアを生み出せたら素敵ですよね。実は、そんな悩みを解決するコツがあるんです。
この記事では、仕事の効率とアイデア力を上げる方法を紹介します。専門家の見解を交えながら、すぐに実践できる具体的なテクニックをお伝えします。
これらの方法を参考にすれば、あなたも職場でキラリと光る存在になれるかもしれません。ぜひ読んで、試してみてくださいね。
【ライタープロフィール】
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。
1. 文章を読みながら絵を描きまくる
「資料を読んでもさっぱり内容が頭に入らない……」とお悩みなら、絵を描きながら読んでみてください。何度も読み返すよりも速く、内容を理解できるかもしれません。
『人生が変わるー大人の独学記憶術』の著者で記憶のスペシャリストの池田義博氏によれば、記憶には「速い記憶」(理解するために働く種類の記憶)と「遅い記憶」(情報を保管するための記憶)の2種類があるのだとか。
そして脳の「司令塔」とも言える「海馬」という部分が、速い記憶のなかから遅い記憶に残すべきものを取捨選択するそうです。
そのため池田氏は、「速い記憶の段階でいかに精緻化をするかが、効率的に遅い記憶をつくるための鍵」になると指摘しています。精緻化とは「情報を加工処理」すること。
たとえば文章を読むときなら、「連想されるイメージをなるべく多く思い浮かべ」、下記のようにするとよいそうです。
- 「テキスト情報にイメージ情報をつけ加える」
- 「テキスト情報を図解したり図示」する
(上記カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|記憶力がいい人は「2つの記憶」を使い分けている――どういうことか “記憶のプロ” に聞いてみた 太字は編集部が施した)
つまり、文章を読んで思い浮かんだイメージを絵や図に落とし込むことで、記憶が定着しやすくなるというわけです。
そこで筆者は、田中靖浩氏の『会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ―500年の物語』(日本経済新聞出版, 2018)を使い、文章を読んで「連想したイメージを絵に描く」ことを実践してみました。
今回使用したのは、B5サイズのノートと、3色ジェルボールペンです。絵を描きやすいように方眼罫ノートを、強調したい部分がひと目で見やすくなるように3色ペンを選びました。
普段絵を描く習慣のないため、初めの頃は文章をどう絵に表現したらいいか戸惑い、なかなか手が動きませんでした。そこでまず「株式会社誕生の時代」とタイトルを書いて、簡単な日本地図を書き始めてみたのです。するとそのうちに少しずつ手を動かせるようになりました。「絵に自信がない」という方は、文字でも記号でも自分に馴染みがあるものをとりあえずノートに書いてみるところからスタートするとよいかもしれません。
あくまでも文章の内容を効率的にインプットすることが目的なので、雑な絵でも気にせず自由にイメージを膨らませて描いた結果、こんなノートができあがりました。
文章のイメージを絵に描くことで、世界最初の株式会社であるオランダの「東インド会社」が設立された経緯を深く理解できました。
実践してみて筆者が感じられたメリットは次のとおり。
- 文章に出てくるキーワードと自前の知識が結びついて発想が膨らんだ
- 時間が経っても、絵とセットで理解した内容がスッと頭に浮かび上がってくる
絵を描きながら文章を読む方法は、書類を読むのが苦手な人にオススメのメソッド。字面を追って読むだけよりも、お絵描き感覚で楽しく内容への理解が深まり効率的に記憶できますよ。
2. シングルタスクに集中しまくる
「報告書を書きながら新着メールをチェックしている」「ミーティングに参加しながら議事録を作成している」など。
普段の仕事がそんな「マルチタスク」状態になっているのなら、「シングルタスク」に切り替えてみては? 「マルチタスクをやめた瞬間、生産性は10倍になる」かもしれません。(引用元:リクナビNEXTジャーナル|生産性10倍に?!「シングルタスク」に切り替える方法)
頭の回転が速い人は、ひとつの仕事を終えてから次の仕事に集中することで、効率的に脳を使いこなしているという特徴があるのです。
『究極脳の作り方ー脳科学の力で才能を引き出す』の著者で脳科学者の生塩研一氏は、「効率的に仕事を進めようと思えば、シングルタスクに集中すること」だと述べています。
それは、「脳の情報処理システムの特性」により、作業が中断されるともとの調子に戻るのに「思ったより長い時間が必要」になってしまうから。また、人間の脳は「ひとつの対象にしか意識を向けられ」ないため、「マルチタスク」をしているつもりでも、実際には「考える対象を短い時間で切り替えている」だけなのだとか。
たとえば自転車に乗っているとき。途中に何度も止まっては漕ぎ出す動作を繰り返すより、スタートしたら最後まで止まらず走り続けたほうが、スムーズに速くゴールにたどり着けますよね。脳の働きにも、同じことが言えるのです。
つまり、集中力が散漫になってしまうマルチタスクより、集中力を維持できる「シングルタスク」にしたほうが、仕事の効率が上がるというわけです。(上記カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|「頭の回転が速い人」と「遅い人」は結局何が違うのか? 脳科学者に聞いてみた。)
マルチタスクをシングルタスクに切り替えるには、「類似タスクごとにグループ分けし、1日の同じ時間帯にまとめて片付ける」方法があります。
『SINGLE TASK 一点集中術―「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる』(デボラ・ザック著, ダイヤモンド社, 2017)で紹介されているやり方は次のとおり。
- 平均的なタスクを書き出す
- 「類似タスクごとにグループ分け」をする
- 「1日の同じ時間帯にまとめて片付ける予定」を組む
(上記参考及びカギカッコと枠内引用元:リクナビNEXTジャーナル|生産性10倍に?!「シングルタスク」に切り替える方法 太字は編集部が施した)
一般的な事務職の日常業務(勤務時間:9:00〜17:00)を想定した具体例をご覧ください。
1. 「平均的な」タスクを書き出す
上記の例では「議事録を書きながら新着メールをチェックする」といったマルチタスクが散見され、業務に統一性もなく、いかにも集中力が散漫になりそうです。
2. 類似タスクごとに「グループ分け」をする
続いて上記の日常業務のなかで類似するタスクを下記のようにグループ分けします。今回は、【メール対応】【文書作成】【資料管理】の3つに分類できました。
3. 類似タスクを「同じ時間帯」に予定する
最後に、グループ分けした類似タスクを同じ時間帯に予定します。
「メール対応をする時間帯」「文書作成をする時間帯」を定め、ひとつひとつの作業に集中できるよう組み替えることができました。
なお、前出の本の著者は、メール送信は「出社時」「昼休み前」「退社前」の20分×3回に制限することを勧めています。
マルチタスク状態であったスケジュールをシングルタスクに変えたことで、次のように業務を改善することができます。
- 1日中メールの処理に追われて時間と労力を消耗することを防げる
- 文書をスピーディーに仕上げられる
- 集中力が持続しミスややり直しを防止できる
- 残業時間が減る
「頑張って働いているのになぜ仕事が遅いのだろう……」とお困りなら、一度日常業務を見直してみてはいかがでしょう? 1点集中型のスタイルにチェンジすれば、仕事の効率化が叶うはずです。
***
頭の回転が速い人のように、手を動かしてイメージを絵に描き、マルチタスクをシングルタスクに切り替えて、思考スピードを上げていきましょう。
池田義博|人生が変わる 大人の独学記憶術
STUDY HACKER|記憶力がいい人は「2つの記憶」を使い分けている――どういうことか “記憶のプロ” に聞いてみた
リクナビNEXTジャーナル|生産性10倍に?!「シングルタスク」に切り替える方法
STUDY HACKER|「頭の回転が速い人」と「遅い人」は結局何が違うのか? 脳科学者に聞いてみた。