ネガティブ思考から脱出したい? AIと実践する『5コラム法』が画期的

思考が明るくなる様子を表現した画像

「物事をつい悪いほうに考えてしまう」

「思い込みが強いために視野が狭くなってしまい、ストレスをため込みやすい」

そんな思考パターンが続くと、心も体も知らず知らずのうちに疲弊していきます。

ただ、忙しい毎日では誰かに相談する余裕も、自分の気持ちを丁寧に振り返る時間もなかなかとれないのが現実ではないでしょうか。

そこで活用したいのが、生成AIを使った「思考の棚卸し」です。

ChatGPTなどの生成AIは、情報収集や業務効率化だけでなく、自分の感情や思考を整理するツールとしても効果を発揮します。

この記事では、ネガティブ思考から一歩引き、自分の「考えグセ」を見直すためのAI活用術をご紹介します。

5コラム法×ChatGPTで思考の棚卸し

「腹が立って仕方なかったけれど、あそこまで怒らなくてもよかったかもしれない」

そんな後悔があるとき、思考や感情の流れを「可視化」することで、感情に飲まれすぎない冷静な視点をもてるようになります。

そこで有効なのが、心理学で用いられる「5コラム法」です。

以下の5ステップで構成されており、思考を整理し、感情の過大評価を防ぐのに役立ちます。

感情の過大評価を防ぐ「5コラム法」

  1. 出来事
  2. そのときに生まれたネガティブな考えと、その考えの確信度(%)
    →全く信じない0%、半信半疑50%、確信100%で表す
  3. そのときの感情とその強さ(点)
    →最大100点
  4. ほかの考え
  5. ほかの考えを見つけたあとの感情とその強さ(点)、気づき

*1を参考に筆者がまとめた

千葉大学大学院医学研究院教授の清水栄司氏は、コラム法は「自分が悩んでいる、あるいはストレスに感じている出来事に続いて、感情、考えなどの項目を記入していくことで、柔軟さを身につけること」を目的とするもので、ストレスの軽減につながると述べています。*1

たとえば、資格試験に不合格となり、気分が落ち込んだとしましょう。

このときの感情を5コラム法で棚卸しすると、次のようになります。

「5コラム法」で感情の棚卸しをした例

  1. 寝る間を惜しんでまで頑張った資格試験に落ちてしまった
  2. あれだけ頑張ったのに、徒労に終わった。確信度:80%
  3. 落胆80点、徒労感80点、悔しさ50点
  4. 努力の方向性を間違えていたのなら、合格の余地はある
  5. 落胆40点、徒労感30点、悔しさ50点+前向きな気持ち60点。失敗したことで現状を分析できた。勉強のアプローチを変えてみよう。

このように思考を整理しながら感情の変化を数値でとらえると、気持ちの揺れや回復にも目を向けやすくなるでしょう。

そして、「努力の方向性を間違えていたなら、次はこうしてみよう」と考えられるようになり、感情の棚卸しが前向きな行動へとつながります。

星が5つあり、5つ目の星を虫眼鏡で見る表現をした画像

しかしこれを紙に書き出すとなると、場所やタイミングがネックとなり、実践が難しい場合もあるかもしれません。

そこでおすすめなのが、生成AIの活用です。

生成AIに次のように指示し、記録してみるのです。

ChatGPTに指示を出したプロンプト

ChatGPTに指示を出したプロンプト

生成AIであれば、スマートフォンアプリを使って、時間も場所も気にせずにすみます。

また次のように、感情の変化をグラフ化して視覚的にとらえやすくすることも可能です。

筆者の感情の変化をグラフ化してもらった

感情の変化をChatGPTがグラフ化

このように感情の変化が可視化されると、気持ちが前向きになることを実感できます。

生成AIを用いた数値化や図式化による「感情の可視化」は、冷静な判断を取り戻す第一歩となるでしょう。

ChatGPTは「内省の相手」になる

自分の思考をうまくまとめられなかったり、出来事を別の視点からとらえたいと思ったときにも生成AIが役立ちます。

その場合、次のように相談できます。

出来事を別の視点からとらえるよう指示した

自分だけでは5コラム法で思考を整理できないと相談した

自分の感情を言語化できないとChatGPTに伝えると、感情表現をいくつか提案してくれました。

ChatGPTが感情の表現の仕方を提案してくれた

ChatGPTが感情の表現の仕方を提案してくれた

これをもとにして、当てはまる感情があれば点数化してみます。

ChatGPTが提案してくれた感情のうち、当てはまるものとその点数を記入

ChatGPTが提案してくれた感情のうち、当てはまるものとその点数を記入

これで5コラム法のステップ3が完了です。

ステップ4に進むにあたり、例を用いて別の視点も提案してくれるので、思考の手助けになりました。

ChatGPTがほかの視点も提案してくれた

ChatGPTがほかの視点も提案してくれた

筆者の「気づき」に寄り添ってくれるChatGPT

筆者の「気づき」に寄り添ってくれるChatGPT

そして最後に、ステップ5の感情の変化や気づきへと導いてくれました。

筆者の感情の変化や気づき

筆者のネガティブ感情の変化を整理してくれた

筆者の感情の変化や気づき

筆者の新たに生まれた感情や気づきをわかりやすく整理してくれた
※実践画像はすべて筆者が作成した

もし生成AIが提案してくれた内容がしっくりこないなら、その気持ちをそのまま打ち込んでみましょう。

さらに別の視点から、思考を広げる手助けをしてくれるはずです。

パソコンの画面を見るビジネスパーソン

このように、やりとりのなかで言葉にならない気持ちを言語化できるようになるのが、生成AIを内省の壁打ち相手とする強みです。

まるでメンタルトレーナーと一緒に棚卸しをしているかのように、自分の思考を見直せます。

ネガティブな感情に悩まされたら、5コラム法×生成AIで思考の棚卸しをしてみませんか?

自分でも驚くような気づきが得られ、思考のクセが少しずつ変わっていくはずです。

変化は小さくても、その積み重ねが、ストレスに振り回されない自分をつくっていきます。

オフィスで立っているビジネスパーソン

ひとりではたどり着けなかった視点へ

5コラム法×生成AIで感情を棚卸しし可視化することで、視野が広がりネガティブな感情に飲み込まれにくくなります。

臨床心理士の藤本志乃氏も「思考や感情を外在化し、整理するだけでも気持ちがすっきり」すると述べています。*2

つまり、頭の中にある思考や気持ちを言語化して外に出すことが、冷静さを取り戻すきっかけになるのです。

とはいえ、こうした気づきをひとりで得るのは簡単ではありません。

だからこそ、生成AIの活用が有効なのです。

他人には話しにくいことも、AIであれば気兼ねなく言語化でき、相手の反応を気にせずに感情を整理できます。

実際、医療・教育・企業の現場でも、生成AIをメンタルケアに活用する動きが広がっています。*3を参考にした

5コラム法を生成AIと組み合わせて実践することで、ひとりではたどり着けなかった視点を得たり、整理しづらかった感情に名前を与えることができるようになります。

それは、思考のクセに気づく第一歩であり、自分自身と向き合うための有効な手段となるでしょう。

こうした習慣を通じて、感情に振り回されず、前向きな選択ができる「ストレスに強い自分」へと変化していくことができるはずです。

パソコンを持ち、窓辺に立つビジネスパーソン

***
5コラム法×生成AIで、自分の「思考のクセ」に気づいてみませんか? 感情や思考を整理する習慣を取り入れることで、自分の気持ちに振り回されず、前向きな行動を選びやすくなります。その小さな変化の積み重ねが、ストレスに強くなるための土台となっていくはずです。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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