
「行動力を上げたい!」と思って、さまざまなノウハウを取り入れてはみるものの、なかなか動けない……。
行動できない原因は、意志の弱さではありません。その背景には、あなた自身の「思考のクセ」があるのかもしれません。
誰もがもつ「つい、こう考えてしまう」という認知の傾向(思考のクセ)は、その偏りが強いほど行動のブレーキとなっています。
しかし、この思考のクセは、うまく使えば逆に「行動の質を上げる」ことにも使えます。本記事では、思考のクセを客観視する方法と、それを武器に変えるヒントを紹介します。
行動できない原因は「思考のクセ」にある
誰にでも「いつも、ついこう考えてしまう」という思考のクセ。これまでもSTUDY HACKERでは「完璧主義」「人を気にしすぎる」といった思考のクセが、いかに行動を抑制してしまっているかを紹介してきました。
たとえば——
【思考のクセ】「完璧にしなければ!」という意識が強すぎる
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【結果】「準備が不完全なまま始めても効果が出ないのでは?」と感じ、スタートできない
【思考のクセ】他人の評価を気にしすぎる
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【結果】「バカにされたら恥ずかしい」と、アウトプットできない
思考のクセがあると、どんなに効果的なテクニックを取り入れても、すべて上滑りしてしまいます。
ここから脱するためには、まず、自分の思考のクセを客観視することがとても大切です。
認知行動療法でも、過剰に偏っている思考を、書き出して客観的に観察し、修正するという技法が取り入れられています。*1
【行動できない原因チェック】あなたはどのタイプ?

では、自分にはどんな思考のクセがあるのかチェックしてみましょう。
思考のクセは、大きく分けて以下の3タイプに分類できます。
徹底的に準備しておきたい!過剰準備型
☐ 情報を集めすぎて決断が遅れる
☐ 「念のため」と言ってリサーチや確認作業を延々と続ける
☐ どんなことにも備えたいので、着手前に「完璧な計画」を立てようとして時間を使いすぎる
☐ 「もしこうなったら?」といろんな失敗パターンが浮かび、バックアップを用意せずにはいられない
絶対に成果を出したい!完璧主義型
☐ やるからには絶対に成果を出したい
☐ 時間や労力を無駄にしたくない
☐ 小さなミスでもショックを受け、自分を責める
☐ 高い基準に縛られ、スピードより精度を優先しがち
まわりからの評価が気になる!他人基準型
☐ 他人の期待に沿うことを優先し、自分の気持ちは後回し
☐ バカにされる、恥ずかしい思いをするのがなによりも嫌
☐ 「評価されるかどうか」を過度に考える
☐ 過剰に周囲に気を配り、同調しがち
まずは、自分がどのタイプに近いかを意識するだけでも、行動できない理由が見えてきます。
次項では、タイプ別の対処法を紹介します。
行動できない原因を「武器」に変える方法

行動できない原因となる思考のクセ。完全に直すのは難しいですが、視点を変えるとそのクセには「良さ」もあります。「治すよりも利用する」が、クセとの正しい向き合い方です。
過剰準備型▶「チェック」と「改善」で発揮する
過剰準備型のいいところは、細部まで丁寧に見られることとリスクを事前に想像できること。活かし方のポイントは、PDCAのC(チェック)とA(改善)のフェーズで「入念さ」を発揮することです。
過剰準備型のバリュー=丁寧で入念な思考
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PDCAの「Check」と「Action」で意図的に使え
たとえば、作業の途中で小さな抜け漏れをチェックしたり、試作品をつくって問題点を洗い出したりする場面では、この力が大きく役立ちます。
過剰準備型の行動が止まる理由は、「もっと情報が必要」「準備が足りない」と感じやすいから。
しかし、現代のように変化が速い時代では、どれだけ調べても完璧に準備できることはありません。
対処法として、メンタルコーチの大平信孝氏は「仮決め仮行動・軌道修正」をすすめています。*2
まずは時間を決めて情報収集し、その範囲で「いったん、こっちへ進む!」と方向性を仮決めすること。こうすることで、最初の一歩をスピーディーに踏み出しやすくなります。
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完璧主義型▶仕上げ段階で発揮
完璧主義型のバリュー=「品質へのこだわり」と「基準の高さ」
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仕上げの段階でこだわりを発揮すること
完璧主義型がつまずく大きな理由は、「100点を取れないなら着手する意味がない」と極端に考えているから。
精神科医の西脇俊二氏は、合格点を100点から50点に下げることをすすめています。*3
まずは50点でOKとし、「とりあえずたたき台をつくろう」と考えることが、行動力につながります。
完璧主義型は「品質へのこだわり」と「基準の高さ」が特徴ですから、発揮するのは最後の仕上げの部分でOK。
まずはすばやく50点のたたき台をつくり、そのあと締切までじっくりこだわり抜けばいいのです。この順番にするだけで、早くスタートできるようになり、行動の質も向上します。
他人基準型▶気配りの対象を変える
他人基準型のいいところは、「相手の気持ちを読む力」と「適切に気を配る力」。
活かし方のポイントは、「気を配る対象」を「他者」ではなく「行動内容」に向けることなんです。
他人基準型のバリュー=周囲への「洞察力」と「気配り力」
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行動の結果、メリットを享受する人のことを考える
たとえば、ものづくりを始めたのなら「どう工夫すれば、たくさんの人が使いやすい設計になるか?」「どんなふうに発信すれば、欲しい人に届くだろう?」——「人の目が気になる」という特徴は、このように「自分の行動の結果、誰が喜ぶのか」を考えるようにすれば、ほかにはない強い武器になります。
他人基準型の行動が止まる理由は、「評価されない=致命的な失敗」だと無意識に思い込んでいるから。
対処法として、精神科医の本田秀夫氏は「嫌われたとして、どんな損があるか?」を考えることをすすめています。*4
冷静に考えてみると、まわりに変に思われても、自分の生活に影響しないことのほうがほとんどです。
「現実的になにか影響があるのか」を一度考えることで、過剰な恐れがスッと弱まり、行動のハードルが下がります。
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行動できない原因の多くは、意志の弱さではなく「思考のクセ」にあります。
まずは自分のタイプを知ること。次に、そのクセが「武器になる場面」で意図的に使うこと。そして、ブレーキになりそうな場面では、改善ポイントで軌道修正すること——この3ステップで、行動できない原因だった思考のクセは「弱点」から「強み」に変わります。
よくある質問(FAQ)
- Q. 行動できない原因は性格の問題ですか?
- A. 性格というより「思考のクセ」の問題です。過剰準備型・完璧主義型・他人基準型の3タイプがあり、クセの使い方を変えることで改善できます。
- Q. 3つのタイプに複数当てはまる場合はどうすればいい?
- A. 複数当てはまるのは普通です。まずは「最も強く出ているタイプ」から対処し、ひとつずつ改善ポイントを試してみてください。
- Q. 思考のクセは直さないといけませんか?
- A. 直す必要はありません。各タイプには「強み」があり、活かす場面を選べば武器になります。大切なのは「使いどころ」を変えることです。
*1 日経バイオテクONLINE|認知行動療法(CBT)
*2 東洋経済オンライン|「不安なのに何もできない人」が陥っている状態
*3 プレジデントオンライン|繊細な人ほど「完璧主義の罠」にハマっている…精神科医が指摘「実力があるのに仕事で行き詰まる人」の共通点
*4 ダイヤモンド・オンライン|【精神科医が教える】「人にどう思われているか」を気にしすぎてしまう人が、ラクになる方法【書籍オンライン編集部セレクション】
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。