
「やるべきことを書き出してみたら、タスクの多さとゴールまでの遠さに圧倒され、逆にやる気がなくなってしまった……」
「そもそも初めてのチャレンジだから、どれくらい時間がかかるか読めず、計画の立てようがない……」
じつはこれ、少し前の筆者の悩みです。目標に向かって一歩を踏み出そうとするたび、計画の段階で行き詰まってしまう。同じところでつまずいている人は、筆者だけではないかもしれません。
そこで試してみたのが、計画を立てるタイミングをズラすというアプローチ。本記事では、筆者が実際にやってみて効果を実感した「変速3ステップ計画術」を、実践のノートとともに紹介します。
圧倒されない「変速3ステップ計画術」とは?
「変速3ステップ計画術」とは、最初は見切り発車でスタートし、自分のペースをつかんだうえで、あらためて計画を立てる、というアプローチです。
筆者がノート1冊で試してみたところ、実感できた効果はおもに以下の3つ。
✓ 「計画を立てただけで満足して終わる」いつものパターンに陥らず、初日から手が動いた
✓ 初めての挑戦だったのに、自分の「リアルな作業ペース」に合った破綻しない計画が立てられた
✓ 終盤に締め切りを置いたことで、いつも失速していた「中だるみ」の時期を走り抜けられた
目標を達成するための計画で足を引っ張られるのは、本末転倒。うまくいったのは偶然ではなく、それぞれのステップには科学的な裏づけもあります。一般論としての根拠は、各ステップの「この方法が効く理由」で添えていきます。
「変速3ステップ計画術」は、こんな人におすすめ!
☐ 計画を細かく立てた瞬間、タスクの多さに圧倒されてやる気が失せる
☐ 締め切りがないと、ついダラダラして途中で放り出してしまう
☐ 初めて挑戦するので、自分がどれくらいのペースで進められるかわからない
☐ 「計画通りに進まないこと」へのストレスや自己嫌悪が強い
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【実践】「変速3ステップ計画術」の書き方
ここからは、「変速3ステップ計画術」の具体的な手順を紹介します。用意するのは、ノート1冊です。
ステップ1 思いついた作業から始める
まずは、「いますぐできそうな作業」を、思いつく順にノートにメモします。多くても5つ程度でOKです。それをとっかかりに、作業をスタートしましょう。
筆者が実際に書き出したメモが、こちらです。

💡 ポイント この段階では、締め切りや詳細なToDoリストはつくらないこと
作業をしたら、ノートに「やったこと」と「かかった時間」を記録していきます。
「やったこと」は、最初にノートにメモしたタスクにチェックを入れるだけでもOKです。
たとえば筆者は、こんなふうに記録していきました。

この段階では、うまくいかなくても、進みが遅くても気にしません。筆者も最初は進みの遅さが気になりましたが、ただ事実を記録することだけに集中しました。
この方法が効く理由
実際に作業を始めることで、脳の側坐核(そくざかく)を含む報酬系回路が刺激されます。神経科学の研究では、この部位のドーパミンが行動の開始や継続に深く関わっていることが示されており、とにかく動き出すことでやる気(作業興奮)があとからついてくると考えられています。*1
ステップ2 自分のペースを把握する
ステップ1でログを取るうちに、「自分が集中しやすい時間帯」と「実際の所要時間」が見えてきます。それこそが、いまのあなたのライフスタイルに合った「リアルな作業ペース」です。
このデータをもとに、ここからは作業ペースをルーティン化していきましょう。
ノートに「作業する時間帯」と「目標とする所要時間」を書き出します。できるだけこのマイルールに沿って作業を続けていきます。
筆者が決めたマイルールが、こちらです。

この方法が効く理由
人間には、過去に似たタスクで失敗した経験があったとしても、新しいタスクにかかる時間を短く見積もってしまう「計画錯誤」という傾向があります。だからこそ、想像だけで計画を立てるのではなく、ログをとるなど、客観的に自分のペースを把握したうえで計画を立てることが大切なのです。*2
ステップ3 締め切りをつくってブーストをかける
筆者の場合、ステップ2まで進むと、新しく始めた挑戦が少しずつ生活に馴染んできた実感がありました。しかし同時に、初期の新鮮さが薄れ、「中だるみ」による失速の気配も感じ始めました。
その中だるみを打破する強力なカンフル剤となるのが、「締め切り」の設定です。
つまり、このタイミングで初めて計画を立てるわけです。
- ノートに「目標」と「達成に必要なタスク」を書き出す
- ステップ2のリアルなペースから、必要な時間を算出して「締め切り」を設定する
この締め切りは、実際のペースに基づいているため、実現可能性が極めて高いのが特徴です。筆者も計画倒れに怯えることなく、締め切り効果を味方につけてゴールまで一気に走りきることができました。
筆者が立てた計画が、こちらです。

💡 ポイント 目標が大きい場合は、途中に「中間ゴール」を設定するのがコツ
この方法が効く理由
「目標勾配効果」という心理現象をご存じでしょうか。人はゴールに近づくほど、努力量や意欲が高まるというものです。実際の店舗のポイントカードを用いた研究でも、ポイントがもう少しで溜まる客ほど来店頻度が上がることが確認されています。締め切りを定めてゴールを明確にすることで、この効果が働きやすくなると考えられます。*3
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計画を立てるタイミングをズラす。たったそれだけで、計画嫌いだった筆者も、計画を味方につけることができました。「計画を立てることが苦手」と感じているなら、「変速3ステップ計画術」を試してみませんか?
よくある質問(FAQ)
Q. 変速3ステップ計画術は、どんな人に向いていますか?
Q. 自分のペースはどれくらいの期間で把握できますか?
Q. ノート以外(アプリなど)でも代用できますか?
*1 Salamone, J.D., & Correa, M. (2012), "The Mysterious Motivational Functions of Mesolimbic Dopamine," Neuron, Vol.76, No.3, pp.470-485.
*2 Buehler, R., Griffin, D., & Ross, M. (2010), "The Planning Fallacy: Cognitive, Motivational, and Social Origins," Advances in Experimental Social Psychology, Vol.43, pp.1-62.
*3 Kivetz, R., Urminsky, O., & Zheng, Y. (2006), "The Goal-Gradient Hypothesis Resurrected: Purchase Acceleration, Illusionary Goal Progress, and Customer Retention," Journal of Marketing Research, Vol.43, No.1, pp.39-58.
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。