勉強・仕事の効率が爆上がりする作業スペースは “この4つ” で作れた

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「図書館やカフェなどであれば仕事や勉強が捗るけれど、家だとなぜか集中できない」なんてお悩みを抱えている人はいませんか?

このような悩みは、デスク周りのレイアウトを変えたり、置く物にちょっとした工夫を加えたりすることで、改善することができます。

ぜひ、この記事を参考に、作業効率の上がる快適なデスク環境を整えてみてくださいね。

デスク環境を整えることが大切な理由

これまで、自分のデスク環境について「あまり意識していなかった……」という人が多いかと思います。しかし、じつはデスク環境は、仕事・勉強の効率に大きく影響するのです。

それを証明するのがサルフォード大学の研究。同研究では、7つの学校の34の教室、751名の生徒らが対象となり、彼らが学習する教室が以下6つの項目で審査されました。

  1. 色:壁や家具に学習意欲や気分を上げる色が使われているか
  2. 所有感:「ここは自分たちの教室だ」と感じさせる要素があるか(たとえば、自分たちの作品が展示してある、ひとりひとりのロッカーがある、机の座り心地が良い、など)
  3. つながり:生徒が学校の一員であり、ほかの生徒たちとのつながりを感じられること(たとえば、設備が自分にとって使いやすいと感じられるか)
  4. 内装のバランス:シンプルすぎず、ごちゃごちゃしすぎず、ほどよく調和しているか
  5. 柔軟性:授業の内容によって教室のレイアウトが変えられるか、など
  6. 光:使われている電気や、窓から差し込む光がほどよい明るさかどうか

対象となったすべての教室の中で、【最もよい環境づくりができていた教室】と、【最も勉強に適していない環境になってしまっていた教室】で、勉強した学生たちを比較したところ、1年間の学習進捗に、なんと “25%” もの差が生まれていたそう。

「環境がよいほど勉強が捗る」ということが研究で証明されているのです。これは仕事にも通じることでしょう。

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自宅のデスク環境を改良して、集中できる空間を作る方法

家で仕事・勉強をするのが難しいと感じる人は、デスク周りの環境が整っていないことがひとつの要因になっているかもしれません。どのように改良するべきか、以下で4つのポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1. 散らかった机は脳の情報処理能力を低下させる

デスクが散らかっているという人はすぐに片づけたほうがいいかもしれません。

プリンストン大学が学会誌『The Journal of Neuroscience』で紹介した研究によると、散らかった場所で作業をすると、整理整頓された場所で同じことをした場合に比べ、集中力が低下し、情報処理能力が下がるそう。

研究では、fMRI(磁気共鳴機能画像法:脳活動を調べる方法)を使い、被験者がタスクを行なう際の脳の動きを調べました。その結果、散らかった部屋で作業を行なうのと、整理整頓された部屋で行なうのとで、脳の動きに大きな差が出たのです。最大限に自分の能力を活かし、脳の情報処理を正常に働かせるためには、仕事環境を整理整頓する必要がある、ということが判明しました。

さらに、そうすることで生産性が上がる・イライラしにくくなる・集中力が切れる頻度が少なくなるという利点もあるのだとか。心当たりのある人は、机の上を片づけることから始めてみるのがいいかもしれませんね。

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2. デスクに植物を置くことで注意力アップ

ノルウェー大学の研究によると、机の上に植物を置くことで、働く人の注意力が上がるそう。

研究では、被験者らを【花や観葉植物の飾られたオフィス空間でテストを受けるグループ】と、【何も飾られていないオフィス空間でテストを受けるグループ】のふたつのグループに分け、注意力が必要なテストを続けて受けてもらいました。

すると、【植物の飾られた空間でテストを受けたほうのグループ】は、1回目よりも2回目のほうが成績が上がり、【植物のない空間でテストを受けたほうのグループ】は、特に変化がなかったのだとか。

この結果を、研究者らは、植物には注意力を回復させる力があると評価しています。注意力を必要とする作業をすると、脳は疲れ、休憩が必要になります。休憩では、睡眠をとることが理想的ですが、眠ることのできない環境の場合は、何か関係ないものに接したり、ボーッとしたりすることが有効だそう。そこで、植物を眺めることがそれに値するのではないかと、研究者らは考察しているようです。

ミスが多いことに悩んでいる人や、注意力が散漫になりやすい人は、植物を買ってきて机の上に置くのがオススメですよ。

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3.「香り」でストレスを和らげ、志気を高める

先の見通しが立たない現状に不安を抱えている方や、外出ができなくてストレスがたまっている方は多いのではないでしょうか。ストレスは、脳の大脳辺縁系という、私たちの「気分」を作り出す大事な箇所にダメージを与えてしまいます。

気分が落ちてしまっては当然、仕事や勉強に身が入らないでしょう。そういうときにおすすめなのが、アロマなど香りのいいものを嗅ぐこと。五感の中では、嗅覚が唯一、大脳辺縁系と直接つながっています。そのため、香りは大脳辺縁系を刺激し、脳を活性化するのに役立つのです。

また、香りには、物事を秩序立てて考える力・創造する力・やる気を起こすのに重要な前頭葉にも刺激を与えます。「考えることが面倒くさい」と感じたときや、モチベーションが低いときに役立つでしょう。

手軽に香りを取り入れる方法としては、机にアロマキャンドルや、アロマオイルを置くのがおすすめですよ。

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4. スマートフォンを机に置くのはNG

常に、手元にスマートフォンを置いておく習慣がある人は要注意。仕事や勉強の最中にスマートフォンを操作したり、通知が鳴るたびに気になったりすると、マルチタスキングにつながり、認知機能や記憶力の低下を招いてしまいます。

東北大学加齢医学研究所の所長である川島隆太氏によると、多くの論文で、学生たちが勉強中にインスタントメッセンジャーを使うことが、成績が低い・注意散漫になりやすい・読解力が低いなどネガティブな結果につながっていることが報告されているそう。何かをしながら、同時にインスタントメッセンジャーを利用することで、マルチタスキングが発生し、学力低下につながってしまうのだとか。

さらに、川島氏によると、いくつかのメディアを同時にマルチタスキングする(たとえば、Twitterを操作しつつ、LINEでメッセージを送受信するなど)若い人たちに、認知機能・社会性・記憶力の低下などの悪影響が生じるという論文が多くあるそうです。

スマートフォンを使うのをやめるべきとまでは言いませんが、デスクで仕事・勉強をしている間は、違う部屋に置いておいたほうがいいでしょう。

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実際にデスク周りを整えてみた

実際に筆者が、ご紹介したいくつかの「デスク周りの改善方法」にならって、自分のデスク環境を改良してみました。

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まず、こちらが改良する前のデスクです。動画を観るタブレットや、化粧品など、仕事に関係のない物を置いていました。飲みかけのコップなどは終日置いたままのときもあります。

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こちらが改良後のデスクです。最初のステップとして、パソコン以外は仕事に必要ないので、すべて片づけました。

植物が注意力アップにつながるとのことでしたので、リビングに置いていた花瓶をデスクに持ってきました。観葉植物のほうが望ましいのかもしれませんが、あまり日当たりのよくない家なので、花で代用しています。

次に、ベッドルームに置いていたディフューザーをデスクに移動させ、仕事中にアロマオイルを楽しめるようにしました。そして、動画を観たりSNSをブラウジングしたりするためのタブレットとスマートフォンは、仕事中に気になってしまうので、机から一番遠いキッチンに置いておくことにしました。

やってみた感想

デスク周りを整えた状態で、何日か仕事をしてみたところ、かなりの効果を感じることができました。まず、物が少なくなったことで、カフェや図書館で作業をしているときのような「ここでは仕事以外何もしないぞ」というスイッチが入ります。

連続して数時間デスクに座っていると、頭の働きが鈍くなってくるのですが、一度作業を止めて花を眺めていると、疲れた頭がリセットされる感覚がありました。また、アロマディフューザーも気分を切替えてくれて、落ちかけたやる気が再び上がってきます。

最も効果が高かったのが、机にタブレットやスマートフォンを置くのをやめたことです。同じ部屋に置いているだけでも通知などが気になるので、違う部屋に置き、意識から排除したことがよかったと思います。普段、無意識に気になってしまい、それによって時間や脳のエネルギーが奪われていたのかもしれません。

今後も継続して、デスク環境を整えていきたいと思います。

***
家で仕事や勉強をすることを難しいと感じている方も、机周りを整えれば、カフェや図書館のように仕事モード・勉強モードになるのを助けてくれるかもしれません。ぜひ、実践してみてくださいね。

(参考)
WIRED.jp|「教室の設計が成績に影響」を実証
Research Gate|The impact of classroom design on pupils’ learning: Final results of a holistic, multi-level analysis
Unclutter|Scientists find physical clutter negatively affects your ability to focus, process information
NCBI|Interactions of top-down and bottom-up mechanisms in human visual cortex
Fast Company|Want to be more productive? Buy some desk plants
Science Direce|Benefits of indoor plants on attention capacity in an office setting
健美家|脳を活性化させる「 色 」と「 香り 」を生活に取り入れてみよう
東洋経済Online|スマホを捨てれば子どもの偏差値は10上がる

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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