
仕事がちっとも片付かない。時間もちっとも足りない。スケジュール通りに仕事が進まない。
そう悩んでいる人はいませんか。筆者もそうです。
筆者は、ライター・編集の仕事のほか、デザイン、企画(企画書作成)などの仕事もしているのですが、ライティングやデザインの仕事はノッてくるまでに時間が掛かったり、逆にノッてしまうと、途中で止めると仕事の質が下がることもあったりで、マネジメントに苦労していました。時間がズルズルと後ろにズレていってしまうのですね。
時間管理術、タスクマネジメント法は、これまでもいろいろ試してきました。しかし、どれもしっくり来ないというか、いい効果が得られないまま経つこと数年。ところが最近、あるツールを投入したところ、なんだかうまく仕事がこなせるようになってきました。
それはタイマーです。
「えー? いまさら?」と言われそうですが、思わぬ効果もあったんです。
具体的には、タスクを細かく区切り、そのつどタイマーで時間を予測しながら仕事を進める、という方法です。どんなやり方をしたのか、仕事がうまく回るようになった喜びとともにお伝えします。
- やっていることは「タイマーを回す」だけ。タイムブロッキングとの違い
- なぜ時間の見積もりが甘くなるのか。タイマーが「計画の錯誤」を防ぐ仕組み
- 物理タイマーとスマホタイマー、どちらがいいか
- よくある質問(FAQ)
やっていることは「タイマーを回す」だけ。タイムブロッキングとの違い
やっていることは単純というか、「そんなことだけ?」というくらい、簡単なことです。原稿にするのも恥ずかしいくらい。
これだけ。すでにやっている人もいるかも? でもちょっと違うところもあるのです。
ポイントは(1)「タスクを適度なサイズに切り出すこと」と(2)「時間を予測すること」の2点です。
(1)タスクを適度なサイズに切り出す
タイムブロッキングは、皆さんも試していることでしょう。「9時~12時 STUDY HACKERの業務」というやつ。筆者もこれまでも、今でも基本的にタイムブロッキングしています。
ただ、このブロックの中身が、じつはずっとぼんやりしたままだったんです。「業務」と書いてあるだけで、中で何をどう進めるかは決めていなかった。それがそもそものつまずきポイントだったと、後になって気付きました。そこで、このタイムブロッキングの中身を、さらに細かくしていくことにしました。
例)
9時~12時 STUDY HACKERの業務
↓
9時~9時40分 STUDY HACKERのネタ出し
場合によっては、このタスクをさらに細かくしていきます。
例)
9時~9時40分 STUDY HACKERのネタ出し
↓
9時~9時20分 inoreaderでニュースチェック、ピックアップ
9時20分~9時40分 ネタになるよう肉付けする
「適切なサイズ」というのは、「小さすぎず、それなりのカタマリになる大きさ」または「仕事として成立する最小単位」というニュアンスです。あまり小さすぎると「2分ルール」で片付けたほうが早くなる。そこまでは小さくしないのがポイントです。

(2)時間を予測する
上記のように細分化した仕事を、終わらせるまでにどれくらい時間が掛かるのかを自分で予測します。たとえば上述の「inoreaderでニュースチェック、ピックアップ」の場合、仮に20分と予測しているわけです。これをタイマーに設定し、タスクをスタートします。
これ、本当に効果あるの? と思うかもしれませんが、確かに変化がありました。何が変わったのか、どんな効果があるのでしょうか。
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なぜ時間の見積もりが甘くなるのか。タイマーが「計画の錯誤」を防ぐ仕組み
無意識のタスクが可視化・言語化される=管理しやすくなる
ひとつは、タスクの細分化と再定義をするようになったことです。
上述の「ネタ出し」にしても、細かく見ると「ニュースチェック」と「ピックアップ」、「ネタへの転化」という作業があります。原稿書きにしても、「ざっくり構成を決める」「粗く書く」「ブラッシュアップする」という段階がありますが、慣れているために、無意識で、分割せずにやるのが当たり前になってしまっていたのですね。
これを意識的に細分化し、タスクとして定義し直しているわけです。
タイムブロッキングで仕事が回らない理由を考えたときに、扱っているタスクがぼんやりしていることに気が付いたことから思いついた手法ですが、これがよく効きました。
可視化できる・言語化できるということは、マネジメントできるようになる、ということです。

デザインの仕事にしてもタスクが細分化されたので区切りが付けやすくなり、「終わらない」ということが減りました。言語化されていないタスクを意識的に行うことで、仕事の質も向上しています(と信じたい)。
じつはこれ、仕事を極限まで小さくするタイニーハビットや、やるべき仕事をリスト化していくGTD(Getting Things Done)を組み合わせているようなものだと、後から気付きました。*1 *2
STUDY HACKERのライターなのに意識してやっていなくてお恥ずかしい。
ちなみに、大きな仕事をひとかたまりのまま考えるより、要素に分けて見積もったほうが精度が上がりやすい、という考え方が研究の世界にもあります。*3
言われてみれば当たり前。「原稿を書く」の見積もりなんて、そもそも解像度が粗すぎて予測しようがなかったわけです。
メタ認知が向上し、計画錯誤が減る
時間を予測し、タスクを実行する。結果との差分をチェックする。これを繰り返していると、自分の仕事の読みの精度が高まります。
心理学の世界では「計画の錯誤(プランニング・ファラシー)」と呼ばれるものがあります。「人は自分の作業時間を、だいたい甘く見積もりがち」という、誰もが持っているクセのこと。*4
筆者もまんまとこれで、実際、最初のうちは、予測した時間に終わることはほとんどありませんでした。
例)
ニュースチェック 9時~9時20分(20分)→結果 50分
読みが甘いというか、自分の能力を過信していたというか。
少なくとも筆者の場合、記録していくと、予測の1.5倍~2倍の時間が掛かっていることがザラでした。自惚れ屋はいかんです(もちろん筆者の場合、というだけで、みんながみんな1.5倍~2倍とは限らないと思います)。

それがわかってからは、だんだん時間予測が正確になり、想定した時間内にタスクをこなせるようになってきました。「悲観的に計画し、楽観的に実行する」という言葉がありますが、基本的に「自分はダメだ」と思って計画したほうが妥当なようです。
もちろん、想定した時間内に終わらせる努力はすべきです。むしろそのためにタイマーを設定しているまであるわけですから。にもかかわらず終わらない場合、それはタイムブロッキングが間違っているということ。その間違いを認識し、正しい計画、タイムブロッキングをするために、この手法は有効です。
物理タイマーとスマホタイマー、どちらがいいか
最後に使うタイマーについて触れておきましょう。
さまざまなものがありますが、個人的には「回すタイプ」のタイマーをおすすめしたいです。数字を入力するタイプのタイマーは、どうも気が削がれるというか、集中に引っかかる。スマホのタイマーなんてもってのほか。
ネットで探せば表示はデジタルでも回すタイプがいくつもありますが、筆者は電池を使うのが嫌なので、USB充電タイプのダイヤルタイマー(YAZAWA製)を購入しました。デザイン的には無印良品のダイヤル式タイマーにも惹かれたんですが、あちらはボタン電池なんですよね……。
クルッと回すと時間が設定でき、逆方向でもOK。メモリー機能も地味に便利。ただし、分と秒を区別して操作するのがうまくいかず、そこは微妙にストレスですが、秒は無視して考えるようにしています。
どうも筆者はデジタル嫌いでフィジカル信者の気がありますが、「回す」という動作が儀式となって、集中に入れるのはなかなかいいです。

そもそもこのタイマー生活が始まったきっかけは、仕事の見積もりではなく「休憩」でした。休憩に切り替えるタイミングでつい気が緩んで、休憩がズルズル長引いてしまう。それを防ぐために、休憩に入る瞬間にクルッと回すようにしたら、これが地味に効きました。ダラダラとサボるクセも直ってきました。
仕事の時間管理に発展したのは、正直言うと完全に副産物だったのですが、それは秘密です。
***
タスクに入る際にクルッと回す。それだけで、仕事の質が上がり、スケジューリングの精度も高まりました。タイム/タスクマネジメントに悩む人は多いでしょう。タイマーは、勉強や仕事の強い味方になってくれます。この記事が、タイマーをどう使うかのヒントになればうれしいです。
よくある質問(FAQ)
Q. 回すタイプのタイマーと、スマホのタイマーは何が違うのですか?
Q. なぜタスクを細かく分けると、時間の見積もりが正確になるのですか?
Q. 「計画の錯誤」とはどういう意味ですか?
Q. この方法は、タイムブロッキングをやめて置き換えるものですか?
*1: BJ Fogg, PhD|Tiny Habits
*2: GTD Japan|GTD®(Getting Things Done®)日本公式サイト
*3: Magne Jørgensen|Top-down and bottom-up expert estimation of software development effort
*4: The Decision Lab|Why do we underestimate how long it will take to complete a task?
蔵前直樹
ライター・編集者。書く仕事、デザイン、プランニング、時々農業、狩猟。デザイナー→カメラマン→ライター→編集者と転身してきた「多芸は無芸」「器用貧乏」を地で行くタイプ。STUDY HACKERで仕事を始めてから、全然関係のないフィナンシャルプランナー2級を取ろうと考えているあたり、全然懲りてない。