TOEIC対策だってAIにお任せ! ChatGPTで実現する、スコアアップ直結の学習術

ChatGPTで実現する TOEICスコアアップ直結の学習術について対談されたフランキー古江さんと時吉秀弥さん

2022年末のChatGPTの登場により、生成AIは多種多様な場面で急速に普及しました。もちろん、英語学習もその例外ではありません。ただ、生成AIの利用に慣れていなければ、具体的にどのようにすればいいのかわからないでしょう。そこで、TOEIC対策など明確な目的のある英語学習における生成AI活用術を、Udemy講座「使える英語を身につけるためのChatGPT入門講座」の講師であるフランキー古江さんが解説します。聞き手は、株式会社スタディーハッカー・コンテンツ開発室シニアリサーチャーの時吉秀弥さんが担当してくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/玉井美世子

【プロフィール】
フランキー古江(ふらんきー・ふるえ)
1991年生まれ、東京都出身。AI英語サロン代表。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。英会話経験がないまま米国アラバマ大学へ1年間留学し、英語学習における挫折を経験。帰国後、独学でTOEIC900点を達成し、米国公認会計士試験に合格。日系大手美容企業、外資系コンサルティングファームにて経営企画、経営管理、経理財務に従事したのち、独立。2023年1月、ChatGPTに衝撃を受け、仕事や英語学習での活用を開始。会計用語やプレゼン、趣味の茶道まで、実践的な英語を効果的に学べることに感激し、英語教育に革命が起こると確信して啓蒙活動を開始。現在は、「AI×英語学習」に関するノウハウや最新情報の発信、AIセミナーや研修への登壇といった活動のほか、Udemyにおいて「使える英語を身につけるためのChatGPT入門講座」の講師も務め、高い評価を得ている。【YouTube】AI英語サロン

時吉秀弥(ときよし・ひでや)
1968年生まれ、兵庫県出身。株式会社スタディーハッカー・コンテンツ開発室シニアリサーチャー。神戸市外国語大学英米語学科卒業。米国チューレン大学で国際政治を学んだのち、帰国。ラジオパーソナリティーという特殊な経歴を経つつ、20年以上にわたって予備校で英語も教えてきた。英語を教えるなかで独自の英文法観を築きつつあった頃、それが認知言語学に通じるものだと知り、東京言語研究所に入所。池上嘉彦東京大学名誉教授、西村義樹東京大学准教授(当時。現教授)、尾上圭介東京大学教授(当時。現名誉教授)、上野善道東京大学名誉教授らのもとで認知言語学、日本語文法、音声学などを学ぶ。2010年、同所で理論言語学賞を受賞。認知言語学に基づき英文法を解説したブログ「時吉秀弥の英文法最終回答」が、英語学習者から多くの支持を集める。舞台やラジオで実践的に培った「人に話を聞いてもらうとはどういうことか」の追求と、認知言語学の知見に基づく英文法の教授法を融合させ、日本人が「人を説得できる」英語を話すための方法論を開発する日々を送る。『英文法の鬼100則』(明日香出版社)、『英語脳スイッチ!』(筑摩書房)、『英語秒速アウトプットトレーニング』(Gakken)など著書多数。

とにもかくにも「プロンプト」こそが最重要

時吉 TOEIC対策など、目的に合わせて効率的に勉強をするには、生成AIをどのように活用すればいいでしょう。「TOEIC対策の長文問題」といった問題作成も可能なものですか?

フランキー 可能です。ただし、AIに与える指示や質問を意味する「プロンプト」をしっかり作成する必要があります。たとえば、「英語の問題をつくってください」だけでは、TOEIC対策として効果的な問題をつくってくれません。「TOEIC対策の長文問題」をAIにつくらせるなら、私であれば30行くらいはプロンプトをつくります。

「TOEIC Part7の長文問題を作成してください」と伝えたうえで、「何語程度の英文なのか」「選択肢は4つ用意してひとつを正解にする」といった設問の設定、「選択肢は明確で紛らわしくないものにする」といった難易度の設定などをしなければ、TOEIC対策として本当に有効な問題をつくることは難しいと思います。

時吉 フランキーさんの「使える英語を身につけるためのChatGPT入門講座」を拝見すると、まさにそうしたプロンプトがたくさん紹介されていました。受講生であれば、それらをコピペして自由に使えるということでしょうか。

フランキー もちろん使えます。参考として、「TOEIC Part7の長文問題」を作成するプロンプトを紹介しておきます。目的に合わせて必要な箇所を書き換えればプロンプトは使い回すことができますから、読者のみなさんにもぜひ活用してもらいたいと思います。

TOEIC Part 7 の長文問題を作成してください。
以下の手順に従い、適切な内容を自由に設定して問題を作成してください。

1. 文章の作成
a) ビジネスや日常的な話題に適した300〜350語程度の英文を作成してください。
b) 以下のいずれかの形式で作成してください:
- Eメール
- ビジネスレター
- 広告
- ニュース記事
- レポート
- お知らせ
c) 文章の語数を明記してください。

2. 設問作成
a) 作成した長文に基づいて、4〜5つの設問を作成してください。
b) 以下のタイプの質問を必ず含めてください:
- 主題や全体の要旨を問う質問
- 特定の情報や詳細を問う質問
- 文脈から推測される情報を問う質問
- 文章の構造や論理的つながりを問う質問
- (可能であれば)語彙や表現の理解を問う質問
c) 各設問には4つの選択肢(A, B, C, D)を用意し、1つの正解を設定してください。

3. 難易度と時間配分
a) 作成した問題セットの想定難易度(やさしい、ふつう、難しい)を記載してください。
b) 解答に必要な想定時間を記載してください。

4. 解答要求
問題文の最後に、「それでは回答してください。」と記載してください。

5. 日本語の解答と解説(ユーザーの回答後に表示)
ユーザーが回答後に、以下の情報を日本語で提供してください:
a) 各設問の正解を明記してください。
b) 各設問について、なぜその選択肢が正解なのか、詳細な解説を日本語で提供してください。
c) 誤答選択肢についても、なぜ不適切なのかを簡潔に日本語で説明してください。

このプロンプトに従って、適切な内容を自由に設定し、TOEIC Part 7の長文問題を作成してください。

プロンプトについて尋ねる時吉秀弥さん

生成AI初心者が押さえておきたいちょっとしたコツ

時吉 ほかにも、プロンプト作成について生成AI活用の初心者が注意すべきポイント、あるいはちょっとしたコツのようなものがあればぜひ教えてほしいです。

フランキー 初心者の人なら、先の例のようにコピペできるならともかく、自分でプロンプトを一から作成するのはもちろん難しいですよね。「このプロンプトできちんと問題を作成してくれるかな……」と不安を抱くこともあるでしょう。そうした場合、プロンプトの最後に次の一文を入れることが有効です。

出力が曖昧にならないよう、最初に私に質問してください。

すると、プロンプトの情報が足りていない場合には、生成AIの側から質問をしてくれますから、情報が足りないまま曖昧な出力をすることを避けられます

また、生成AI自身にプロンプトを修正させることも可能です。自分で作成したプロンプトの前に次のプロンプトを追加してください。

あなたはプロのプロンプトエンジニアです。
次のプロンプトは60点です。
100点にするために必要な修正点を書き出し、100点のプロンプトを作成してください。

これらを活用してChatGPTを使い倒せば、自作のプロンプトでも質の高い回答が得られるだけでなく、おのずと必要条件がわかってきてプロンプト作成力が身についていくはずです。

時吉 AI研究者のあいだでも、「AIに関わる問題、AIに関してわからないことは、AIに聞いて解決させる」という考えがあるという話を聞いたことがあります。このプロンプトは、まさにそうしたかたちの指示ですね。

ただ、生成AIについては、事実と異なる情報をあたかも事実であるかのように生成してしまう、いわゆる「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」の問題もとりざたされています。それを回避する方法もありますか?

フランキー 次の一文をプロンプトの最後に入れるのが有効です。

わからないことについては答えず「わかりません」と答えてください。

AIはわからないことでもなんとか答えようとしてハルシネーションが起きるため、このプロンプトが効果的なのです。

また、不安な場合はChatGPT自身に真偽を確認してもらいましょう。次のプロンプトを使うと、ウェブ上の情報と比較したうえで事実かどうかチェックしてくれます。

先ほどの内容をファクトチェックしてください。あらゆる手段を尽くしてください。

よく言われることかもしれませんが、AIは責任をとってくれません。学習法にせよなんにせよ、生成AIの回答が正しいのかどうかについては、最終的には自分自身でしっかり判断する必要があるのだと思います。

生成AI初心者が押さえておきたいちょっとしたコツについて語り合うフランキー古江さんと時吉秀弥さん

生成AIは「スラッシュリーディング」にも有効

時吉 冒頭に触れた長文読解においては、「スラッシュリーディング」が有効な学習法のひとつです。「スラッシュリーディングってなに?」というみなさんに向けて解説しておくと、スラッシュリーディングとは、英文の意味のかたまり(チャンク)ごとにスラッシュ(/)を入れて区切りながら読む学習法です。

たとえば、「I went to school to study.(私は勉強するために学校に行きました)」なら、「I went / to school / to study.」となります。「私は行きました」「学校に」「勉強するために」というように複数の単語で表された情報をひとまとまりにとらえることで、文構造の理解が深まる、読解スピードが向上する、前に読んだ部分に戻って読む「返り読み」の防止になるといったメリットが期待できます。このスラッシュリーディングにも生成AIは活用できますか?

フランキー スラッシュリーディングにおいて大切なのは、言うまでもなく「どこにスラッシュを入れるか」ということです。スラッシュが少なすぎても多すぎても読みにくいですよね。極端な例で言えば、すべての単語のあいだにスラッシュが入ればもはや意味がありません。

時吉 私の場合、「前置詞(to、in、at等)」「不定詞(to+動詞の原形)」「接続詞(and、because、when等)」の前にスラッシュを入れることを推奨しています。

フランキー それらは必須の3つですね。最後に、任意の英語長文のあとに入れることで適切にスラッシュを入れてくれるプロンプトを紹介しておきます。読者のみなさんも是非活用していただき、「"/"で区切る位置」の項目を調整することで、英文をスムーズに理解できるよう訓練してみてください。

英語学習としてスラッシュリーディング行なうため、上記の英語長文を "/" で区切ってください。

# "/" で区切る位置:
前置詞の前、動名詞の前、不定詞の前、過去分詞の前、接続詞の前、疑問詞節の前、関係詞の前、カンマ(,)セミコロン(;)コロン(:)ダッシュ(―)の後、長い主語の後(述語動詞の前)、長い目的語や補語の前

ChatGPTで実現する、スコアアップ直結の学習術について対談したフランキー古江さんと時吉秀弥さん

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【後編】『おうち英語』×『英語秒速アウトプットトレーニング』著者対談 |子どもから大人まで、これからの英語力をどう育むか

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)

1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
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