社会人の学びを阻む「5つの誤解」。あなたが「学べない理由」はただの思い込みかもしれない

自宅で勉強している様子

社会人であるみなさんの学びには、しばしば「なにを学ぶべきかわからないから、動けない」「学ぶからには、きちんと成果を挙げなければならない」といった思いがともないます。ただ、そういった思いの多くは「誤解」だと指摘するのは、ベネッセコーポレーションで社会人向けリスキリング事業の責任者を務める飯田智紀さん。多くの社会人がもちがちな、「学びに関する誤解」とその乗り越え方について解説してもらいます。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

【プロフィール】
飯田智紀(いいだ・とものり)
1983年生まれ。株式会社ベネッセコーポレーション執行役員。社会人教育事業領域担当(Udemy日本事業責任者)。ソフトバンクグループ株式会社にて経営企画・グループ会社管理、事業再生・国内外投資業務などに従事。2015年9月にベネッセコーポレーションに入社。2018年4月よりUdemy事業を中心とした社会人向けリスキリング事業の責任者となり、2024年4月より現職。
※(株)ベネッセコーポレーションは、日本におけるUdemy社の独占的事業パートナーです。

「学びのハードル」を下げてみよう

1日の多くの時間を仕事にとられる社会人の学びは、仕事の合間をぬって自主的に行なうものだからこそ、さまざまな思いが絡みます。そういった思いが場合によっては「思い込み」となり、じつは学びを阻んでいることもあるのです。以下の項目を見てください。

  1. 正直、社会人になってからちゃんと学んでいない
  2. なにを学ぶかがわからないから、動けない
  3. 楽しくないと続かない
  4. やるからには、ちゃんと成果を出すべきだ
  5. 学びは自分を変える・リセットするためのものだ

これらは、学びに関するよくある「誤解」です。「1. 正直、社会人になってからちゃんと学んでいない」は、その代表格と言っていいでしょう。学びと言うと、机に向かってノートやテキストを使って行なうスタイルをイメージする人がほとんどであると思います。

しかし、学びとはもっと広いものなのです。読書はもちろん、セミナーに参加する、YouTubeなどの動画を観る、ポッドキャストなどで音声を聴く、あるいはボランティア活動などを通じて普段とは異なる経験をするのだって、知らない情報をインプットする意味で言えば紛れもない学びです。

でも、「学びとは座学のこと」という思い込みに縛られていると、それができていない人は、「自分はきちんと学べていない」と自己否定してしまい、ますます学びから遠ざかってしまいかねません。

ですから、まずなによりも学びのとらえ方を変えてほしいのです。学びのハードルを下げ、先に例に挙げたようなことも学びだととらえれば、「思っていたより自分は学べている」「そういうことだったら自分にもできそうだ」と感じませんか? そうして、より意欲的かつ自然なかたちで学びに臨めるようになります。

なによりも「学びのハードル」を下げることについて語る飯田智紀さん

実際に動いてみないと、学ぶべきことは見えてこない

「2. なにを学ぶかがわからないから、動けない」というのも、ありがちな誤解です。常に膨大な情報に触れる現代社会においては、多種多様な学びの選択肢があるからこそ迷って動けなくなりやすいと言えます。

かつての私自身もそうでしたが、そのような人は、おそらく将来のキャリアや人生に自分がなにを求めているのかをうまく言語化できていないのでしょう。そのために、どの選択肢をチョイスすればいいのかが見えないのです。

でも、だからといって「動けない」というのは、少し違うと思います。たくさんの失敗を重ねてきた私の経験からも言えますが、実際に動いてみないと学ぶべきことの解像度は上がってきません

いまの自分に関係がありそうなこと、なんとなくおもしろそうなこと、流行っていること、将来の役に立ちそうなことなど、なんでもかまいません。たとえば、気になる分野の入門書を1冊読んでみる、新しい技術の無料セミナーに参加してみる、普段と違う業界のイベントに友人と足を運んでみるといった具合です。「なにを学ぶかがわからないからこそ、とりあえず決めて、動く」ことを心がけましょう。そうして初めて、自分の将来像や学ぶべきことが見えてきます。

「3. 楽しくないと続かない」については、「学びとは楽しくあるべきだ」と表現してもいいですね。もちろん、人それぞれに最初から楽しい学びも存在しますが、特に仕事に関わる学びであれば、むしろ楽しくないもののほうが圧倒的に多くなります。スポーツだって、基礎練習のほとんどは苦しいものではありませんか? でも、それらを地道にこなして結果がともなうようになると、そのスポーツの本当の楽しさを味わえるのだと思います。

ですから、楽しくないこと、いわば苦行の先にある「成し遂げたいこと」に目を向けてください。そうやって意識を変えることができれば、苦行を苦行ととらえずに学びを継続していけるでしょう。

「動く」ことでしか、学ぶべきことは見えてこないと語る飯田智紀さん

リスキリングは「学び直し」ではなく「学び足し」

学びに充てられる時間が限られている社会人であれば、「4. やるからには、ちゃんと成果を出すべきだ」という思いをもつことにもうなずけます。ただ、先にお伝えした「学びのハードルを下げる」ことに通じますが、「成果」のハードルを上げすぎてしまうと動けなくなって当然です。

ここで意識してほしいのは、「時間」と「規模」です。短期間で過大な成果を挙げようと考えてしまったら、学ぶ前の段階から「自分には無理そうだ」と感じるのは当たり前です。でも、たとえ時間がかかっても以前にできなかったことが少しでもできるようになれば、それだって立派な成果と言えます。いわゆる「スモールステップ」の意識をもって、コツコツと学びを積み上げるのが大切です。

最後に解説する誤解は、「5. 学びは自分を変える・リセットするためのものだ」というものです。これは、昨今話題になっている「リスキリング」からきている誤解と言えます。リスキリングは、一般的に「学び直し」と言われます。ただ、そうとらえると、これまでに培ってきたスキルや経験を否定されたように感じてしまい、「ゼロから新たなことを学ばなければならないのか……」といった思いに駆られて学びを敬遠してしまうのです。

そうではなく、リスキリングを「学び足し」ととらえてみましょう。学びとは連続性があるものであり、過去に手に入れたスキルや経験は絶対に無駄になりません。「すでにもっているスキルや経験を今後も活かすために、新しいインプットを足す」「そうすることで自分の能力を拡張できる」という発想をもつことができれば、リスキリングに対する意欲も大きく高まるはずです。

社会人の学びを阻む「5つの誤解」についてお話しくださった飯田智紀さん

【飯田智紀さん ほかのインタビュー記事はこちら】
社会人の「学びエンジン」4タイプ。あなたはどのタイプ?
「学び続けられる人」がもつ3つの特徴|アウトプットを重視するだけで成果が上がる!

何から始めればいいかがわかる 最高の学び方

Udemyは、現場で活躍するプロが講師を務めるオンライン学習プラットフォームです。動画講座をいつでもどこでも学べ、現在25万以上の講座が公開されています。

Udemyセール実施中

Udemyセール会場はこちら

ぜひこの機会に、Udemyで「学び足し」の第一歩を踏み出しましょう!

 

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)

1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト