自分が知っていることとCodexが知っていることの "差分" をなくせ——コンテキストを集め続けると、3ヶ月目に化ける理由

Codexがうまくいかない原因はコンテキスト不足。下準備が8割と語る宮地俊充さんのインタビュー

「Codexを入れて、いくつか頼んでみた。でも正直、大したものは出てこなかった」。

株式会社AI Orchestra代表取締役の宮地俊充さんは、こうした相談を受けるたびに、決まって同じ質問を返すといいます。

「"コンテキスト、集めてます?" です。ほぼ全員がここで止まる。うまくいかないのはAIのせいでも、才能のせいでもなくて、AIに渡している "背景情報" が足りていないだけなんです」

そして宮地さんは、こう続けます。「逆に、コンテキストを集め続けた人は、ある日突然、化けます。多くの人は3ヶ月目くらいに "あ、変わった" という瞬間が来る」

今回は、AIエージェントを使いこなす人とそうでない人を分ける「コンテキスト」の正体と、その集め方、そして3ヶ月で何が起きるのかを、宮地さんに語ってもらいました。

※宮地さんが登壇する「非エンジニアのための Codex 入門」オンラインセミナー(8月26日(水)21:00〜・無料)の詳細は記事末尾に。

構成・取材・写真/STUDY HACKER編集部

【プロフィール】

宮地俊充(みやっち🧑‍💻/みやち としみつ)

1981年10月、静岡県浜松市生まれ。株式会社AI Orchestra代表取締役社長。青山学院大学法学部卒業後、2007年公認会計士試験合格。PwC Japan有限責任監査法人に入所。IFRSコンバージョン業務や監査業務等に従事。M&AファームのGCAサヴィアン(現フーリハン・ローキー)を経て、EC系ベンチャーで取締役CFOに就任。その後、2011年オンライン英会話スクールのBest Teacherを創業。2016年、SAPIX YOZEMI GROUPに売却。投資活動と音楽活動を経て、2020年に株式会社AI Orchestraを連続起業。AIメディア運営、AI研修、AI開発受託、AIプロダクト開発を手掛ける。

うまくいかないのは、AIのせいではない

「コンテキストとは、ひと言でいえば "背景情報" です。たとえば研修のスライドをつくるなら、その研修の目的、受講者の顔ぶれ、話す順番、自分の好みのデザイン。これらをまとめてコンテキストと呼んでいます」

Codexは、プロジェクトとして選んだフォルダのなかを読んで仕事をします。フォルダが空のまま「セミナーの資料をつくって」と頼めば、当然、一般論しか返ってきません。

「僕は "下準備が8割" と言い切っています。パソコンに向かってCodexに打ち込む前に、勝負はほぼ決まっている。AIはもう、大半の分野で僕より賢いと思っています。だから成果物が思ったものにならないとき、原因はAIの側にはない。渡している情報が足りないだけです」

「自分が知っていること」と「Codexが知っていること」の差分をゼロにする

宮地さんが自分に課しているルールは、シンプルです。

"僕が知っていることと、Codexが知っていることの差分をゼロにする努力を、常にする"。これだけです。人に仕事を頼むときと同じですよね。自分だけが知っている情報を渡さずに頼めば、間違えるに決まっている。AIは同僚というより、自分の分身です。分身に情報の差分があれば、思ったとおりに動くはずがない」

つまりCodexが期待どおりに動かないとき、起きているのは「コンテキストのズレ」か「コンテキストのロスト(欠落)」だと宮地さんは整理します。

「そのズレや欠落を見つけて、補充する。それを繰り返した人だけが、AIに仕事を任せられるようになります。難しい設定もプログラミングも要りません。必要なのは、"渡し忘れている情報はないか" と考える習慣です」

自分とCodexの情報の差分をゼロにする、AIエージェントに仕事を任せるためのコンテキストの考え方

コンテキストの集め方は3つしかない

「コンテキストを集めましょう」と言われても、何から手をつければいいのか。宮地さんは集め方を3つに整理しています。

集め方1 常に収集する

「ビジネスをしていれば、コンテキストは勝手に溜まっていきます。チャットワークやSlackのやりとり、Zoomの録画、メール、お客様との会話。問題は、それを "取っておく癖" があるかどうかです」

宮地さん自身は、打ち合わせや対面の会話も、相手の了承を得たうえで可能な限り音声で残してテキスト化し、フォルダに入れているといいます。

「店舗系のビジネスの方なら、お客様との会話(氏名などの個人情報は除いたメモで十分です)がそのまま最強のコンテキストになります。あとから振り返って "この人はこういうことに困っていた" が見えるので、次の提案の質がまるで変わる。基本的に、コンテキストは全部取る、くらいの感覚でいいと思います」

集め方2 自分で整理する

「集めた生のデータを、そのまま全部読ませればいいわけではありません。AIが一度に読める量には限りがあって、生データを丸ごと渡すと、大事な部分が埋もれます。フォルダを目的別に分けて、目次や要約を置いておく。これだけで、Codexが "どこを見ればいいか" を迷わなくなります」

集め方3 AIに整理させる

「今っぽい方法ですが、これがいちばん現実的です。"このフォルダに入っている文字起こしを要約して、テーマごとに整理して" とCodexに頼めば、整理そのものを任せられる。集めるのは人間、整理はAI。この分業ができると、コンテキストは加速度的に溜まっていきます」

なぜ "3ヶ月目" に化けるのか

コンテキストを集め続けると何が起きるのか。宮地さんは、講座の受講生の変化を次のように描写します。

1ヶ月目 依頼のたびに、材料を渡す

「1ヶ月目は、依頼のたびに材料を渡す状態です。毎回フォルダに資料を入れて、背景を説明して、やっと成果物が返ってきます。ここで "面倒だな" と思う人が多い」

2ヶ月目 指示が、どんどん短くなる

「2ヶ月目に入ると、フォルダに背景情報と自分のルールが溜まってきて、指示がどんどん短くなります。前に渡した資料をCodexが勝手に参照してくれるので、"先月と同じ形式で" が通じるようになる」

3ヶ月目 "いつものやつお願い" が通じる

「早い人で1〜2ヶ月、多くの人は3ヶ月目くらいに、"あ、化けた" という瞬間が来ます。"いつものやつお願い" で、自分が思っていたとおりのものが返ってきます。これは魔法ではなくて、コンテキストのロストを補充し続けた分だけ、AIが自分の考え方を知っている状態になった、というだけなんです」

だからこそ、宮地さんは「最初の1ヶ月で判断しないでほしい」と強調します。

「Codexを2〜3回触って "大したことないな" と離れてしまうのが、いちばんもったいない。それは、入ったばかりのスタッフに何も教えずに "使えない" と言っているのと同じです。3ヶ月分の背景情報を渡した相手として見たとき、Codexの評価はまるで別物になります」

コンテキストを集め続けると3ヶ月目に「いつものやつお願い」が通じるようになる変化を語る宮地俊充さん

明日からの一歩は、フォルダをひとつつくること

「難しいことは何もありません。今日、パソコンにフォルダをひとつつくってください。そして、いま関わっているひとつの業務に関係する資料を、そこに集める。議事録でも、過去の提案書でも、メールの下書きでもいい。それがCodexへの最初のコンテキストになります」

集めたフォルダをCodexのプロジェクトとして選び、「ゴール・コンテキスト・制約・完了条件」の4点セット(別記事で紹介)で頼む。ここまでが、宮地さんが講座で全員にやってもらっている "最初の一歩" です。

コンテキストは、集めた本人にしかつくれない資産です。誰にも真似できないし、AIが賢くなればなるほど価値が上がる。3ヶ月後の自分への、いちばん確実な投資だと思っています」

フォルダをひとつつくることから始めるコンテキスト収集を、Codex入門セミナーで実演する宮地俊充さん

8月26日(水)オンラインセミナーのご案内

8月26日のオンラインセミナーでは、宮地さんが実際に使っている「コンテキストの入ったフォルダ」をCodexに読ませ、依頼から成果物が返ってくるまでを画面でお見せします。「コンテキストがある依頼と、ない依頼で、どれだけ成果物が変わるか」を、その場で見比べてください。

オンライン 【無料ウェビナー】非エンジニアのための Codex 入門

日時 8月26日(水)21:00〜23:00

形式 オンライン(Zoom)/参加費無料/定員500名

内容 Codexの実演を中心に、インストール〜最初の依頼〜応用編の全体マップまでを2時間で

参加特典 リアルタイム参加の方に「Codexスタートガイド」をプレゼント

共催 StudyHacker Square/株式会社AI Orchestra

詳細 セミナー告知記事はこちら

オンライン版お申し込みはこちら

前回の共催セミナー(2026年5月・Claude Code編)は、1,000名以上のお申し込みで満席となりました。3ヶ月後に "化ける" ための最初の一歩を、8月26日の夜に踏み出してみてください。

【ライタープロフィール】
岡 健作(おか・けんさく)

株式会社新恵社 代表取締役/株式会社スタディーハッカー創業者。1977年生まれ、福岡出身。2014年、メディア「STUDY HACKER」を立ち上げ。以後運営に携わる。
X→@oka_kgs / Instagram→@oka_ken2010 / 著書(amazon)