「前向きに」「ポジティブに」「くよくよしない」
それがいいのはわかっています。わかっているし、ポジティブでいようともしている。
SNSの「マイナス思考はやめよう」なんて、余計なお世話なんです。好きでマイナス思考でいるわけがないのだから。それができないから、しんどいのだから。
いやなときや落ち込んだとき、無理にポジティブにいようとするとかえって負担になる。そんなことがわかっているそうです。
この記事では、ポジティブ信仰につかれちゃったあなたに、上手な「ネガティブとの付き合い方」をお伝えします。
- 「前向きに」はたしかに味方になる
- ところが「無理な前向き」は負担を増やす
- こんな瞬間はありませんか? 「無理なポジティブの罠」のサイン
- 「前向きになる」より先に感情に名前をつける
- よくある質問(FAQ)
「前向きに」はたしかに味方になる
「物事を楽観的に捉える傾向は、健康状態によい影響を与える」。
研究では、楽観性の高さが身体的健康の指標に良い影響を与えることが示唆されているそうです。特に、本人が感じる体調の良さについては、その関連がより強く出ています。*1
ここで言う「楽観性」とは、「いまはうまくいかなくても、この先は良くなるはずだ」という、物事の先行きへの期待を指します。*2
なんとかなるかも、という期待感があると、失敗を「終わり」ではなく「次に活かすためのヒント」のように捉え直せるのかもしれません。
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ところが「無理な前向き」は負担を増やす
このように、前向きであることや楽観性をもつことは良い効果をもたらします。
しかし、だからといって、無理にその状態を作ろうと「本当の感情」を無視することは、負担感を生んでしまいます。

たとえば、会議で提案が却下された場面。
悔しさを感じないわけがありません。でもそこで悔しさに蓋をして「切り替えていこう」と無理に自分に言い聞かせる。こんな状況です。
複数の実験で、感情の表出を無理に抑えた人は、心血管系で交感神経の活動が高まるとされました。*3
つまり、表面上平静を装ったとしても、身体の方はストレス反応を引き起こしているということです。身体は正直なんですね。
そしてさらに、ネガティブな感情を否定せずに受け止めるという逆の人は、むしろ心理的な健康状態が良好だったという研究もあるそうです。*4
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こんな瞬間はありませんか? 「無理なポジティブの罠」のサイン
ここまで読んで、「無理にポジティブになろうとするのは良くない」とわかっても、実際に自分が無理をしているのかどうか、気づきにくいかもしれません。
そこで、簡単なチェックリストを用意しました。ご自身を振り返って、確認してみてください。
落ち込みを感じた瞬間、反射的に「へこんではダメだ」と打ち消している
人前では常に機嫌よくいなければと感じる
ネガティブなことを口にする自分に、罪悪感を覚える
「前向きに考えよう」と言われると、かえって苦しくなる
疲れの原因がわからないまま、慢性的に消耗している
チェックがたくさんついたなら、ちょっと無理しがちなのかもしれません。

「前向きになる」より先に感情に名前をつける
ここで、対策をご案内しましょう。落ち込みっぱなしで突き進むと、どんどん暗くなってしまいますからね。いうなれば、ネガティブを受け止める方法です。3つのステップに分けて説明しますね。
打ち消す前に、名づける
「悔しい」「不安だ」「さみしい」など、いまの感情に名前をつけてみてください。
ネガティブな表情の画像を見て感情を言葉にすると、扁桃体の反応が鎮まったという研究があります。*5
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事実と感情を分けて書く
「起きたこと」と「感じたこと」を1行ずつ分けて書きます。
たとえば、「企画をやり直すよう言われた」という事実と、「否定された」という解釈は、同じではありません。
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そのうえで選ぶ
前を向くかどうかは、感情を認めたあとで決めてかまいません。「今日はへこんだままでいい日」も、立派な選択です。
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前向きなのが良いことである、ということと、だから無理にでもポジティブなふりをしろということはイコールではありません。
落ち込むようなこと、へこんでしまうようなことは実際に起こるし、そのときにネガティブな気持ちになることは普通のことです。
自分の気持ちに蓋をせず、上手に受け止めること。それが健全なことなのかもしれませんね。
よくある質問(FAQ)
Q. ネガティブなことばかり考えてしまうのは病気ですか?
Q. 職場では前向きに振る舞うべきですか?
Q. 前向きな人と一緒にいると疲れるのはなぜですか?
Q. ポジティブ思考には意味がないということですか?
*1: Annals of Behavioral Medicine|Optimism and Physical Health: A Meta-analytic Review (Rasmussen, Scheier, & Greenhouse, 2009)
*2: Health Psychology|Optimism, Coping, and Health: Assessment and Implications of Generalized Outcome Expectancies (Scheier & Carver, 1985)
*3: Journal of Abnormal Psychology|Hiding Feelings: The Acute Effects of Inhibiting Negative and Positive Emotion (Gross & Levenson, 1997)
*4: Journal of Personality and Social Psychology|The Psychological Health Benefits of Accepting Negative Emotions and Thoughts (Ford, Lam, John, & Mauss, 2018)
*5: Psychological Science|Putting Feelings Into Words: Affect Labeling Disrupts Amygdala Activity in Response to Affective Stimuli (Lieberman et al., 2007)
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。