「話しやすい人」と「警戒される人」の決定的な差。信用される人がやらない3つの行動

スピーチをするビジネスパーソンの明暗

ちゃんと話しているつもりなのに、なぜか距離を置かれてしまうAさん。一方、特別なテクニックも使わずに信頼されるBさん。

この違いは何でしょう?

もしかするとAさんが距離を置かれてしまう原因は「話し方の上手い・下手」ではなく、Aさんが無意識に行なっている「NG行動」かもしれません。

この記事では信頼を遠ざける「3つのNG行動」を紹介し、信頼を築くための置き換え改善策をご提案します。

1. 過度な自己アピール

自分の実績を正しく伝えようとするあまり、知らず知らずのうちに信頼を削ってはいませんか?

自己アピールばかりが強すぎると、周囲は「この人は自分の評価しか考えていない」と感じてしまうかもしれません。

置き換え改善策

そんなNG行動は、成果を「チームの貢献」として紹介することで改善できます。具体例をご覧ください。

❌【NG例】 「かなり厳しい案件でしたが、私のほうで行なった調査と分析、そして最終的な調整によって乗り切ることができました……!」

💡【OK例】 「今回の結果は調査と分析、そして何より○○さんの協力と、○○さんの現場対応があったからこそ乗り切ることができました」

周囲の貢献に触れない発言は、自己アピール寄りの印象を与えてしまいます。逆に、他者の貢献を前面に押し出す姿勢を見せることで、周囲のあなたへの信頼感がアップするでしょう。

称賛された相手には返報性の法則(相手に何か借りを作るとお返しをしなくてはいけないと感じる人間の性向 )が働きやすくなるはず。*1

あなた自身が自己アピールをしなくても、いつのまにか増えたあなたの支持者が勝手にやってくれるはずです。

ミーティングを行なうビジネスパーソンたち

2. 相手より自分の意見

自分の意見を正しく言うことは大切です。しかし、その部分だけにフォーカスし、相手の意見を聞かない状況になってはいないでしょうか。

信頼の起点は相手の話をしっかり聞くことから始まります。どんなに正しい内容だとしても、自分の意見ばかりを主張しようとする行為は信頼を遠ざけてしまうのです。

ゼンガー・フォークマン社の分析では、聞き下手な人の信頼度が15パーセンタイル(下位グループ)に留まるのに対し、聞き上手な人は86パーセンタイル(上位グループ)まで信頼度が達したと報告されています。*2

この分析結果はリーダーに特化していますが、全般的な「聞く力」の重要性を示すデータのひとつとして見ても問題はないでしょう。

なぜならば私たちは経験的に、どんな相手でも話を聞いてもらえないと「自分は尊重されていない」と感じることを知っているからです。

置き換え改善策

したがって、相手の信用を得るための改善ポイントは「自分の主張を正しく」優先ではなく、「聞いているよ!」のアプローチ優先。

以下例のように、最後まで話を聞き、ワンクッション置いてから意見を述べるようにしてみましょう。最後に、改めて意見を聞くことも大切なポイントです。

❌【NG例】  「(相手の話の途中で)あ、いや、ごめんなさい、そうではなく――私が考えているのは〇〇の工程があること自体が効率を悪くしているということです」

💡【OK例】 「(相手の話をすべて聞いたあとに)なるほど、〇〇ということですよね。私が考えているのは、〇〇の工程が効率を悪くしているという部分なんですよ。いかがでしょう。どう思われます?」

たとえ意見が違っても、まずは相手の話を受け止めてから自分の考えを伝えることが大切です。

信頼される人は、相手が安心して話せる空気をつくるのが上手なもの。聞く姿勢ひとつで、対話の質も信頼も大きく変わるはずです。

商談中のビジネスパーソン

3. 曖昧なフレーズ

印象は悪くないはずなのに、なぜか信用されない――このときあなたは、無意識のうちにNGワードを連発しているかもしれません。

たとえばこんな言葉をよく使っていませんか?

  • 「~だと思います」「~かと思います」
  • 「なんとなく」「どちらかといえば」
  • 「ちょっと」「まあ」「~っぽい」

スタンフォード大学経営大学院の組織行動学講師の Matt Abrahams 氏は、こうした曖昧な表現について次のように語ります。*3

プレゼンテーションにおいて曖昧な表現はあなたの立場を弱め、権威を損ない、優柔不断で何を言っているのかよくわからない印象を与えてしまいます。

置き換え改善策

そこでAbrahams 氏は、曖昧な表現に対処する最善の方法として言葉の置き換えを提案しています。以下の例は、その置き換え術を参考にしました。*3

❌【NG例1】 「こうした発想が、大きな転換になるのではないかと私は思います」

💡【OK例1】   「こうした発想が、大きな転換になるのではないかと私は信じています」

 

❌【NG例2】 「どちらかといえば○○ではないかと私は思います」

💡【OK例2】 「ある意味○○ではないかと私は信じています」

より主張の強い表現を見つけることで、より明確かつ断定的に、自分の主張を伝えることができると Abrahams 氏は言います。*3

ほんの少し言葉を変えるだけで、相手の受け取り方は驚くほど変わるはずです。

***
信頼は、特別なスキルではなく、日常のちょっとした配慮から築かれるもの。まずは「気づくこと」が第一歩です。そして、自分の言動を少し意識するだけで、相手との関係性は確実に変わっていくでしょう。

(参考)

*1: グロービス経営大学院|返報性
*2: ZENGER FOLKMAN|The Power of Listening Leadership: A Leader’s Secret Weapon for Building Trust
*3: Medium|by Matt Abrahams|Avoiding Speaking Habits That Can Damage Credibility

【ライタープロフィール】
上川万葉

法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。

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