
「これが流行るなんて、誰が想像していたのでしょうか。」
Tシャツの上にタンクトップを重ねる「くまだまさしレイヤード」が、いまSNSで話題です。韓国発のトレンドとして人気グループ・NCT WISHのメンバーが着ていたスタイルが、お笑い芸人・くまだまさしさんの定番衣装に「そっくりだ」と盛り上がり、テレビでも特集されました。
服は30年前からほぼ同じ。変わったのは、見る側だけ。
これ、笑い話で終わらせるのはもったいない話です。「向いていない」「もう古い」「今さら遅い」と自分で決めてしまったことにも、同じことが起きるかもしれないのですから。
30年同じ服が、急に「おしゃれ」になった
デビューからおよそ30年、舞台衣装として親しまれてきたスタイルが、2026年になって急に見直される。「お父さんの肌着みたい」と笑われていたものが、着る人と場面が変わったら「おしゃれなレイヤード」。
服はそのままで、見る側だけが変わったのです。
心理学でも、人はものそのものだけでなく、「どう見せられたか」「どんな場面で見たか」で価値の感じ方を変えることが知られています。*1
つまり、「古い」は「価値がない」とイコールではありません。
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「向いていない」も、昔の自分が決めただけかも
学びでも、同じことが起きます。
学生時代に苦手だった英語が、海外旅行をきっかけに楽しくなる。若い頃は退屈だった歴史の本が、働いてから面白くなる。紙の手帳派だった人がアプリで仕事が楽になり、「文章は苦手」だった人が毎日100字からライティングを仕事にする。そんな話は珍しくありません。
能力が急に上がったわけではありません。「向いていない」は、昔の自分が下した判断にすぎないのです。当時と今とでは、経験も環境も違います。

ビジネスの世界には「アンラーニング」という言葉もあります。ざっくり言えば、古くなった思い込みを手放して入れ替えること。変化の速い時代には、新しく学ぶ力と同じくらい大事だと言われています。*2
逆のパターンもあります。昔学んだことが数年後に急に役立つ。いまは評価されないものが、時代が変わって光る。キャリア研究でも、人の成長は一直線ではなく、いろいろな経験があとからつながって意味を持つと言われています。*3
「時代がくまだまさしに追いついた」ことだって、あるのです。
今日やるのは、「本当に?」をつけるだけ
ノートやスマホのメモに、「自分には向いていない」と思っていることをひとつ書き出してみてください。英語でも、AIでも、読書でもかまいません。
そして、その言葉に「本当に?」をつけてみます。「私は英語が苦手」ではなく、「私は、本当に英語が苦手だろうか。」
答えは出さなくてかまいません。決めつけをいったん保留にしてみる。それだけで十分です。
気が向いたら、数分だけ触り直してみてください。5分試して、やっぱり合わなければそれでいいのです。
服の価値も、学びの価値も、変わるのは中身より見る側。昨日の「なし」が、今日の「あり」になることは、案外あります。
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「古い」「向いていない」「今さら遅い」。そう決めているのは、案外、自分自身かもしれません。今日ひとつだけ、「本当にそうだろうか?」と問い直してみてください。時代があなたに追いつくことだって、あるのですから。
よくある質問(FAQ)
Q. アンラーニングとは、これまで学んだことを捨てるということですか?
Q. 一度挫折したことに、もう一度挑戦するコツはありますか?
Q. 大人になってから新しいことを学び始めるのは、もう遅いのでしょうか?
*1: Science|Tversky, A., & Kahneman, D. (1981). The Framing of Decisions and the Psychology of Choice
*2: Handbook of Organizational Design(Oxford University Press)|Hedberg, B. (1981). How Organizations Learn and Unlearn
*3: Harvard Business School Press|Ibarra, H. (2003). Working Identity: Unconventional Strategies for Reinventing Your Career
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。