単語帳を開いて、覚えた単語にはチェックをつける。次の周からは、チェックのついた単語はとばして、まだ覚えていない単語だけをくり返す。効率のいいやり方のつもりで続けていたのに、テストの前に見直すと、チェックをつけたはずの単語が思い出せない。
そんな経験はありませんか? 覚えたそばから忘れていくのでは、単語を覚える時間をいくら増やしても、なかなか語彙力は上がりません。
実は、単語の覚え方については、記憶の研究でかなりのことがわかっています。そして、多くの受験生が「効率がいい」と思ってやっているやり方の中に、かえって記憶を弱くしてしまうものがあるんです。
よくある単語勉強は実は非効率だった
覚えた単語にチェックをつけてとばす。まだ覚えていない単語に時間を集中できるので、一見すると効率のいいやり方に思えますよね。
ところが、この覚え方には、研究で否定的な結果が出ています。一度覚えたつもりの単語でも、そのあと思い出す機会がないと、時間がたつうちにどんどん忘れてしまうのです。
では、どうすればいいのか。カギになるのが、脳の「出力依存」という性質です。
脳は、情報を入れたときより、その情報を外に出したとき、つまり思い出そうとしたときに記憶を強くします。何度も思い出そうとする情報を「何度もぶつかるから重要なのだろう」と判断して、記憶にとどめようとするんですね。
ただし、思い出す練習になるのは、少し忘れかけたころです。覚えた直後にもう一度見れば、覚えているのは当たり前。思い出す必要がないので、クイズになりません。
覚えた単語にチェックをつけてとばすと、その単語はもう出てきません。忘れかけたころに思い出す機会そのものが、なくなってしまうのです。
単語は、忘れかけたころにもう一度クイズに出して、思い出す。これが、出力依存を意識した覚え方です。
心理学者のカーピキーとローディガーが2008年に発表した実験では、覚えた単語もクイズに出し続けた人は、1週間後に約80%を覚えていました。ところが、覚えた単語をクイズから外した人は、33〜36%しか覚えていませんでした。*1 *2
Karpicke & Roediger(2008)をもとに編集部作成。
外したほうは、半分以上忘れている!!

脳の仕組みを意識した、超効率の単語暗記法
具体的な手順を見てみましょう。この方法、ある英語スクールでは、1日で100個以上の単語を覚える方法として、実際に用いられ成果をだしています。
「1日で100個なんてほんとなの」と半信半疑の方も、すごい勢いで語彙力を増やしている方法です。ぜひ一度試してみてください。
最初は、英語と意味をざっと見て確認するだけで十分です。一つの単語に時間をかけて、じっくり覚えようとしなくてかまいません。
確認した15〜20語を、英語を見て意味を答えるクイズにします。長文を読むための単語なら、まずは「英語を見て、日本語にできる」を目指せば大丈夫です。
できるだけ速く答えを出し、わからなければ考えこまずに、すぐ次の単語へ進みます。これを短時間で何度もくり返すと、脳は何度も思い出そうとすることになります。
一度正解した単語にも、チェックをつけてとばさないこと。正解できた単語も含めて、15〜20語全体でクイズを続けます。さきほどの実験で、約80%を覚えていた人たちと同じやり方です。
その日のうちに全部答えられるようになっても、それで終わりにはしません。日をあけて、同じ15〜20語でもう一度クイズをします。
同じ単語を一晩で何周もするより、日をあけてくり返したほうが長く覚えていられることも、外国語の学習についての多くの研究で確かめられています。覚えた直後はどちらも同じくらいでも、時間がたつと差が出てくるのです。*3

限られた時間で英語を伸ばすには、研究でわかっていることを使う
医学部・難関大の受験では、英語だけに時間を使うわけにはいきません。同じ1時間を使うなら、研究で効果が確かめられている方法に使ったほうが、伸び方は大きく変わってきます。
学び舎東京では、第二言語習得研究や記憶の研究の知見をもとに、一人ひとりの課題に合ったトレーニングを組み立てています。3ヶ月で偏差値が15上がるといった実績も、この進め方から生まれています。
10月31日(土)14時から、医学部・難関大を目指す高校生・既卒生と保護者に向けた無料ウェビナーを開催します。
ENGLISH COMPANY創業者の岡健作が、第二言語習得研究をもとに、限られた時間で英語を伸ばす学び方を解説します。英語力の基礎中の基礎である単語の覚え方も、当日実演します。『英文法の鬼100則』著者の時吉秀弥による授業の体験もあります。高校1年生から参加でき、保護者のみの参加も歓迎します。
【受験生のための「科学的英語学習」の記事はこちら】
*1: Science|Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2008). The Critical Importance of Retrieval for Learning. 319(5865), 966-968.
*2: Purdue University News|Pop quiz: Testing earns high marks as learning tool
*3: Language Learning|Kim, S. K., & Webb, S. (2022). The Effects of Spaced Practice on Second Language Learning: A Meta-Analysis. 72(1), 269-319.
STUDY HACKER 編集部
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