第四新卒採用とは

・ 第四新卒採用とは、医薬品などの製造を手がける森下仁丹株式会社が2017年に実施した、中途採用の名称。中高年の男性を意識した「オッサンも変わる。ニッポンも変わる。」というキャッチフレーズが注目された。幅広い業界において人材不足が叫ばれる昨今、森下仁丹の姿勢は高く評価されている。

・ 就職活動において、大学や大学院をその年度中に卒業・終了する学生を「新卒」と呼ぶ。一方、新卒として就職したのち数年で離職し、転職活動を行う人は「第二新卒」と呼ばれている。転職支援サイト「エン転職」によると、第二新卒の割合は年々増加傾向にあるという。さらに、「第三新卒」という言葉もあり、就職情報サイト「ジョブゲッターズ」によれば「大学院卒で、職務経験がない、または職務経験が3年未満の就職希望者」を指す。これらの名称を念頭に置き、森下仁丹はこれまでにない「第四新卒採用」という言葉を使った。このネーミングは「社会人としての経験を十分積んだ後も仕事に対する情熱を失わず、次のキャリアにチャレンジしようとする人材を、性別・年齢を問わず採用していく」ことを意図しているという。

森下仁丹による第四新卒採用の概要

・ 森下仁丹は第四新卒採用の特設サイトを設け、「オッサンも変わる。ニッポンも変わる。」をキャッチフレーズとし、駒村純一社長自らが被写体となったモノクロ写真を掲載した。同様の広告は、2017年3月1日の日本経済新聞紙上でも見られた。

・ 第四新卒採用において募集された職種は「医薬品、食品などのヘルスケア事業、及びカプセル受託事業にかかわる、営業、開発、製造、管理に関するマネージメント職、および海外案件担当」。経験やスキルよりも「ポテンシャル」を重視するという。給与は実績に応じて決定される。

・ 森下仁丹の広報・マーケティング担当部長である磯部美季氏によると、第四新卒採用には2,200人もの人が応募し、採用されたのは10名だった。応募者のなかでは50歳前後の人が多く、7割が男性だったという。

・ 森下仁丹の第四新卒採用は多くの注目を浴びた結果、「中高年の新しい働き方の提案」「多くの企業で課題となっている、ベテラン人材の活用とマネジメント人材不足の一つの解」などとして、人事関連事業を手がける株式会社アイ・キューから「HR アワード 2017 企業人事部門 優秀賞」を贈られた。HRアワードとは、人事・人材開発・労務管理などの分野におけるイノベーターを表彰する制度であり、HRとはHuman Resource(人材)を意味する。森下仁丹の専務取締役・森下雄司氏は受賞にあたり、「真のダイバーシティ企業」を目指していくと意気込みを表明した。

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第四新卒採用に至った経緯

・ 森下仁丹が第四新卒採用を実施するに至った背景には、2000年代までの業績悪化があった。同社は口中清涼剤の「仁丹」を看板商品としていた老舗企業だったが、1982年以降、売上は減少していった。2002年には、出荷高がピーク時の10分の1まで落ち込んでいたという。

・ そのような折、現社長の駒村氏に、森下仁丹が経営立て直しの人材を探しているという話が舞い込んだ。駒村氏は当時、新たなやりがいを求めて52歳で大手商社を退職したところだった。2003年に執行役員として入社した同氏は改革にまい進し、2012年頃から業績は回復に向かった。しかし、業績が悪かったあいだに人材が流出し、社内の年齢構成がアンバランスになったという。そこで、若手の教育も含めたマネジメントが可能な人を採用するため、中高年に焦点を当てた第四新卒採用を実施するに至った。

・ 森下仁丹によれば、第四新卒採用は「攻めの採用」であったという。その意図を駒村社長は以下のように説明した。

若い世代をいくら採用しても、彼らを指導し、会社の行き先を指し示す人材がいなければ機能しません。圧倒的に足りないのは、マネージメントの核となる人材です。
第四新卒採用では、会社のリーダーとなり、社員を導いてくれる人を募集します。(中略)
森下仁丹が次の成長期に向かうために、未知の分野に挑戦する気概がある人を求めます。

(引用元:森下仁丹株式会社|第四新卒採用サイト

(参考)
森下仁丹株式会社|第四新卒採用サイト
森下仁丹株式会社|オッサンも変わる。ニッポンも変わる。森下仁丹の『第四新卒採用』が、HRアワード2017 企業人事部門 優秀賞を受賞
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