動画映えとは
・ 動画映えとは、被写体の動きが魅力的であるため、撮影した動画をSNS上に投稿した際に見栄えがすること。ムービージェニックとも。「ユーキャン新語・流行語大賞」の2017年年間大賞に選ばれた「インスタ映え」に続き、新たなトレンドとなりつつある。
・ 動画映えは、特に飲食業界で注目されているキーワードである。写真をInstagramに投稿した際に見栄えがする「インスタ映え」商品を打ち出し、Instagramを好む客層にアピールする飲食店は多いものの、朝日新聞によれば「写真映えを前面に出した商品が増えすぎた」のだという。そこで、流行に敏感な客の関心を引くため、比較的新しい「動画映え」を打ち出す飲食店が増えつつある。
動画映えする料理
・ 動画映えする料理にはチーズが使われることが多い。レシピ投稿サイト「クックパッド」は、2017年の「食トレンド大賞」としてチーズタッカルビを選出した。チーズタッカルビとは、トリ肉と野菜をミソで和えて鉄板で焼いた韓国料理「タッカルビ」にチーズをかけたもの。クックパッド株式会社でトレンド調査を行っている村上雅洋氏によれば、「インパクトのある見た目」と「チーズがぐつぐつ煮えているおいしそうな“シズル感”」によってインスタ映えするのだという。
・ また、動画映えする料理としてはラクレットも人気が高い。ラクレットとは、チーズの塊を温めてやわらかくなった部分をナイフでそぎ落とし、じゃがいもやパンにつけて食べるスイス料理。溶けたチーズがしたたり落ちる様子が動画映えするとして好評を得ている。渋谷のチーズレストラン「Cheese Dish Factory」ではラクレットのほか、「その場で仕上げるパルミジャーノリゾット」が人気だ。器形をしたチーズの塊に火をつけ、溶けたらリゾットを投入し、チーズと絡めてトリュフオイルをかける。これらの作業は客のテーブルで行われるので、客は撮影に専念できる。店側も「ムービージェニックな炎のリゾット」としてアピールしている。
・ さらに、動画映えする料理として「ムービージェニック鍋」も流行しつつある。飲食事業を手がける株式会社DDホールディングスは、「2017~2018年冬向けトレンド鍋」としてムービージェニック鍋を提案した。「兵庫県播磨灘産牡蠣と蛤の“極上”SPARKLING美酒鍋」は、客の目の前でスパークリング日本酒を注がれて完成する。また、「秋田県産比内地鶏使用 山芋とろろ鍋」は、きりたんぽ鍋にとろろが流し込まれるもの。客の前で仕上げにとろろが注がれる瞬間が「撮影ポイント」だという。
動画映えするスイーツ
・ ホテル「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」のバーラウンジ「Sky Gallery Lounge Levita」は「ムービージェニックスウィーツ」を提供している。2018年3月1日から期間限定で注文できるアフタヌーンティーセット「蝶が舞うギャラリー アフタヌーンティー “COLORS”」内の一品は、フルーツソースをかけると綿菓子が溶け、なかからリンゴ形のケーキが現れるというもの。若い女性がターゲットとして定めている。
・ 札幌のパフェ専門店「幸せのレシピ〜スイート〜」は、2018年2月28日から1日5食限定で「悪魔の果実パフェ 呪われたランプ」の提供を始めた。ランプに見立てたポットから蒸気がわき出し、その上に黒と赤を基調とした果物やジェラートが盛られている。同店のTwitterアカウントは、この商品を注文したら動画で撮影することを勧めており、動画映えを意識していることがうかがえる。
(参考) 朝日新聞デジタル|写真より「動画映え」 SNS投稿急増、宣伝に活用へ クックパッド|食トレンド大賞2017 PR TIMES|「動画=ムービー映え」する“ムービージェニック鍋”続々登場!「フォトジェニック」がさらに進化して鍋にも波及! PR TIMES|バレンタインデートはムービージェニックな炎のリゾットが食べられる渋谷のチーズ料理専門店へ!「Cheese Dish Factory 渋谷モディ店」 PR TIMES|“ムービージェニック”なスウィーツと“お揃いコーデ”でアフタヌーンティーのシーンを提案 雪印メグミルク株式会社|ラクレット Twitter|パフェ専門店 幸せのレシピ〜スイート〜 新語・流行語大賞|第34回 2017年 受賞語