香害とは

・ 香害とは、洗濯用柔軟剤や消臭スプレーなど、香りつき製品に含まれる化学物質の影響で、頭痛や吐き気などの体調不良が起こること。近年、強い香りのついた製品が普及したことにより、化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity、MCS)やシックハウス症候群(Sick House Syndrome、SHS)を発症する人が増えているという。MCSやSHSを発症すると、仕事や学業といった日常生活が困難になるため、社会全体で香害を防ぐことが求められている。

・ NPO法人・化学物質過敏症支援センターによると、大量の化学物質を一度に浴びたり微量の化学物質を繰り返し浴びたりすることによって、MCSは発症する。症状は人によって異なり、めまい・鼻血・ぼうこう炎・ぜん息・筋肉痛など多岐にわたる。

・ 一方で厚生労働省によると、SHSとは、建材などが含んでいる化学物質やカビ・ダニ、ストーブから発生する二酸化炭素などによって室内空気が汚染され、その影響で健康上の問題が発生すること。皮膚や眼球への刺激症状、めまいや頭痛といった症状が起こる。

香害問題が発展した経緯

・ 『香害 そのニオイから身を守るには』(金曜日、2017年)を著したジャーナリストの岡田幹治氏は、2008年を「第1次香りブーム」と称する。この年、米国の香りつき柔軟剤「ダウニー」の人気に火がつき、国内メーカーも次々に香りつき柔軟剤を発売した。ダウニーを米P&G社から輸入している株式会社シービックの公式サイトによると、ダウニーには複数の種類がある。そのうち「濃縮タイプ」に配合されている「香りのマイクロカプセル」は、洗濯後にも衣類に残り、「香りがず~っと長く続く」という。

・ 「第2次香りブーム」は2012年。日本国内でP&Gグループ製品の製造を担当するピー・アンド・ジー株式会社が、洗濯物に香りづけをする製品「レノアハピネス アロマジュエル」を発売し、大好評を博した。「アロマジュエル」と呼ばれる内容物を、洗濯の際「好きなだけ足す」ことにより、洗濯物から香る芳香の強さを自分好みに調整できるという。また、ほかの香りつき柔軟剤と併用して「自分だけのオリジナルな香り」を作ることも推奨されている。同製品の香りは、洗濯した衣類からただようだけでなく、部屋にまで広がるとのこと。

・ 2013年、独立行政法人・国民生活センターは、香りの強い柔軟剤に関する相談件数が増えていると発表した。柔軟剤に関し、消費者から同センターに寄せられた相談件数は2008年度で14件だったが、2012年度は65件と急増。「柔軟剤を使用したタオルで顔を拭くとせきが止まらなくなった」「隣人の洗濯物のにおいがきつ過ぎて頭痛や吐き気があり、窓を開けられなく換気扇も回せない」などの健康被害もあったという。

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香害の事例

・ 岡田氏は香害の事例を多数調査している。ある50代の男性公務員は、職場で隣に座る同僚が衣類に香りつき柔軟剤を用いていたことから、頭痛や息苦しさを感じ、早退を繰り返すようになった。耳鼻咽喉科では異常が見つからなかったが、アレルギー科ではMCSと診断された。岡田氏によると、香りつき製品には揮発性の合成化学物質が含まれており、それを呼吸によって体内へ取り込むと、MCSなどの健康被害が生じる。効果的な回復薬はないという。

・ また、香害によって子どもが学校に通えなくなった事例もある。SHSを患っている小学校2年生の男児は、校舎内に入ると壁のペンキや教員・児童の衣服に使われた洗剤・柔軟剤の成分の影響で頭痛や鼻血などの症状が出るため、校庭で個別指導の授業を受けている。なんとか通学していたものの、教員の衣服からただようにおいや雨などのため、2018年3月から早退を繰り返すようになったという。

(参考)
日本消費者連盟|2017年7月号「「香害」は 「公害」 香りの洪水が体を蝕む
ダイヤモンド・オンライン|柔軟剤のニオイで不調に、退職まで…「香害」という新たな公害
ダイヤモンド・オンライン|学校で「香害」に晒される子供たち、授業は校庭の片隅で
化学物質過敏症支援センター|化学物質過敏症について
厚生労働省|生活環境におけるシックハウス対策
株式会社シービック|ULTRA Downyのご紹介
P&G|レノアハピネス アロマジュエル
国民生活センター|柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供